治療中は、体や気持ちにさまざまな変化が起こることがあります。ここでは、治療の副作用や、治療による生活の変化への対処についての体験談をご紹介します。
未知の体験 抗がん剤治療の副作用?
乳がんの部分切除後、ステージⅡA(リンパ節転移あり)トリプルネガティブということで抗がん剤投与を受けました。3クール目直後から背中にできものとピリピリとした痛みがありましたが、副作用の蕁麻疹や神経の痛みと解釈していました。この症状は数日で全身に広がり39℃を超える熱と激痛で、帯状疱疹と診断され即入院となりました。いわゆる帯状疱疹の出方とは違っていて胸・腕・背中・腹・頭・耳・目と左右関係なくあらゆるところに発疹と痛みがでたので帯状疱疹とは思いもよりませんでした。しばらくすれば治まる、誰にでもある副作用と自分で解釈せずに、早く受診すればよかったと思いました。
患者にとって抗がん剤は未知の体験です。少しでも疑問があればためらわず主治医に相談してください。
私は、抗がん剤が終わればこれをしよう!こんな楽しいことが待っていると自分自身を鼓舞しながら抗がん剤は効く!と信じて治療を受けました。
(60代 女性)
抗がん剤治療中の食事について
私が抗がん剤治療を受けていたときは、4日目くらいに体調の悪さのピークが来ました。その前後に食欲が落ち、副作用がなくなる2週目に比べると食べられる量は減り、食事の内容も、脂っこいものは胃が受け付けなくなるので、あっさりとした鶏肉や魚が中心になります。うどん、そうめん、蕎麦といった麺類がいちばん食べやすかったです。
それでも食事ができないというほどのことはなく、基本的にはなんでも食べることはできました。ただ、副作用が強くでてすごく体調が悪くなった回が一度だけありました。そのときは固形物を食べることができず、ゼリー飲料やスポーツドリンクでやり過ごしました。
主治医や看護師に相談した際にもらったアドバイスは、「基本的には制限はないので、食べられるときに食べたいものを食べてください。もし、何も食べられないくらい体調が悪い場合は、無理に食べようとはせず、最低限水分補給だけをしてください」という内容でした。
今、抗がん剤治療の副作用で食欲がわかず、食事ができなくて困っている患者さんに、このアドバイスをそのまま送りたいと思います。
(30代 男性)
抗がん剤の副作用に対して、事前情報が大事
私は2つの抗がん剤治療を経験しました。1つ目の抗がん剤では吐き気、食欲不振、便秘、皮膚の乾燥に苦労しました。便秘に対しては腹部のマッサージ、水分摂取などを工夫して、それでもだめなときには緩下剤に頼りました。皮膚の乾燥では、最初処方してもらった塗り薬が合わなかったので変えてもらい、かゆみは少し収まりましたが、粉がふいたような状態は最後まで続きました。
2つ目の抗がん剤では手、足、舌にしびれがでてきました。とくに足のしびれはひどく、痛くて夜中に目を覚ますこともたびたびあり、その都度マッサージをしたり、ゆるく足の体操をしたりしました。日課にしていた朝夕の散歩では歩き始めがフワフワして足もとがおぼつかないのですが、しばらく歩いていると痛みが引くような感覚があり、注意しながら続けることができました。舌がしびれると味覚もなくなり、食欲も落ちてきます。最初は不安でしたが、症状を記録することで、点滴直後に症状がひどく、5~6日後には和らいでくることがわかり、少し安心して過ごせるようになりました。
抗がん剤の副作用は個人差が大きく、自分なりの対処法を探っていく必要がありますが、事前に情報を得ておくことはとても有効です。私は治療中、管理栄養士、薬剤師、看護師そして薬剤のパンフレットにずいぶん助けられました。「これは期限付きの痛み・つらさなのだ」と考えることで、少しでも安心感を得られると思います。
(70代 女性)
自分の副作用を記録し、医療者に伝える大切さ
私は薬物療法中の体調の変化や食べたものなどを、日々ノートに記録しました。その際、痛みの表現についてはインターネットで知ったNRS(ヌーメリカルレイティングスケール)を使いました。これは、感じている痛みを11段階で表すものです(痛みがない状態を0、最大の痛みを10で表す)。痛みの程度について自身でおおよその基準を決め、数値化した痛みを記録するようにしました。
2回目の抗がん剤治療時の診察で、記録を見ながら症状を伝えようとしましたが、「つらい」「しんどい」といった主観的な症状をうまく伝えられませんでした。そこで、診察のときは事前に準備をすることにしました。いつ、どこが、どのくらい痛いか(0-10)、痛みはどれくらい続くか、対処薬で痛みは和らぐか、をまとめました。たくさん伝えたいことがあるときは、優先順位を決めて話すようにもしました。その結果、困っている症状について伝わりやすくなり、副作用によっては対処してもらえるようになるなど、限られた時間で医療者と効率的にコミュニケーションがとれるようになりました。
そのほかにも、体調の変化を記録することで、抗がん剤投与後、何日目がもっとも副作用の影響を大きく受けるか予測できるようになりました。その前後の日を避けて用事を入れるなど、体調を考えながら予定を立てやすくなり、記録をつけることの有用性を実感しました。
(40代 女性)
味覚障害があっても食べる楽しみを諦めたくない
私は、大腸がんの術後化学療法で味覚障害になり、塩味と甘味がまったくわからなくなりました。
妻は患者向けの食事を書籍やネットで調べて作ってくれました。目で見て頭では栄養のバランスがよいことがわかります。ですが、抗がん剤の副作用で吐き気があり、また味やにおいのわからない無味乾燥な食事に、生きる楽しみを奪われたような絶望を感じました。
私は妻に正直な気持ちを伝えました。味がわからなくなっても食事を楽しむためにはどうしたらよいのか?
考えた末、家じゅうの調味料をなめて確認することにしました。そうしたところ胡椒と生姜の味をおいしいと感じることがわかったのです。
それからは、妻に胡椒と生姜で味つけをしてもらい、時折、味噌で味変してもらいました。これにより妻が考えて作ってくれた野菜スープをおいしく食べられるようになりました。
その後は、「味覚の戻る休薬期間は自分の好きなものを食べる」ということをモチベーションに抗がん剤治療に取り組みました。食べる楽しみを諦めなかったことで、つらい治療期間を乗り越えられたと思います。3カ月ごとの定期検査のあとはお気に入りのお店で妻と2人で食事をして、感謝の気持ちを伝える時間にしています。
(40代 男性)
副作用と後遺症、水を思い切り飲めないつらさ
甲状腺がんの手術と放射線治療のあと、サラサラとした水分にむせてしまう後遺症(誤嚥)と、唾液分泌の低下、味覚障害の副作用に悩まされました。
唾液が減って就寝中に口の中が渇き、のどまでひっつくように感じ、1時間おきのうがいが必要でした。水でむせてしまう後遺症のせいでごくごく飲めず、歯がゆく感じました。水にとろみ剤を混ぜてもうまくいかず、果物(トマト・バナナ・パイナップル・桃の缶詰)のスムージーがいちばん飲みやすかったと思います。
味覚障害は数日たって起こりました。どんな食事をしても消しゴムをかんでいるような食感で、食事がおっくうになり次第に倦怠感で起き上がれない状況になりました。点滴をしてもらい、体は楽になっても口の中が潤う感覚はなく「これが口渇と唾液分泌低下の違いだ」と実感しました。
医師からは術後の副作用は軽いと説明されたのに、いつまで続くのか…気持ちが折れて前向きになれず苦しい時期でした。
そんなとき、SNSやオンラインの患者会などは心の回復に有効でした。体験談を聞き、共感するうちに今後の見通しが立ち、私だけではないと前向きな気持ちになれました。また、この時期いちばん心にしみた食べ物は、ソーダ味の某アイスキャンデーでした。
(50代 女性)
早期から痛みをとることができました
私が緩和ケアのお世話になったのは、57歳で肺腺がんの放射線治療で入院していたときでした。左右の肺の間にできた大きな腫瘍が食道を押し曲げていることが原因で、肩に強い痛みがでていました。病院からは鎮痛剤を処方されましたが、正直、夜も寝られないほどの継続的な痛みを我慢していました。痛みがあると四六時中、がんの進行について考えてしまいます。これからどうなるんだろう、もっと痛くなるのか、転移は大丈夫かと考えていました。
あるとき主治医から、「モルヒネを使ってみませんか」と言われました。モルヒネは末期の患者が使うものと思っていたので、治療中からモルヒネを使うという提案に驚きました。
「今からモルヒネですか」
「痛みをとるにはいちばんですよ」
一瞬、ためらいましたが「よろしくお願いします」。ここから私の緩和ケアが始まりました。
効果てきめんでした。痛みが軽減し、やがて痛みを感じなくなりました。冷静にこれからのことを考えられるようにもなりました。
3カ月後に退院してからは、主治医とようすを見ながらモルヒネの量を少しずつ減らしていき、最終的にはモルヒネを使わなくても痛くない状態に落ち着きました。緩和ケアのおかげで、ごくふつうの生活に戻れたことに感謝しています。
(70代 男性)
胃を切除したあとの食事のこと
胃を2/3切除したため、1回の食事量を少なく、6回に分けて食べるように心がけました。職場にも説明し、途中でクッキーやプリンなどのおやつを食べる許可もいただきました。胃が小さくなったと頭で理解していても、ついおなかいっぱい食べたくなります。「一口で30回よくかみ、ゆっくり食べる」「外食のときは3割ぐらい残す、食べすぎない」を心がけています。
栄養については入院時の献立表を参考に、消化がよく高たんぱく・低脂肪の食材をバランスよくとるよう工夫。出汁をしっかりとり、塩味を控えて味つけに注意。野菜はゆでて食べています。
カルシウムや鉄分不足を補うため、栄養補助食品の飲料も1年ほど続けました。入院中の食事についてくるものから口に合うものを見つけて、退院時に専用カタログをもらいました。飽きないように、風味の違うものをそろえて変化をつけました。
薬の副作用で食事がまったくとれないときは、高級アイスクリームやプリン、カステラなど、自分が食べられるものを一口でも食べて、量を少しずつ増やしていきました。
おなかがすいて、食べたくなるときはかならず来ます。生活が変わってしまい落胆することもあるかもしれませんが、私は小さめの食器で気に入ったものをそろえて、楽しく食事できるように工夫しました。
(60代 女性)
人工膀胱で手に入れた安眠
膀胱がんで膀胱全摘出手術を受ける際、尿管の端を腹壁から外に出す尿路変更(尿路ストーマ作成)を行いました。
ストーマ装具は、皮膚に板(面板)を貼りつけ、尿をためる袋(パウチ)を装着して使用します。私は1週間に1回の周期で交換をしています。交換のときは妻に手伝ってもらっています。
面板を皮膚からはがすときに使う粘着剥離剤にはいろいろな種類があります。私は当初病院から勧められたものを使っていたのですが、代理店から別の試供品をもらったとき、使いやすさや皮膚への刺激の少なさにびっくりしたことがありました。いろいろ試して自分に合ったものを探すことが大切だと思いました。
パウチの取り扱いで注意していることは、①面板に完全に装着されているか何度も押さえて確認すること。②パウチは衝撃に弱いので、かたいものに当てたり、ズボンのジッパーではさんだりしないように注意することです。今までに外出中に2回ジッパーではさんでパウチが破損し、尿がもれたことがあります。旅行も問題ありませんが、かならず予備を持っていくようにしています。
人工膀胱になってよかったことが1つあります。それは夜ぐっすり寝られること。2.5リットルためられる採尿パックを装着していますので、安心して朝まで寝られます。
(60代 男性)
人工肛門についての不安が周囲のアドバイスで軽減
大腸がんの告知を受けて間もなく、治療に先立って一時的人工肛門の造設手術を受けることになりました。
人工肛門を造設するための手術をする必要があると言われたときは、がんの告知を受けたときよりも大きなショックを受けました。「人工の肛門って大丈夫なのかな?」「臭いはどうなるのだろう?」「周りの人に迷惑はかからないのかな?」「ふつうの生活ができるのかな?」と不安になりました。
ですが、主治医からは「今の人工肛門(ストーマ)は臭いもしないから心配しなくていい」と言われましたし、友人の看護師からは「ふつうに生活できるし、テニスしている人もいるよ」、兄からも「会社に人工肛門の人がいるけど、ふつうに仕事しているよ」とも言われ、少し安心しました。
また、会社の先輩に数年前から人工肛門をつけている方がいたのですが、まったく気づきませんでした。この方から直接、体験談を聞けたことは大きな力となりました。
その後、友人が医師から「人工肛門にしたほうがいい」と言われたときは、できる限りのアドバイスをして、喜んでもらえました。
私のほうは人工肛門を造設して約1年半後、大腸がんの切除手術にあわせて人工肛門を閉鎖しました。
(50代 男性)