診断を行い、治療方針を決めるためには、さまざまな検査が行われます。検査は診断目的だけでなく、病型の確認や骨髄以外の臓器への広がり、合併症の有無を確認する目的でも行います。急性リンパ性白血病では、リスク分類の基準となる白血球数、白血病細胞の種類分け(免疫学的分類)、染色体と遺伝子異常、中枢神経系(脳と脊髄)および精巣浸潤の有無を調べる検査を行います。
1.血液検査
血液中の細胞の増減を調べます。赤血球数や血小板数は減少していることが多いですが、白血球数は増加している場合から減少している場合までさまざまです。顕微鏡で詳しく調べると、血液中に白血病細胞が存在していることがあります。
2.骨髄検査
骨髄穿刺は診断と病型分類のために重要な検査で、治療効果の判定にも用います。腸骨(腰の骨)に針を刺し、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引して採取します。骨髄穿刺で十分な骨髄液を採取できない場合は、骨髄生検を行うことがあります。骨髄生検では、腸骨にやや太い針を刺し、骨髄組織を採取します。骨髄穿刺や骨髄生検は痛みを伴うため、小児では全身麻酔あるいは鎮静薬を使って行います。
治療開始後に、寛解(症状がなくなり検査結果で白血病細胞が確認できない状態)となっても、体内にはまだ白血病細胞がわずかに残存していることがあります。これを微小残存病変(MRD)といいます。治療効果の確認のために骨髄検査でMRDを調べることもあり、検出された場合は白血病細胞を根絶させるために治療強度を上げることがあります。
3.染色体検査・遺伝子検査
染色体検査や遺伝子検査で、染色体・遺伝子の構造や数の異常を調べます。これらは診断や病型分類、治療方針の決定、治療効果や予後の判定などに重要な検査です。急性リンパ性白血病でみられるフィラデルフィア染色体(BCR-ABL融合遺伝子)や、急性骨髄性白血病でみられる8番染色体と21番染色体の各一部が入れ替わる異常(RUNX1-RUNX1T1融合遺伝子)などを調べます。
4.超音波(エコー)検査・CT検査
臓器の異常や合併症の有無、浸潤が疑われる部位の確認などのため、超音波(エコー)検査やCT検査を行うことがあります。