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がんと暮らしの体験談

がん治療とお金

がんの治療を受けるにあたって、また療養生活を送るなかで、医療費や生活費など、経済的な面が気になることがあるかもしれません。ここでは、経済的な心配や専門職に相談したこと、実際に制度を利用したことなどに関する体験談をご紹介します。

なお、制度に関する体験談は治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

乳がん告知と同時に襲った、お金の恐怖

私が乳がんの告知を受けたのは忘れもしない2021年〇月〇日。自分で気づいたしこり、まったく悪いものと思わず、検査に行った1週間後、「乳がんです」という先生の言葉で目の前が真っ暗になりました。いちばん最初に出てきた漢字が「死」。続いて浮かんだのが「金」。カネカネカネ……。絶望という黒い煙のような闇が広がり、動揺で泡を吹きそうなパニックに。

隣の部屋に連れて行かれて「今日はお1人で来られましたか」と聞かれ「1人に決まってるじゃないか」と心で叫んでいる間に、「手術による全摘です」とむだなことを言わない先生のシンプルな説明が続きます。私の方はその都度、心に嵐が吹き荒れました。セカンドオピニオンを受けるにもお金と時間とエネルギーを費やすことになる、それなら出費を回避し、乳腺摘出は早い方がいいと全摘手術の日程を1カ月後に決めて10日間の入院生活へ。加入していた民間保険は5日目から入院保険金が出たため、個室への入院でしたが、かかった費用は実質10万円程度でした。

入院するまでの検査料も含めて、今こうして振り返らない限り計算することはなかったかもしれません。書き殴りですが、誰かの役に立つことができたら幸いです。

(50代)

(2024年7月寄稿)

障害年金を受給して 治療費、生活費に利用

私は大腸がんの治療中に遠隔転移が見つかり、5年生存率の低さから、一時は生きる気力を失いました。

患者会で障害年金を知りました。はじめは興味をもてずにいましたが、人生を充実させる、そのための制度でありお金であると、前向きに障害年金受給を考え直しました。手続きが複雑であるため、社会保険労務士(以下社労士さん)に代行をお願いしました。私の事情をお話し、よく理解していただいてから着手金を支払うと、すぐに社労士さんが主治医と病院事務局に障害年金申請の話をしてくださり、私はとても助かりました。

主治医の書いた申請のための診断書も、社労士さんの勧めもあり、自分で目を通しました。自分の病状はこんなに悪いのか!とショックでした。それでも、申請書類を整えて提出。6カ月後に受給でき、治療費、生活費に使いました。

医師が障害年金制度をよく知らないこともあります。社労士さんも、制度を熟知している方に依頼する必要があります。着手金や成功報酬額などの費用とあわせて、自分との相性も、複数の社労士さんに確認するとよいかもしれません。障害年金は患者の正当な権利として、認定基準を満たす方には申請を考えてほしいです。

(50代 男性)

(2024年7月寄稿)

【ご注意】制度に関する内容は、治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

制度を利用するときは、専門家へ相談を

私は、高額療養費制度、傷病手当金、失業保険、がん保険、生命保険を利用しました。
高額療養費制度は、入院前に会社が申請をしてくれました。ただ、治療途中で退職し、加入保険が切り替わったことで、多数回該当が適用される回数を満たせず、減額されませんでした。ショックでした。また傷病手当金も、手術後の経過がよく、すぐに出勤してしまったため、その後の抗がん剤治療時に使用できないという事態になってしまいました。そのため、抗がん剤治療でたびたび休むことに引け目を感じ、退職することになりました。当時は、がん治療で退職した事情を話すと、ハローワークでは仕事の紹介もしていただけず、失業保険が下りるのも3カ月後で生活が苦しくなりました。

そのなかで救われたのは、民間の医療保険に入っていたことでした。治療費はその保険でまかなうことができました。ただ、治療中の意識がもうろうとするなかで、自分で保険会社に申請をするのはとてもつらかったことを覚えています。また、確定申告による医療費控除は、医療保険の給付金額によっては対象外になると、税務署へ申告書を提出したときに、初めて知りました。

大まかな制度を知っていても、状況により利用ができなかったり、制限があったりします。現在は相談支援センターで専門家に相談できるため、ぜひ活用したほうがいいと思います。

(50代 女性)

(2024年7月寄稿)

【ご注意】制度に関する内容は、治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

がん治療の経済的負担と精神的負担

がんに罹患する前には、「40歳になったらがん保険に入ろう」と思っていました。しかし38歳になったときにがんを発症したため、この時点で民間がん保険に入るメリットはかなり減ってしまいました。「なくなった」と言わないのは、罹患後に知り合いの保険会社の方に聞いたところ、治療経過がよく、寛解となった後何年か経過すると、一定の条件で加入できるがん保険もあるとのことでした。しかし再発などのリスクの高さからか、発症歴のない人に比べ掛け金が高いなど、あえて民間保険に加入しているメリットはあまりない、とのことでした。やはり前もって加入しておけばよかったな、と思うくらい、実際のところお金はかかっています。

公的制度については、父のがんの治療のときに、利用したという高額療養費制度について聞いていたため、すぐに申請しました。ただ、限度額認定証が発行され、実際に適用されるまでに2~3カ月かかりましたし、還付されるのにも数カ月要しました。とくに最初は検査も多く入院もあり、その間の自己負担分は大変でした。そして、いくら限度額が定められているとはいえ、毎月一定額の支払いがあるというのは、経済的に、また精神的に非常に負担を感じました。ありがたいことに私は現在、罹患前とほぼ同じように働けるため、何とか支払いができています。検査や診察の日程も、主治医と相談しながら調整し、仕事への影響を最小限にしていただいています。間接的ですが、このような相談ができるかどうかといった主治医との関係が、お金にも関わってくるなと感じています。

(30代 男性)

(2024年7月寄稿)

【ご注意】制度に関する内容は、治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

がんになって気づいたお金と支援の大切さ

「長い人生、まだ病気とは無縁」と思っていた40歳のときに、肉腫という希少がんに罹患しました。初めての手術の前に医療費について調べ、高額療養費制度の「限度額認定証」の申請を行いました。また、罹患後3年間は親が加入してくれていた民間の医療保険から、手術や入院費等の支給を受けました。

ですが、その民間医療保険が満期になったあとは、高額療養費制度など公的支援頼りです。傷病手当金も申請しましたが支給期間が限られ、十分な支援とはいえません。経済的不安が押し寄せるなか、仕事を辞め治療に専念するという選択肢はありませんでした。

「障害年金」は、患者仲間から聞いて知っていましたが受給資格に該当しないと思っていました。しかし、経済的な問題を社会保険労務士に相談できる機会があり「受給の可能性はある」と助言をもらいました。そこで社労士さんに複雑な申請手続きを依頼し、障害年金を無事受給できたとき、とてもほっとしたことを覚えています。さらにストーマ造設となったあと、病院のソーシャルワーカーから教えてもらい、地域の助成金や障害者手帳の申請もしています。

治療が長期間にわたることもあり、経済的負担が大きくなる場合があります。利用できる制度をうまく活用することで、費用の負担を軽減し、治療と仕事の両立を支える助けにもなります。そうした支援が多くのがん患者さんに訪れることを願っています。

(40代 女性)

「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」(2025年)より

【ご注意】制度に関する内容は、治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

早めに専門家に頼ることで、不安の軽減を

私の姉はがんと診断されたとき、さまざまな助成制度を教えてくれる、がん相談支援センターに行きました。助成制度のなかには、タイミングを過ぎると申請できないものもあります。治療などで体がつらくなるかもしれませんので、どのような制度が使えそうなのかを早めに知っておくとよいかもしれません。間違って申請に必要な書類を捨てるようなことも防げます。また、がん相談支援センターには無料で社労士さん(社会保険労務士)へ相談できる日があります。闘病中休職していた姉のもとに、ある日会社から「復職しないと解雇です」という通知が来てビックリ。あわててがん相談支援センターで社労士さんに相談し、主治医から一筆書いてもらうことで解雇を免れることができました。

長期の闘病で体も疲れやすくなり、障害年金も申請しました。センターや年金事務所の方に受給は厳しいと言われていたので、社労士さんに依頼し、無事、障害年金を受給することができました。社労士さんはがん相談支援センターだけでなく、自治体などほかにも相談できるところがあります。なかには初回の相談は無料という社労士さんもいますので、相談だけでも、損はありません。

治療で体がつらいときには、電話やインターネットで相談することもできます。窓口に行けないからと、あきらめるのはもったいないです。治療が大変な分、金銭的な不安は減らしたいですね。

(30代 女性)

(2024年7月寄稿)

【ご注意】制度に関する内容は、治療当時のもので、現在とは異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

更新・確認日:2026年09月15日 [ 履歴 ]
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2026年09月15日 掲載しました。
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