1.外陰部について
外陰部は、上部にある丸みを帯びた恥丘、外郭に位置するふくらみのある表皮である大陰唇、その内側の左右一対の小陰唇などで構成されます。小陰唇の上方には陰核があります。会陰は腟口から肛門までを指します。
生殖器は発生学的由来により内生殖器と外生殖器に分けられます。外陰部は体表の皮膚が変化して生じた外生殖器で、外からの刺激に対して生殖器を守る役割があります。
2.外陰がんとは
多くは大陰唇に発生しますが、小陰唇や陰核などにも発生することがあります。
進行すると、太もものつけ根あたりにある鼠径リンパ節への転移が生じやすくなります。
3.症状
早期の段階では自覚症状がない場合があります。症状としては、外陰部の腫瘤、かゆみ、熱感、痛み、出血、色素沈着、皮膚の色が部分的に白くなる白斑などがあります。
4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)
外陰部に発生するがんのほとんどは扁平上皮がんです。その中で、外陰部の皮膚の表面をおおう上皮内でとどまっているものを外陰上皮内腫瘍(VIN:vulvar intraepithelial neoplasia)といいます。また、その他の外陰がんとして、扁平上皮がん以外の悪性疾患もまれにあります。
1)外陰上皮内腫瘍(VIN)
VINはヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)感染に関連するものと関連しないものとで区別されています。
(1)HPV感染に関連するVIN
比較的若年者に発症します。軽度扁平上皮内病変に分類されるものは自然に消えることが多いため、経過を観察します。一方で、高度扁平上皮内病変に分類されるものについてはがんになる可能性があるため、患者さんの状況に応じて治療が行われます。
(2)HPV感染に関連しないVIN
高齢者に多く、白斑がみられることが多いです。分化型外陰上皮内腫瘍に分類され、悪性度が高い傾向にあるため、治療が行われます。
2)その他の外陰がん
扁平上皮がん以外の悪性疾患で、パジェット病やメラノーマ(悪性黒色腫)もまれにあります。その場合は、皮膚科領域ならびに婦人科領域の腫瘍専門医のそろった病院で治療を受けることをお勧めします。