がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。
「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。
1.日常生活を送る上で
症状や、治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
1)TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)後の日常生活
TURBTでは、膀胱の機能が大きく損なわれることはありませんので、治療後は1週間程度で治療前と同じような日常生活を送れるようになります。
2)膀胱全摘徐術後の日常生活
術後は、ウオーキングやストレッチなどの軽い運動から始めて、2~3カ月から半年程度で手術前の日常生活が送れるように、体力をつけていきます。腹筋を使う激しい運動は数カ月間控える必要があります。自分の体力に合わせて徐々に行動範囲を広げていくことが大切です。
ストーマ造設後の日常生活
ストーマを造設した場合、術後に尿の出口が狭くなることがあります。特に尿管皮膚ろうでは起こりやすいため、尿が出てこない、尿の出が悪いなどのトラブルが起きたときは、すぐに病院に連絡をしましょう。また、ストーマの周りがくぼんだり突出したりするなどの変化が起きていないか、ストーマ装具がうまく貼れないために尿が漏れたり、肌が荒れたりしていないかなど、気をつけて観察します。ストーマ装具には防臭加工がされているため、トイレで尿を捨てるとき以外は臭うことはほとんどなく、ケアの方法を身につければ、外出、入浴など通常の生活を送ることができます。
公共機関やショッピングセンターの施設構内などでは、オストメイト(ストーマをもっている人のこと)対応のトイレも設置が進んでいます。オストメイト対応の多機能トイレには、図9のようなマークがあります。ウェブサイト「オストメイトJP」で、全国のオストメイト対応トイレが検索できます。

永久的なストーマを造設した場合には、身体障害者の認定が受けられます。認定されると身体障害者手帳が交付され、ストーマ装具の給付や公共交通機関の割引、税金の減免などの諸助成を受けることができます。また、障害年金を受給できる場合があります。申請方法や制度内容などの情報についてはがん相談支援センターでご確認ください。
3)性生活について
性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。ただし、薬物療法中は避妊が必要な場合があります。
膀胱全摘除術を行うと、男性の場合、射精ができなくなります。また、前立腺側面を走行する勃起神経を切除することが多く、その場合には勃起機能も失われます。がんの状態によっては勃起神経を温存できることもありますが、それでも十分な勃起が得られないこともあります。
女性の場合、子宮と腟の一部を膀胱と一緒に切除することが一般的です。この場合、腟が少し短くなりますが、性交渉は可能です。
2.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。筋層非浸潤性膀胱がんの場合、膀胱鏡検査や尿細胞診で再発がないか確認します。検査の内容や間隔はリスクごとに判断します。
膀胱全摘除術を受けた場合には、血液検査、CT検査、尿細胞診、超音波(エコー)検査などを行います。検査の間隔は、がんの性質などを考慮して判断します。
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。