このページは、書籍『患者必携 がんになったら手にとるガイド(2013年)』より一部抜粋して作成しました。
治療が始まるまでの時期には、焦りや不安を感じることもありますが、普段どおりの生活を心がけ、入院に備えましょう。
1.治療が始まるまではこれまでどおりの生活を
一般的に、がんと診断されてから実際に治療が始まるまでは、何度か病院に通い必要な検査を受けます。また入院が必要な場合には、病院の所定の窓口で入院の申し込みをします。
この期間は風邪などをひかないように体調を整えておくことは必要ですが、基本的には、これまでどおりの生活で大丈夫です。ただしほかの病気がある場合や、がんの種類や治療の内容によっては、食事制限など生活面での注意が必要な場合もありますので、事前に担当医や看護師に確認しておくことが必要です。
治療中の仕事の引き継ぎや、子どもの世話の依頼などもできれば早めにすませておいたほうがよいでしょう。子どもの世話や家族の介護などを依頼できる人がいない場合などには、がん相談支援センターに相談してみましょう。
自分のがんのことを周囲に話すときには、多くの人がためらいや迷いを感じるものです。このため誰にどこまで病気のことを伝えるかは、家族でよく話し合って決めておくとよいでしょう。
2.助成制度を事前に確認しておきましょう
あらかじめ担当医や相談窓口に聞いておくと、検査や治療のおおよその医療費を知ることができます。
治療費が高額になる場合には、「高額療養費制度」など活用できる助成制度がないか、病院のがん相談支援センター(もしくは病院の相談窓口)で確認しておくと安心です。また、自分が加入している生命保険や民間の医療保険、がん保険などからどのくらい給付金が下りるのか、そのためにどのような手続きが必要になるのかについても調べておきましょう。
入院中は盗難の恐れもありますし大きな額のお金を使う機会もありませんので、あまり大金を持っていかないことをお勧めします。最近では、銀行の現金自動預け払い機(ATM)が設置されていたり、クレジットカードを利用できる病院もふえています。
3.入院時の持ち物は必要最小限に
入院治療を受ける際の持ち物は、必要最小限にしましょう。入院に必要なものは早めにそろえておくと便利です。治療前後に必要になるものや日用品の多くは病院内の売店でも購入できます。
わたしの療養手帳 入院の準備をする
(入院に必要なものを一覧にして、渡してくれる医療機関もふえています)
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手術を受ける方へ
綿素材などの肌触りのよい、脱ぎ着の楽な服を用意しておきましょう。前開きの服が便利です。ワイヤー入りの下着など、体をしめ付けるものは避けた方がよいでしょう。入院手続きのときに、詳細な説明が受けられます。
薬物療法(抗がん剤治療)を受ける方へ
脱毛の副作用がある抗がん剤治療を受ける場合、髪の長い方はあらかじめ短くしておくと、手入れがしやすいでしょう。また帽子や医療用かつら(つけ毛)を上手に利用するのもよいでしょう。最近では医療用かつらのパンフレットを置いている病院もふえています。どのようにしたらよいかわからないとき、迷ったときには、がん相談支援センター(もしくは看護師など)に相談してください。
また薬物療法のときには、気分が悪くなることもありますので、ゆったりした服や下着を着るようにしましょう。
放射線治療を受ける方へ
服装は脱ぎ着しやすいものがよいでしょう。放射線治療後は、放射線を当てた部分の肌が敏感になっているため、ゆったりした服や下着を着るようにしましょう。直接日光が当たる部分については、日傘や帽子などの紫外線対策が必要になります。また外来で放射線治療を受ける方は、照射部に目印を付けるためのインクが服に付くことがあります。白っぽい服やお気に入りの服は 避けた方がよいでしょう。