がんと診断されることは、本人にとっても、パートナーにとっても大きなできごとです。本人もパートナーも、がんやがんの治療が体や心にどのように影響するのか、これからどのようにサポートし合いながら生活していくのか、さまざまなことが頭をよぎり、心配なことがたくさんあるでしょう。その中には、性生活がどう変化するのか、何に気を付けたらよいのかといった疑問や不安もあるかもしれません。
がんや治療の種類によって影響の内容や程度はさまざまですが、がんそのものやがんの治療は、性生活に影響を与えることがあります。そのようなときには、お互いの話を聞き、素直に話し合う機会を持ちましょう。また、本人もパートナーも、起こりうる体の変化を知っておくことや、それぞれが相談できる人や場所を持っておくことも大切です。
1.性生活への影響について
性生活への影響は、がんの種類、治療の種類、治療に使う薬の量、治療期間、治療を受けたときの年齢、治療が終わってからの期間などによって異なります。男女別のがんの治療による性生活への影響については、以下の関連情報をご覧ください。
2.性生活に影響があるときには
性生活について困ったり悩んだりしていても、お互いに相談することをためらうこともあるでしょう。そのようなときには、相手に対する思いや今の気持ちなどについて、素直に伝えあってみてはいかがでしょうか。2人でのゆっくりとした時間を作ったり、手紙やメールなどの方法で、相手の気持ちや考えを聞いたり、自分の考えを相手に伝えたりするのもよいでしょう。性生活に影響があるときも、手をつないだり、優しく抱き合ったり、背中や手足のマッサージをしたりすることなどでも、お互いの愛情を感じることができるかもしれません。
一方で、病気や治療に向き合っていく過程では、相手の気持ちを考える余裕がなくなることもあるでしょう。また、手術の傷跡などの体の変化を受け入れるまでには、本人もパートナーも、時間がかかることがあります。そのようなときに、無理に考えたり、相手に相談しようとしたり、受け入れようとしたりする必要はありません。相手がそのような状態のときにも、無理せず時間をかけましょう。時間の経過とともに、影響や悩みが解決することもありますので、焦らないことも大切です。
3.こんなときは相談しましょう
聞きづらいこともあると思いますが、本人が何らかの治療を受けている期間やその直後は、セックスをしてもよいか、いつ再開してよいかについて、体の状態をよく知る担当の医師に確認しましょう。
また、本人もパートナーも、がんやがんの治療による体や心の変化、性生活の変化に戸惑ったり悩んだりすることがあるかもしれません。お互いに話をするのがつらいとき、どうしてよいか分からないときには、話せる誰かに相談してみてください。がん相談支援センターは、本人もパートナーも利用することができます。がん相談支援センターでは、必要に応じて、院内や院外の専門職を紹介してもらうことができます。また、患者会や患者サロンなど、同じような経験をした人と話ができる場に関する情報をもらえることもあります。相談することで気持ちの整理ができたり、解決の糸口が見つかったりするかもしれません。性のことをオープンに話すことは抵抗があるかもしれませんが、一人で抱え込まず、安心して相談できる場を利用しましょう。
4.参考文献
- アメリカがん協会編.がん患者の<幸せな性>-あなたとパートナーのために.2007年,春秋社.
- Cancer Research UKウェブサイト;Sex and cancer for partners;2018(閲覧日:2021年4月20日)https://www.cancerresearchuk.org/
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