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前立腺がん

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前立腺がんについて

1.前立腺について

前立腺は男性のみにある臓器です。膀胱の下に位置し、尿道のまわりを取り囲んでいます。栗の実のような形をしています。

前立腺は精液の一部に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺液には、PSAというタンパク質が含まれています。ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部は血液中に取り込まれます。

2.前立腺がんとは

前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。早期に発見すれば治癒することが可能です。また、多くの場合比較的ゆっくり進行します。

近くのリンパ節や骨に転移することが多いですが、肺、肝臓などに転移することもあります。

前立腺がんの中には、進行がゆっくりで、寿命に影響しないと考えられるがんもあります。がんではない、ほかの原因で死亡した男性を調べた結果、前立腺がんであったことが確認されることがあります。このように、生前にはがんが見つからず、死後の解剖によりはじめて見つかるがんをラテントがんといいます。

3.症状

早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。しかし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。

進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがあります。

4.関連する疾患

1)前立腺肥大症

前立腺肥大症は、前立腺の細胞数が増加する良性の疾患で、高齢に伴い増える病気です。尿が出にくい、尿の切れが悪い、排尿後すっきりしない、夜間にトイレに立つ回数が多い、我慢ができずに尿を漏らしてしまうなどの前立腺がんと似ている排尿の症状があります。前立腺がんと同時に起こることもあります。

更新・確認日:2021年02月24日 [ 履歴 ]
履歴
2021年02月24日 「5.患者数(がん統計)」を更新しました。
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年11月18日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

前立腺がん 検査

1.前立腺がんの検査

主な検査はPSA検査、直腸診です。これらの検査で前立腺がんが疑われる場合には、経直腸エコー、前立腺生検などを行います。がんの広がりや転移の有無は画像検査で調べます。

2.検査の種類

1)PSA検査

PSA検査は前立腺がんを早期発見するための最も有用な検査です。がんや炎症により前立腺組織が壊れると、PSAが血液中に漏れ出し、増加します。血液検査でPSA値を調べることによって前立腺がんの可能性を調べます。

PSAの基準値は一般的には0~4ng/mLとされています。ただし、年齢によって基準値を下げる場合もあります。PSA値が4~10ng/mLをいわゆる「グレーゾーン」といい、25~40%の割合でがんが発見されます。PSA値が10ng/mL以上の場合でも前立腺がんが発見されないこともあります。また、4ng/mL以下でも前立腺がんが発見されることもあります。100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、転移も疑われます。

PSAには、遊離型PSA(free PSA)と結合型PSA(complexed PSA)があります。総PSA(total PSA)に対する遊離型PSAの割合(F/T比)は前立腺のほかの病気(前立腺肥大症など)との鑑別に用いられています。F/T比が低い場合は前立腺がんの可能性が高くなります。

2)直腸診・経直腸エコー(経直腸的前立腺超音波検査)

直腸診は、医師が肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認する検査です。前立腺の表面に凹凸があったり、左右非対称であったりした場合には前立腺がんを疑います。経直腸エコーは、超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入して、前立腺の大きさや形を調べる検査です。

図2 経直腸エコー
図2 経直腸エコーの図

3)前立腺生検

自覚症状、PSA値、直腸診、経直腸エコーなどから前立腺がんの疑いがある場合、最終的な診断のために前立腺生検を行います。前立腺生検では、超音波による画像で前立腺の状態をみながら、細い針で前立腺を刺して組織を採取します。初回の生検では10~12カ所の組織採取を行います。

前立腺生検でがんが発見されなかった場合にも、PSA検査を継続し、PSA値が上昇する場合には再生検が必要になることがあります。

前立腺生検の合併症には、出血、感染、排尿困難などがあります。頻度の高いものは血尿、血便、精液に血が混じる血精液です。重篤な感染症はまれですが、生検のあとに発熱などがある場合には担当医に報告することが必要です。

4)画像診断

画像診断ではCT検査、MRI検査、骨シンチグラフィ検査などを必要に応じて行います。
CT検査では、リンパ節転移の有無や肺転移の有無を確認するために行われます。MRI検査では、がんが前立腺内のどこにあるのか、前立腺の外へ浸潤がないか、リンパ節へ転移がないかなどを調べます。
CT検査、MRI検査ともに、造影剤を使用するため、アレルギー反応が起こることがあります。薬剤によるアレルギー反応を起こした経験のある方は担当医に申し出てください。
骨シンチグラフィ検査では、骨転移があるかどうかを調べます。

更新・確認日:2017年07月26日 [ 履歴 ]
履歴
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年11月18日 「1.検査 4)画像診断」と「図3 TNM分類の例」を更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

前立腺がん 治療

1.病期と治療の選択

治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。

1)病期

(1)TNM分類

一般的に、病期分類にはTNM分類が用いられています。

表1は病期分類をまとめたものです。病期は、身体所見、画像診断などから、TNM分類に基づいて診断します。

T:がんが前立腺の中にとどまっているか、周辺の組織・臓器にまで及んでいるか。
N:前立腺からのリンパ液が流れている近くのリンパ節(所属リンパ節)へ転移しているか。
M:離れた臓器への転移(遠隔転移)があるか。

T、N、Mはさらに数種類に分けられます。

表1 前立腺がんの病期分類
T1 直腸診で明らかにならず、偶然に発見されたがん
 T1a 前立腺肥大症などの手術で切り取った組織の5%以下に発見されたがん
 T1b 前立腺肥大症などの手術で切り取った組織の5%を超えて発見されたがん
 T1c PSAの上昇などのため、針生検によって発見されたがん
T2 直腸診で異常がみられ、前立腺内にとどまるがん
 T2a 左右どちらかの1/2までにとどまるがん
 T2b 左右どちらかだけ1/2を超えるがん
 T2c 左右の両方に及ぶがん
T3 前立腺をおおう膜(被膜)を越えて広がったがん
 T3a 被膜の外に広がっているがん(片方または左右両方、顕微鏡的な膀胱への浸潤)
 T3b 精のうまで及んだがん
T4 前立腺に隣接する組織(膀胱、直腸、骨盤壁など)に及んだがん
N0 所属リンパ節への転移はない
N1 所属リンパ節への転移がある
M0 遠隔転移はない
M1 遠隔転移がある
UICC TNM Classification of Malignant Tumours, 8th Edn, Wiley-Blackwell:2017, 191-192より作成

T1は直腸診でがんが明らかにならず、偶然に発見された場合の分類です。例えば、PSA値が基準値を超えたが、直腸診で異常の指摘がなく、生検によってがんが検出された場合はT1cと分類されます。T2以上は直腸診や画像診断により分類されます。T2はがんが前立腺の中でとどまっているものであり、T3は前立腺をおおう膜(被膜)を越えて広がっているものです。T4は隣接している臓器(膀胱など)へ浸潤があるものです。

図3 TNM分類の例
図3 TNM分類の例の図

(2)リスク分類

転移のない前立腺がんは、3つの因子(T-病期、グリーソンスコア、PSA値)を用いて低リスク群、中間リスク群、高リスク群に分けられます。

主にNCCNのリスク分類(表2)が用いられています。

表2 転移のない前立腺がんに対するNCCNリスク分類
低リスク 病期T1~T2a、グリーソンスコア6以下、PSA値10ng/mL未満
中間リスク 病期T2b~T2c、グリーソンスコア7、または PSA値10~20ng/mL
高リスク 病期T3a、グリーソンスコア8~10、または PSA値20ng/mL以上
日本泌尿器科学会編「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」(メディカルレビュー社)より改変

グリーソンスコア(Gleasonスコア)は、前立腺がんの悪性度を表す病理学上の分類です。グリーソンスコアが6以下は性質のおとなしいがん、7は中くらいの悪性度、8~10は悪性度の高いがんとされています。

2)治療の選択

治療法は、標準治療に基づいて、体の状態や年齢、患者さんの希望なども含め検討し、担当医とともに決めていきます。

前立腺がんの主な治療法は、監視療法、手術(外科治療)、放射線治療、内分泌療法(ホルモン療法)、化学療法です。複数の治療法が選択可能な場合があります。PSA値、腫瘍の悪性度(グリーソンスコア)、リスク分類、年齢、期待余命(これから先、どのくらい生きることができるかという見通し)、患者さんの治療に対する考え方などを基に治療法を選択していきます。

生殖能力について

がんの治療が、生殖能力に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊孕にんよう性温存治療法(妊娠のしやすさを保つ治療)が可能か、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

図4は、前立腺がんに対する治療方法を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図4 前立腺がんの治療の選択
図4 前立腺がんの治療の選択の図
日本泌尿器科学会編「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」(メディカルレビュー社)より改変

監視療法、組織内照射療法は、低リスク群では選択が可能です。手術や放射線治療は低リスク・中間リスク・高リスク群のいずれでも選択可能です。高リスク群に対して放射線治療を実施する場合には長期間の内分泌療法を併用することが推奨されています。

近くの臓器に及んだがんは、放射線治療、内分泌療法などを行います。手術を行うこともあります。

転移があるがんは内分泌療法や化学療法などを行います。

2.監視療法

監視療法とは、前立腺生検で見つかったがんがおとなしく、治療を開始しなくても余命に影響がないと判断される場合に経過観察を行いながら過剰な治療を防ぐ方法です。監視療法では、3~6カ月ごとの直腸診とPSA検査、および1~3年ごとの前立腺生検を行い、病状悪化の兆しがみられた時点で、治療の開始を検討します。手術などの治療に伴う患者さんの苦痛や生活の質の低下を防ぐためにも、監視療法は広く普及しており、重要視されています。

監視療法が適している状態とは、PSA値が10ng/mL以下、病期がT2以下、グリーソンスコアが6以下で、その他の指標も含めて総合的に判断されます。監視療法ではPSA値を3カ月から6カ月ごとに測定して、その上昇率を確認します。PSA値が倍になる時間(PSA倍加時間)が2年以上と考えられる場合には経過観察を続けます。

3.フォーカルセラピー(Focal therapy)

フォーカルセラピーは、監視療法と手術などの根治的治療の中間に位置する治療概念で、がんを治療しながら正常組織を可能な限り残し、治療と身体機能の維持の両立を目的とします。前立腺内にとどまるがんでは、治療の選択肢の1つとなることがあります。高密度焦点超音波療法(HIFU)、凍結療法、小線源療法などを用いることがあります。フォーカルセラピーにはさまざまな治療が含まれるため、治療後の評価が難しく、十分な根拠がないのが現状です。担当医とよく相談して治療方法を決めていくことが重要となります。

4.手術(外科治療)

手術では、前立腺と精のうを摘出し、その後、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術を行います。手術の際に前立腺の周囲のリンパ節も取り除くこともあります(リンパ節郭清かくせい)。手術はがんが前立腺内にとどまっており、期待余命が10年以上と判断される場合に行うことが最も推奨されていますが、前立腺の被膜を越えて広がっている場合でも対象となります。手術の方法には、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術があります。

1)開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術)

開腹手術は、全身麻酔と硬膜外麻酔を行いながら、下腹部をまっすぐに切開して手術を行う方法です。

2)腹腔鏡手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)

腹腔鏡手術は、小さな穴を数カ所開けて、炭酸ガスで腹部をふくらませて、専用のカメラや器具で手術を行う方法です。開腹手術に比べて出血量が少なくきずが小さいため、体への負担が少なく、合併症からの回復が早いといわれています。

3)ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)

ロボット手術は、下腹部に小さな穴を数カ所開けて、精密なカメラや鉗子かんしを持つ手術用ロボット(ダヴィンチ)を遠隔操作して行う方法です。微細な手の震えが制御され、拡大画面を見ながら精密な手術ができます。ロボット手術は、開腹手術と同等の制がん効果(がん細胞の増殖抑制効果)があり、開腹手術に比べ創が小さく、腹腔鏡手術と比較しても合併症からの回復が早いといわれています。

4)術後合併症

手術後の主な合併症には、尿失禁と性機能障害があります。

(1)尿失禁

手術の際に、尿の排出を調節する筋肉(尿道括約筋)が傷つくことで、尿道の締まりが悪くなり、せきをしたときなどに尿が漏れることがあります。これを防ぐために、できる限り手術中に神経や尿道括約筋の温存を行いますが、完全に防ぐことは難しいのが現状です。尿失禁は、多くの場合手術後数カ月続きますが、半年ほどで生活に支障ない程度に回復します。しかし、完全に治すことは難しい場合もあります。

(2)性機能障害

手術直後は、ほぼ確実に勃起障害が起こります。勃起障害の回復は、神経温存の程度、年齢、術前の勃起能などで異なりますが、完全に戻ることは難しいのが一般的です。ただし、神経を温存した手術後の勃起障害には飲み薬での治療も有効といわれています。

5.放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線や電子線を照射してがん細胞を傷害し、がんを小さくする療法です。外照射療法と、組織内照射療法があります。いろいろな方法があり、治療期間や副作用のあらわれかたなどに特徴があります。しかし、それぞれの方法を直接比較したデータがないため、どの方法が一番よいかはっきりとしたことはいえない現状です。海外の研究では、組織内照射療法と外照射療法の組み合わせが、外照射療法を単独で行うよりも有効性が上回っていたという臨床試験の結果が発表されています。ただし、有効性は上回っていても副作用が多かったという報告もされています。担当医とよく相談して治療方法を決めていきましょう。

1)外照射療法

外照射療法は、体の外から前立腺に放射線を照射する方法です。治療範囲をコンピューターで前立腺の形に合わせることで、周囲の臓器(直腸や膀胱)にあたる量を減らす三次元原体照射や、その進化形である強度変調放射線治療(IMRT)が用いられることもあります。一般的に、1日1回、週5回で7~8週間前後を要します。

また、定位放射線治療と呼ばれるいろいろな方向からターゲットに線量を集中する方法もあり、多くの場合5回程度の短期間で治療します。

このほかに、粒子線を用いた粒子線治療(陽子線、重粒子線)があります。X線を用いた治療では、体の表面近くで線量が最大になりますが、粒子線治療では、からだの深いところ(がんのあるところ)で線量が最大になるように調節できます。ただし、施行可能な施設には限りがあります。

外照射療法の主な副作用は、急性期のもの(3カ月以内に生じるもの)とそれ以降に生じる晩期のものに分けられます。急性期の副作用は、頻尿、排尿・排便時の痛みが一般的です。晩期の副作用は排便時の出血や血尿などがあります。副作用の治癒には数年かかることがありますが、頻度は高くなく、重篤なものはまれです。

2)組織内照射療法(密封小線源療法)

組織内照射療法は、小さな粒状の容器に放射線を出す物質を密封したもの(放射線源)を前立腺の中に入れて体内から照射する方法です。がん組織のすぐ近くに放射線源があるため位置がずれにくく、非常に高い線量を照射することができます。

ただし、前立腺肥大症で前立腺を削り取る手術を受けた方はこの治療を行うことはできません。また、前立腺が大きすぎる場合は、その一部が恥骨の後ろに隠れてしまうため、線源を埋め込むことができない場合があります。この場合は、治療前に内分泌療法を行い、前立腺を小さくすることがあります。

組織内照射療法で主なものは、永久的に埋め込む方法(密封小線源永久挿入療法[LDR:low dose rate])、一時的に埋め込む方法(高線量率組織内照射法[HDR:high dose rate])です。

密封小線源永久挿入療法は麻酔をかけて、超音波で確認しながら、専用の機械で会陰(陰のうと肛門の間)から前立腺に線源を埋め込みます。治療は半日で終了しますが、手術後最低一晩は入院が必要です。埋め込まれた放射性物質は、半年程度で効力を失うため取り出す必要はありません。体の中に放射線が残っていますが、周囲の人にはほとんど影響はありません。
高線量率組織内照射法は、一時的に前立腺に管状の針を刺し込み、その針に線源を通して放射線の照射を行います。施設によって異なりますが、数回に分けて治療することが多く、針が刺さっている間は安静が必要になります。

外照射療法では排便に関する副作用が多いのに対して、組織内照射療法の副作用は排尿に関するものが多い特徴があります。治療後3カ月くらいの間は徐々に排尿困難感や頻尿が進みます。それから1年程度をかけて、徐々に排尿の副作用は低減していきます。尿失禁が起こることはまれです。また、年齢にもよりますが、外照射療法に比べて性機能が維持される割合が高いことが特徴です。ただし、精液の量は減少します。

6.薬物療法

1)内分泌療法(ホルモン療法)

前立腺がんには、精巣や副腎から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)の刺激で病気が進行する性質があります。内分泌療法は、アンドロゲンの分泌や働きを妨げる薬によって前立腺がんの勢いを抑える治療です。内分泌療法は手術や放射線治療を行うことが難しい場合や、放射線治療の前あるいは後、がんがほかの臓器に転移した場合などに行われます。

(1)内分泌治療の問題点

内分泌療法の問題点は、長く治療を続けていると反応が弱くなり、落ち着いていた病状がぶり返す「再燃」が生じることです。内分泌療法は前立腺がんに対して有効な治療法ですが、この治療のみで完治することは困難であると考えられています。再燃した場合は女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤などが使用されることがありますが、これらも最初は効果がみられても、次第に効果が弱くなります。

(2)去勢抵抗性前立腺がんの治療

再燃し、内分泌療法の効果が弱くなったと診断されたがんを去勢抵抗性前立腺がんといいます。去勢抵抗性前立腺がんの薬物治療として、アンドロゲン受容体を阻害するエンザルタミド(イクスタンジ)や、アンドロゲン合成を阻害するアビラテロン酢酸エステル(ザイティガ)などを用いることがあります。また、化学療法や副腎皮質ホルモン剤での治療を組み合わせることもあります。

(3)内分泌治療の副作用

内分泌療法の副作用には、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、急な発汗)、性機能障害、乳房の症状、骨に対する影響、疲労などがあります。性機能障害では、勃起障害や性欲の低下が起こります。治療によってアンドロゲンが低下し、相対的に女性ホルモン(もともと男性にも存在します)が多い状態になるので、乳房が大きくなったり(女性化乳房)、乳頭に痛みを感じたりすることもあります。骨に対する影響として、骨密度が低下し、骨折のリスクが増加します。症状は一過性で、徐々に慣れてくることが多いのですが、副作用が強すぎるときには、薬の種類を変更したり、治療を中止したりすることがあります。

表3 前立腺がんの内分泌療法で用いられる主な薬
分類
薬剤名 投与方法 効能・使用方法など
LH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニスト
ゴセレリン酢酸塩
(ゾラデックス)
リュープロレリン酢酸塩
(リュープリン)
皮下注射 下垂体に働き、アンドロゲンの一種である
テストステロンの産生を低下させます。
1カ月、3カ月あるいは6カ月に一度外来で注射します。
投与初期に一過性のテストステロン値上昇
(フレアアップ)が起こることがあります。
抗アンドロゲン剤
クロルマジノン酢酸エステル
(プロスタール)
経口 アンドロゲンの働きを抑えるステロイド性
抗アンドロゲン剤です。
抗アンドロゲン剤は副腎から分泌される
アンドロゲンの働きも遮断します。
フルタミド、ビカルタミド
(オダイン、カソデックス)
経口 アンドロゲンの働きを抑える非ステロイド性
抗アンドロゲン剤です。
LH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)
アゴニストと併用することにより、治療成績の
向上が期待できます(CAB療法)。
エンザルタミド
(イクスタンジ)
経口 アンドロゲン受容体を阻害する薬です。
去勢抵抗性前立腺がんの治療として、
ドセキタキセル水和物での治療が終わったあとに
使用して効果が示されています。
副作用には疲労感、食欲不振、脱力感などが
ありますが、比較的安全性が高いといわれています。
アビラテロン酢酸エステル
(ザイティガ)
経口 アンドロゲン合成を阻害する薬です。
LH-RHアンタゴニスト
デガレリクス酢酸塩
(ゴナックス)
皮下注射 下垂体に働き、アンドロゲンの一種である
テストステロンの産生を低下させます。
即効性があり、一過性のテストステロン値上昇
(フレアアップ)を回避することが特徴的です。
エストロゲン(女性ホルモン)
エチニルエストラジオール
(プロセキソール)
経口 内分泌療法に抵抗を示す場合に用いることがあります。

2)化学療法

化学療法は薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくしたりすることを目的として行います。一般的には、転移があるがんで、内分泌療法の効果がなくなったがんに対して行います。

表4 前立腺がんの化学療法で用いられる主な薬
薬剤名 投与方法 効能・使用方法など
ドセタキセル水和物
(タキソテール、
ワンタキソテール)
静脈注射 副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン)と
ともに使用することが推奨されています。
副作用は、貧血、脱毛、食欲不振、だるさなどがあります。
カバジタキセル
(ジェブタナ)
静脈注射 ドセキタキセル水和物の治療後に使用することがあります。
副作用には、好中球減少、貧血、下痢などがあり注意が必要です。
エストラムスチンリン酸
エステルナトリウム水和物
(エストラサイト)
経口 主に去勢抵抗性前立腺がんの治療に用います。
細胞障害性抗がん剤と抗アンドロゲン剤の
2つの作用をあわせもちます。アビラテロン酢酸エステル、
エンザルタミド、カバジタキセルなどの新しい薬が
登場してから、使用する機会が減ってきています。

7.リハビリテーション

前立腺がんの治療中に運動を行うことで、生活の質が保たれ、もとの生活により近い生活を送ることができます。そのため、治療法を問わずに、運動を行うことが推奨されています。

1)尿失禁に対するリハビリテーション

尿失禁を改善するためには、尿道周囲の筋肉(骨盤底筋)を鍛える骨盤底筋体操が効果的といわれています。骨盤底筋体操は治療後だけでなく、特に手術を予定している人は、手術を行うと決めたときから実施することが推奨されています。骨盤底筋体操は、あおむけ(図5)、四つんばいなど(図6)の体勢をとり、意識して肛門をキュッと締め、5つ数えて緩めるという動作を繰り返します。1セット10~20回程度で1日4回を目安に行います。これ以外にも、排尿を途中で止めたりする訓練も行っていきます。また、積極的に散歩などの活動をすることで、骨盤底筋の強化につながります。

図5 骨盤底筋体操(あおむけ)
図5 骨盤底筋体操(あおむけ) あおむけに寝ます。腰を上げながら肛門をキュッと締め、5つ数えて腰を下ろすとともに肛門を緩めます。の図
日本がんリハビリテーション研究会編「がんのリハビリテーションベストプラクティス(2015年)」(金原出版)より作成
図6 骨盤底筋体操(四つんばい・座位・立位)
図6 骨盤底筋体操(四つんばい・座位・立位) 四つんばい、いすに座る、机に手を突いて立つ体勢で肛門をキュッと締め、5つ数えて緩めます。の図
日本がんリハビリテーション研究会編「がんのリハビリテーションベストプラクティス(2015年)」(金原出版)より作成

8.合併症に対する治療

1)尿失禁

尿失禁を改善するには、骨盤底筋体操が効果的といわれています。必要に応じて、膀胱の筋肉の働きを安定させ、尿道括約筋の機能を高める薬が処方されます。尿失禁が改善されない場合は、手動で排尿を制御できる人工尿道括約筋を挿入する手術を行うことがあります。これは保険適用となっています。

2)性機能障害

性機能障害とは、性欲、勃起、性交、極致感の中で1つ以上欠けるか、もしくは不十分なものといわれています。手術などで性機能を調節するための重要な神経や血管が損傷されると、性機能障害が起こります。治療後に起こりやすいものは、勃起障害、射精障害、性欲減退などです。治療中はこれらの機能を温存するために、神経をできる限り傷つけないようにしていきますが、がんを残さないようにすることを優先するために神経の温存が難しい場合もあります。

(1)勃起障害

勃起障害とは、性交時に有効な勃起が起こらない状態のことをいいます。

1.勃起障害の検査

最初に問診で症状を聞き、その後患者さんに合わせて、血液検査、尿検査、勃起を引き起こす注射による検査、夜間の勃起状態を調べる機械(リジスキャンプラスなど)を用いた検査などを行います。正常な男性では生理的現象によって睡眠のREM期(レム期:夢を見ている浅い眠りの状態)に一致して勃起現象が起こりますが、夜間に自然な勃起がない場合は、勃起に関与する陰茎組織、神経、血管などの障害が考えられます。

2.勃起障害の治療

検査結果により、治療方針を決めていきます。治療法には次のようなものがあります。

①精神療法

多くの男性は勃起障害によって落ち込み、悩みます。担当医とよく話し合いながら、できるだけパートナーとともに心理的な問題を解決していくことが効果的です。

②薬物療法

わが国ではシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビドラ)、タダラフィル(シアリス)の3種類の処方薬によって前立腺全摘術後・放射線治療後の勃起障害を治療します。この薬は性的刺激による勃起を促進する働きがありますが、長期内分泌治療後では性欲が低下し薬の効果も低下します。副作用には頭痛、ほてりなどがありますがいずれも軽度で一過性です。ニトログリセリンなどを服用している方は内服することができません。インターネットなどで偽の薬が多く出回っており、大変注意が必要です。必ず、担当医に相談して使用しましょう。

③陰圧式勃起補助具による治療

陰圧式勃起補助具は、陰茎に陰圧をかけて、陰茎の根本にゴムバンドを巻き、疑似勃起状態を起こす器具です。この器具は多くの場合に有効ですが、満足度にばらつきがあります。厚生労働省の認可を受けているものとして、VCD式カンキがありますが、保険適用はありません。

(2)射精障害

前立腺がんの手術では、精管が切断されるため、手術後、射精をすることができません。ただし、まったく妊娠不可能なわけではなく、事前に精子を採取し配偶者間で人工授精を行う、もしくは手術後でも精巣内から精子を採取し配偶者間で体外受精をする方法などがあります。

9.緩和ケア

緩和ケアとは、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法です。緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。患者さんのニーズに応じて幅広い対応をします。患者さん本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えるようにしましょう。

10.転移・再発

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れなどに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。再発とは、治療の効果によりがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。

1)転移

前立腺がんでは骨、肺、リンパ節への転移が多いとされています。転移がみられる場合には、内分泌療法や化学療法が実施されます。

骨転移を伴う場合はゾレドロン酸、デノスマブなどの薬を用いて治療する場合があります。これらの薬は破骨細胞(骨を破壊・吸収する働きをもつ細胞)を抑制することにより、骨転移の進行を抑制する働きがあります。また、鎮痛剤により痛みを和らげる治療を行います。痛みが一部の範囲に限られているときには、外照射療法が効果的とされています。骨折予防のために外照射療法を行う場合もあります。内分泌治療が効きにくくなった方で、病巣が骨転移のみであれば塩化ラジウム223(ゾーフィゴ)による内用療法を用いることもあります。この治療は注射で投与されたラジウムが骨転移部位に集積し、そこでアルファ線を放出してがんに効果をもたらします。

2)再発

一般的には症状・画像検査から再発が発見されることはまれで、PSA値の上昇から再発を発見します。再発した場合の治療方法は、前にどのような治療を受けたかによって変わってきます。痛みなどの症状があるときには症状を緩和する治療も行います。

(1)手術療法のみを受けた場合

一般的に、2~4週あけて測定したPSA値が2回連続して0.2ng/mLを超えた場合、再発の疑いがあると考えられ、救済療法(再発した際に行う治療)として放射線治療や内分泌療法が検討されます。放射線治療を始める場合はPSA値0.5ng/mL未満の段階で開始することが勧められます。また、PSAが倍の値に上昇するまでにかかる時間(倍加時間)が10カ月以内、またはグリーソンスコアが8~10などの場合には、内分泌療法が検討されることもあります。

(2)放射線治療のみを受けた場合

治療後のPSA最低値から2ng/mL以上の上昇がみられると、再発の疑いがあると考えられ、それぞれの状況に合わせて経過観察や内分泌療法などが検討されます。

(3)内分泌療法を受けた場合

内分泌療法によって、がんの進行がとどまっていたものが、再びPSA値が上昇した場合、あるいは臨床的な再発の症状(局所再発や遠隔転移)がみられた場合を再燃といいます。再燃した場合には内分泌療法の種類を変更したり、化学療法を行ったりします。PSA値は場合によって誤差(真の値と測定値の差)が出ることがあります。そのため経過観察を行う場合もあります。痛みなどの症状があるときには症状を緩和する治療も行います。

更新・確認日:2020年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2020年02月27日 「7.生存率」の参照先を「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」としました。
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2018年07月10日 「4.手術(外科治療)」に「(ダヴィンチ)」を追記し、平成30年度診療報酬改定に基づき「5.放射線治療」の内容の更新をしました。
2017年07月28日 「1.病期と治療の選択」の表1前立腺がんの病期分類を掲載しました。
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2016年02月12日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年11月18日 「1.臨床病期による治療選択」を更新しました。
2014年10月03日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

前立腺がん 療養

1.日常生活を送る上で

症状や、治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。ご自身の体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。

1)監視療法中の日常生活

基本的に日常生活上の制限はありません。一般的にがんの予防には、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの健康習慣と「感染予防」を取り入れることが望ましいとされています。

2)手術後の日常生活

基本的には食事や運動などの制限はありません。手術の副作用は主に尿失禁と性機能障害です。尿漏れに対しては、尿漏れ用パッドや必要に応じ紙おむつを使用します。尿かぶれを予防するために、尿漏れ用パッドの交換、シャワーや入浴を行いましょう。

3)放射線治療後の日常生活

基本的には食事や運動などの制限はありませんが、だるさ、食欲低下が起こることがあるため、無理せず過ごしましょう。排尿の症状は飲酒により悪化する方もいますので、症状に応じて禁酒したほうがよい場合もあります。治療後に照射された部位の炎症、頻尿、排便時の痛み、排便時の出血や血尿などが起こることがあります。治るまでには数カ月から数年かかる場合があります。症状がひどいときには担当医へ相談しましょう。

4)薬物療法後の日常生活

基本的には食事や運動などの制限はありませんが、だるさ、食欲低下などさまざまな副作用が起こることがあります。症状がつらいときには担当医へ相談しましょう。

5)性生活・妊娠について

治療中は避妊しましょう。治療によって性生活・妊娠へ与える影響はさまざまで、それらへの対処法も存在しています。妊娠を希望される場合は治療前から担当医とよく相談しましょう。

2.経過観察

経過観察は、病状にもよりますが、治療後2年間は3カ月ごと、それ以降2年間は6カ月ごと、その後は年1回程度受診し、必要に応じて診察、PSA検査、画像検査を受けます。気になる症状がある場合には、早めに受診して担当医に相談しましょう。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2019年07月24日 [ 履歴 ]
履歴
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年11月18日 掲載内容の更新が不要であることを確認しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

前立腺がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの患者さんによりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

前立腺がんの臨床試験を探す

国内で行われている前立腺がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「前立腺がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 前立腺がん

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
  • がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
検索の前に、がんの臨床試験についてこちらをご確認ください。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2021年07月01日 [ 履歴 ]
履歴
2021年07月01日 掲載しました。

前立腺がん 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で前立腺がんと診断されたのは例(人)です。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示されます。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

なお、生存率には大きく2つの示し方があります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。他方を「相対生存率」といい、がん以外の死因を除いて、がんのみによる死亡を計算した生存率です。

以下のページに、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表している院内がん登録から算出された生存率を示します。

データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではありません。

以下のページでは、最新の病期別生存率を掲載しています。
更新・確認日:2023年07月05日 [ 履歴 ]
履歴
2023年07月05日 「2.生存率」の院内がん登録生存率集計結果閲覧システムのリンク先を更新しました。
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年07月01日 掲載しました。

前立腺がん 予防・検診

1.発生要因

前立腺がんのリスクを高める要因として、前立腺がんの家族歴、高年齢が明らかにされています。その他にも肥満、食品(カルシウムの過剰摂取など)、喫煙などについて多くの研究が行われていますが、まだ明らかではありません。

2.予防と検診

日本人を対象とした研究結果から定められた、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」では、禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防ががんの予防に効果的といわれています。

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことでがんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、前立腺がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することが勧められます。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療前後の検査は、ここでいう検診とは異なります。

更新・確認日:2021年02月24日 [ 履歴 ]
履歴
2021年02月24日 「5.患者数(がん統計)」を更新しました。
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年11月18日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

前立腺がん 関連リンク・参考資料

1.前立腺がんの相談先・病院を探す

2.参考資料

  1. 日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会 編:前立腺癌取り扱い規約 第4版(2010年12月);金原出版
  2. 日本泌尿器科学会 編:前立腺癌診療ガイドライン 2016年版 第1版(2016年10月);メディカルレビュー社
  3. 日本がんリハビリテーション研究会 編:がんのリハビリテーションベストプラクティス 第1版(2015年1月);金原出版
  4. 日本性機能学会・ED診療ガイドライン2012年版作成委員会 編:ED診療ガイドライン 2012年版 第1版(2012年5月);リッチヒルメディカル株式会社
  5. James D. Brierley, Mary K. Gospodarowicz, Christian Wittekind, editors. UICC: TNM Classification of Malignant Tumours, 8th Edn. West Sussex: Wiley-Blackwell; 2017.191-192.
更新・確認日:2021年07月01日 [ 履歴 ]
履歴
2021年07月01日 「1.前立腺がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2021年02月24日 「5.患者数(がん統計)」を更新しました。
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2017年07月26日 「前立腺癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年11月18日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。
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