1.白血病とは
血液の中にある血液細胞には、酸素を運搬する赤血球、外部から体内に侵入した細菌やウイルスなど異物の排除などを役割とする白血球、出血を止める働きをする血小板があり、骨の中にある骨髄でつくられます。白血病はこのような血液をつくる過程で異常が起こり、血球ががん化した細胞(白血病細胞)となって無制限に増殖することで発症します。
白血病は小児がんの中で最も多い病気です。白血病にはさまざまな種類がありますが、発症する割合は急性リンパ性白血病(ALL)が約70%、急性骨髄性白血病(AML)が約25%です(図1)。急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病は、病気の進行が速いために急に症状が出る場合があります。このような場合は、早期に診断して速やかに治療を開始することが重要です。
1)急性リンパ性白血病(ALL)とは
急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoblastic Leukemia)は、白血球の一種であるリンパ球に成長途中の段階で遺伝子異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増殖することで発症します。発症原因の多くは不明です。急性リンパ性白血病は、小児がんの中で最もよくみられる疾患です。
2)急性骨髄性白血病(AML)とは
急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia)は、骨髄で血液をつくる過程で、未熟な血液細胞である骨髄球系前駆細胞に何らかの遺伝子異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増殖することで発症します。未熟な血液細胞に遺伝子異常が起こる原因は分かっていません。
血液細胞は造血幹細胞からつくられます
血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血幹細胞から増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)してつくられます。造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれて成長します。骨髄系幹細胞からは、赤血球、白血球の一種である顆粒球や単球、血小板などがつくられ、リンパ系幹細胞からは白血球の一種であるリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)がつくられます(図2)。
2.症状
代表的な症状は、貧血、出血、感染、肝臓や脾臓の腫れ、発熱、骨痛などです。症状が起こる原因は大きく2つに分類されます。骨髄で白血病細胞が増加することによって造血機能が低下し、正常な血液細胞がつくれないことで起こる場合と、白血病細胞が臓器に増殖することで起こる場合です。中枢神経系(脳と脊髄)で白血病細胞が増殖することもあり、頭痛や吐き気・嘔吐などの症状に注意が必要です。