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がんやがんの治療による性生活への影響

がんやがんの治療による性生活への影響 
がんと診断された男性へ

がんやがんの治療は、治療中や治療後の性生活に影響することがあります。がんやがんの治療で体や心が変化すると、がんと診断される前や治療を受ける前とは、性生活に対する考え方が変わったり、性生活に気持ちが向かなかったりすることもあります。

性生活への影響について知ることは、今、困っていることや悩んでいることについて、パートナーや医療者などと話をしたり、相談したりするきっかけになるかもしれません。

また、性生活への影響は、がんや治療の種類などによってさまざまです。自分にどのような影響が起こる可能性があるのか具体的に知りたいと思ったときには、担当の医師に確認するとよいでしょう。聞くことは恥ずかしいことではありません。

1.性生活への影響について

性生活への影響は、がんの種類、治療の種類、治療に使う薬剤の量、治療期間、治療を受けたときの年齢、治療が終わってからの期間などによって異なり、一時的な場合と長期的な場合があります。

1)手術

陰茎がん、前立腺がん、精巣(睾丸こうがん)腫瘍などの男性の生殖器がんや、直腸がんや膀胱がんなどの骨盤内にある臓器のがんの手術は、勃起や射精に関わる神経が傷つき、勃起や勃起の維持、射精が難しくなる場合があります。また、両側の精巣を摘出した場合は、男性ホルモンの分泌が低下するため、性欲や勃起、射精機能などに影響することがあります。

これ以外のがんの手術でも、例えばストーマ造設、四肢の切断、顔面のがんの治療などによる体の機能や外見の変化が性生活に影響することもあります。

また、手術の種類や個人の回復の程度によって異なりますが、手術後のセックス(性行為)は、手術した部分の出血や感染の危険性を高めることがあります。手術後のセックスの再開については担当の医師に相談しましょう。

2)放射線治療

前立腺、膀胱、直腸などの骨盤内の臓器に放射線を照射した場合、勃起を維持することが難しくなる場合があります。また、精巣が放射線の影響を受けるため男性ホルモンの分泌が低下し、勃起障害が起こったり、性生活に気持ちが向かなくなったりすることもあります。

放射線があたった皮膚は、硬くなったり、乾燥やただれが起こったり、ヒリヒリした感じがしたり、触れられた感覚が変化したりすることもあります。

3)薬物療法

一部の薬は精巣の機能に影響を及ぼすため、男性ホルモンの分泌が低下します。男性ホルモンの分泌が低下すると、性生活に気持ちが向かなくなることがあります。勃起に関わる神経に影響する薬もあります。

また、薬物療法中やそのあとは、精液に薬の成分が含まれることがあります。そのため、薬物療法を受けたあとしばらくの間は、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使う必要があります。さらに、薬物療法の副作用で、白血球や血小板の数が少なくなる時期があります。白血球や血小板が少ない時期は、感染したり出血したりしやすくなるため、セックスを避けましょう。白血球や血小板の数が回復したあとは、セックスを再開することができます。

2.こんなときは相談しましょう

聞きづらいこともあると思いますが、何らかの治療を受けている期間やその直後は、セックスをしてもよいか、いつ再開してよいかについて、体の状態をよく知る担当の医師に確認しましょう。

勃起障害を治療したい場合にも、担当の医師や看護師に相談してみてください。なお、勃起は心理的な影響を大きく受けるといわれています。「うまくできないのではないか」という恐怖心が性生活に影響を与えている場合は、心のケアを受けることで改善することもあります。

■医療者への質問例

  • 治療をすると勃起しなくなりますか?
  • 勃起するようにするための治療はありますか?
  • 治療中でセックスをやめていましたが、いつくらいから始めていいですか?

その他に、がん相談支援センターのがん専門相談員にも、困りごとや悩みごとについて相談することができます。がん相談支援センターでは、必要に応じて、院内や院外の専門職を紹介してもらうことができます。また、患者会や患者サロンなど、同じような体験をした人と話ができる場に関する情報をもらえることもあります。相談したり、話をしたりすることで気持ちの整理ができたり、解決の糸口が見つかるかもしれません。性のことをオープンに話すことは抵抗があるかもしれませんが、一人で抱え込まず、安心して相談できる場を利用しましょう。

3.参考文献

  1. 日本性機能学会 日本泌尿器科学会編.ED診療ガイドライン 第3版.2018年,リッチヒルメディカル.
  2. アメリカがん協会編.がん患者の<幸せな性>-あなたとパートナーのために.2007年,春秋社.
  3. National Cancer Instituteウェブサイト;Sexual Health Issues in Men with Cancer;2018(閲覧日:2021年4月20日)https://www.cancer.gov/

本ページの情報は、「『がん情報サービス』編集方針」に従って作成しています。 必ずしも参照できる科学的根拠に基づく情報がない場合でも、有用性や安全性などを考慮し、専門家および編集委員会が評価を行っています。

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更新・確認日:2021年04月21日 [ 履歴 ]
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2021年04月21日 掲載しました。
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