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膀胱がん

膀胱がん 療養

1.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんのステージ(病期)や治療法によって異なります。

筋層非浸潤性膀胱がんの場合、膀胱鏡検査や尿細胞診で再発がないか確認します。検査の内容や間隔は、患者の状態、病状、病理検査の結果、膀胱内注入療法の有無などに基づいて、リスクごとに判断します。

膀胱全摘除術を受けた場合には、血液検査、CT検査、尿細胞診、超音波(エコー)検査などを行います。検査の間隔は、患者の状態、病状、病理検査の結果、手術の前後に薬物療法を行ったかどうかなどに基づいて、がんの性質などを考慮して判断します。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。

1)TティーUユーRアールBビーTティー(経尿道的膀胱腫瘍切除術)後の日常生活

TURBTでは、膀胱の機能が大きく損なわれることはありませんので、治療後は1~2週間程度で治療前と同じような日常生活を送れるようになります。

2)膀胱全摘除術後の日常生活

手術後は、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動から始めて、2~3カ月から半年程度で手術前の日常生活が送れるように、体力をつけていきます。腹筋を使う激しい運動は数カ月間控える必要があります。自分の体力に合わせて徐々に行動範囲を広げていくことが大切です。

ストーマ造設後の日常生活

ストーマを造設した場合、手術後に尿の出口が狭くなることがあります。特に尿管皮膚ろう造設術では起こりやすいため、尿が出てこない、尿の出が悪いなどのトラブルが起きたときは、すぐに病院に連絡をしましょう。トラブルの発生を防ぐためにカテーテルやステントを留置することがあります。その場合には外来で定期的に確認や交換をします。また、ストーマの周りがくぼんだり突出したりするなどの変化が起きていないか、ストーマ装具がうまく貼れないために尿がもれたり、肌が荒れたりしていないかなど、気をつけて観察します。

ストーマのケアに不安がある場合には、訪問看護などのサポートを受けることもできます。利用方法などについてはがん相談支援センターで相談してみましょう。ストーマ装具には防臭加工が施されているため、トイレで尿を捨てるとき以外は臭うことはほとんどなく、ケアの方法を身につければ、外出や入浴などの日常生活もしやすくなります。

公共機関やショッピングセンターの施設構内などでは、オストメイト(ストーマを持っている人のこと)対応のトイレの設置が進んでいます。オストメイト対応の多機能トイレには、図9のようなマークがあります。ウェブサイト「オストメイトJP」で、全国のオストメイト対応トイレが検索できます。

図9 オストメイトマーク
図9 オストメイトマーク

永久的なストーマを造設した場合には、身体障害者の認定が受けられます。認定されると身体障害者手帳が交付され、ストーマ装具の給付や公共交通機関の割引、税金の減免などの助成が受けられます。また、条件により障害年金を受給できる場合があります。制度の詳細については関連情報をご覧ください。自分が対象者に該当するか、どのように申請したらよいかなど、分からないことがあればがん相談支援センターやソーシャルワーカー、市区町村の福祉関係の窓口などに相談することもできます。

3)薬物療法中の日常生活

支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。

通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など、今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めるとよいでしょう。気づいたこと、気になることは日ごろからメモをしておくと役立ちます。

4)性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉そのものがパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

なお、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。

膀胱全摘除術を行うと、男性の場合、射精ができなくなります。また、前立腺側面を走行する勃起神経を切除することが多く、その場合には勃起機能も失われます。がんの状態によっては勃起神経を温存できることもありますが、それでも十分な勃起が得られないこともあります。

女性の場合、子宮と腟の一部を膀胱と一緒に切除することが一般的です。この場合、腟が少し短くなりますが、性交渉は可能です。

家族やパートナーとの関係に加え、治療中のつらい気持ちや悩み、心配事が重なることは少なくありません。今の自分の気持ちを落ち着いて整理する、担当医や看護師などの医療者に伝える、自分と似た経験をした患者さんの話を患者会などで聞くといったことが役立つかもしれません。パートナーや家族と一緒に話し合ってみるのもよいでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、あまり否定的になりすぎないことも大切です。

患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や治療を受けた人など、似たような体験をもつ人から、生活などに関する情報を聞くことができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターにもお問い合わせください。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
患者会や患者サロン、ピアサポートなどについての情報が記載されています。
こちらのページでは、がんの治療と妊孕性にんようせい(妊娠するための力)について患者さんの性別ごとに紹介しています。
更新・確認日:2024年06月28日 [ 履歴 ]
履歴
2024年06月28日 「膀胱癌診療ガイドライン 2019年版[増補版]」「泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版」より内容を更新しました。
2021年04月21日 「がんやがんの治療による性生活への影響 はじめに」へのリンクを追加しました。
2021年04月01日 「膀胱癌診療ガイドライン2019年版(2019年)」より、内容を全面的に更新し、4タブ形式に変更しました。
2016年01月08日 タブ形式への移行と、「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版)」「膀胱癌診療ガイドライン2015年版」より、内容の更新をしました。
2006年10月01日 更新しました。
1996年09月20日 掲載しました。
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