1.医師や病院を探す
20歳代までのAYA世代に多いがんの種類はまれなものが多く、がん全体としては患者数が少ないため、家の近くの病院に専門の医師がいないこともあります。
このうち15~19歳は、小児期のがんと同じ種類であることが多く、心身ともに発達の過程にあるため、小児科で診察を受けることが勧められています。
なお、小児科で診療を受け始めた場合には、年齢とともに体や病気の状態が変化していくため、成人の診療科を受診するタイミングを考えていくことが必要となります。これまで受診していた小児科の医師に相談し、成人の診療科でも自分がかかったがんを専門とする医師や、診療経験がある医師を見つけていきましょう。
20歳以上の人の場合には、まずは成人の診療科を受診することが勧められます。ただし、がんの種類によっては、小児科の治療法の方が成人の診療科の治療法よりも効果があるという研究結果もあります。小児科と成人の診療科のどちらで治療を受けるのがよいのか、どの治療法を選択するのがよいのか、医師と相談するのがよいでしょう。
また全国には、専門的ながん医療の提供や、患者や家族への相談支援などを行う「がん診療連携拠点病院」が整備されています。さらに、小児がんの医療や支援を提供する中心施設である「小児がん拠点病院」もあります。どちらにもがんやがんによって起こるさまざまな生活上のことなどを相談できる「がん相談支援センター」があります。
「がん相談支援センター」では、その病院を受診していなくても、誰でも無料で相談することができます。どのように病院や医師を見つけていくかを相談したり、病院を一緒に探してもらったりすることもできます。しばらく受診していないときや引っ越しをしたときなど、どの病院を受診してよいかわからない場合にも、がん相談支援センターに相談してみましょう。
病院は以下のような方法でも探すことができます。
1)インターネットでがん診療連携拠点病院などを探す
「小児がん拠点病院」や「がん診療連携拠点病院」は、「病院を探す」で探せます。
2)がん相談支援センターで、がんの種類別の診療数で病院を探してもらう
AYA世代のまれながんである場合にも、がんの種類や年代別に、病院ごとの診療経験件数を検索してもらうことが可能です。がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターで、「施設別がん登録件数検索システム」を使って病院を検索してもらえます。
2.医療者に質問する・相談する
病院には、担当の医師以外にも、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど、質問に答えてくれ、相談にのってくれる医療者がたくさんいます。病気や治療について知りたい、心配事を相談したいと思ったときには、こんなことを聞いてもいいのかと悩まず、あなたにとって身近で話しやすい医療者に、質問や相談をしてみましょう。
誰に相談してよいかわからないときや、相談するタイミングがないときには、がん相談支援センターを訪ねてみてください。病気や治療のこと、気持ちのこと、誰に相談できるかなど、様々な相談について 一緒に考えてくれます。
3.治療について考える
治療法は、がんの種類や進行の程度、体の状態、年齢、あなたの希望なども含めて総合的に検討し、担当の医師とともに決めていきます。
1)治療を選択する
科学的に最良の治療である「標準治療」がある場合には、保険診療(公的医療保険)で受けることができます。しかし、20歳代までのAYA世代の人がかかることの多いがんでは、「標準治療」がないこともあり、その場合は研究段階の医療(臨床試験、治験など)によって治療することもあります。
研究段階の医療とは、新しい薬や、複数の治療を組み合わせて行う治療法などの効果や安全性を確認するために行う医療です。研究段階の医療は、研究内容を審査するための体制や、緊急の対応ができる体制が整った医療機関で受けることが大切です。
なお、AYA世代のがんは、がんの種類によっては、小児科の治療法の方が、成人の診療科の治療法よりも効果があるという研究結果もあります。治療を選択する際には、担当の医師とよく相談する必要があります。
治療法についてわからないことや疑問に思うことは、遠慮せずに医師に質問しましょう。がんや治療に関するさらに詳しい情報については、関連情報をご覧ください。
治療に関する医療者への質問の例
- 小児科と成人の診療科、どちらで治療を受けていくのがよいでしょうか?
- 他の治療法はありますか?
- 参加できる臨床試験はありますか?
2)副作用について知る
病気や治療は、あなたの体や心、生活に少なからず影響を及ぼします。手術の傷跡や、薬物療法の副作用である脱毛や皮膚の変化、体重の増減に悩むことがあるかもしれません。治療を終えて時間がたってから体に影響が出てくる晩期合併症が起こることもあります。また、生殖機能や性生活にも影響することもあります。
治療が始まる前に、どのような副作用が起こる可能性があるのかについて、医療者に確認しておくことが大切です。それによって、副作用が出たときの対応方法をあらかじめ考えておくことができます。
副作用に関する医療者への質問の例
- どのような副作用が、いつごろ始まってどのくらいの期間続きますか?治療が終わってしばらくしてから出てくる副作用はありますか?
- 副作用が起きたときには、どうしたらいいですか?
- 外見の変化が心配です。どこか相談できるところはありますか?
3)妊よう性について考える
妊よう性とは、「妊娠するための力」のことです。がんの治療では、性別やがんの種類にかかわらず、治療が生殖機能に影響することがあります。そのため、性別やがんの種類にかかわらず、妊娠するための力が弱くなったり、その力を失ったりすることがあります。しかし近年では、将来自分の子どもを持つ可能性を残す「妊よう性温存」が可能なこともあります。治療を始める前に、将来子どもを持つことを望むのかについて、考えてみることも大切です。
妊よう性についてわからないことや困ったことがあるときには、話しやすい医療者に相談してみましょう。がん相談支援センターにも相談することができます。
妊よう性に関する医療者への質問の例
- 私の病気や治療は将来子どもを持つことに影響しますか?
- 将来子どもを持つために、がんの治療の前にできることはありますか?
- 妊よう性を温存することは、がんやがんの治療にどのような影響がありますか?
なお、自治体によっては、妊よう性温存にかかる費用の一部を助成する制度がある場合があります。詳細は、お住まいの県や市区町村のホームページの情報や担当の窓口にご確認ください。