1.前立腺について
前立腺は男性のみにある臓器です。膀胱の下に位置し、尿道のまわりを取り囲んでいます。栗の実のような形をしています。
前立腺は精液の一部に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺液には、PSAというタンパク質が含まれています。ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部は血液中に取り込まれます。
2.前立腺がんとは
前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。早期に発見すれば治癒することが可能です。また、多くの場合比較的ゆっくり進行します。
近くのリンパ節や骨に転移することが多いですが、肺、肝臓などに転移することもあります。
前立腺がんの中には、進行がゆっくりで、寿命に影響しないと考えられるがんもあります。がんではない、ほかの原因で死亡した男性を調べた結果、前立腺がんであったことが確認されることがあります。このように、生前にはがんが見つからず、死後の解剖によりはじめて見つかるがんをラテントがんといいます。
3.症状
早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。しかし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。
進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがあります。
4.関連する疾患
1)前立腺肥大症
前立腺肥大症は、前立腺の細胞数が増加する良性の疾患で、高齢に伴い増える病気です。尿が出にくい、尿の切れが悪い、排尿後すっきりしない、夜間にトイレに立つ回数が多い、我慢ができずに尿を漏らしてしまうなどの前立腺がんと似ている排尿の症状があります。前立腺がんと同時に起こることもあります。