1.たばこを吸う人の割合
習慣的に喫煙する人の割合のことを喫煙率といいます。男性の喫煙率は、減少傾向が続き、2019年では27.1%となっています。女性の喫煙率は、10%前後を推移しながら横ばいからやや減少傾向になり、2019年では7.6%です(図1)。この約50年間で低下してきましたが、近年は下げ止まりの傾向にあります。
また近年、IQOS、glo、ploom TECHなどの加熱式たばこが広まってきました。加熱式たばこは、喫煙者の20%以上が使用しています。中でも、若い喫煙者では加熱式たばこを使用する人が多く、20~30代では男性で約40%、女性で約50%に達しています(図2)。なお、この割合には、紙巻たばこと加熱式たばこの両方を喫煙している約5%の人を含みます。加熱式たばこの登場と普及は、喫煙率が下げ止まり傾向を強めてきた理由の1つである可能性があります。
2.禁煙の意思と日本における禁煙目標
習慣的に喫煙する人の中には、たばこをやめたいと思っている人も多くいます。「やめたい」と回答した人は男性約25%、女性約30%で、「本数を減らしたい」と回答した人を合わせると、男女とも半数を超えています(図3)。その一方で、たばこを「やめたくない」と回答した人は男性で約30%、女性では約20%です。
日本は、2010年時点で約20%の喫煙率を2022年までに12%に下げることを目指しています。これは、「たばこをやめたい喫煙者が2022年度までに全員禁煙すれば12%に低下する」として定められた目標値で、「がん対策推進基本計画」にも使われています。
しかし、喫煙率は期待したように下がっていません。喫煙率が下がらないことは、がん対策推進基本計画の目標「75歳未満の年齢調整死亡率20%減少」が達成できない理由の1つにもなっています。
なお、たばこに含まれるニコチンには依存性があります。依存性の強さは、ヘロイン、コカインなどの依存性物質と同様の特徴や強度があるとされており、禁煙を成功させるのはそれほど簡単ではありません。何度か禁煙に挑戦してみたものの成功に至らず、禁煙成功の自信がないため「やめたい」と思わなくなっている人も多いとみられています。
日本では、要件を満たせば保険診療で禁煙治療を受けることができます。禁煙治療の詳細については、関連情報をご覧ください。
3.関連リンク・ 参考資料
1)関連リンク
国立がん研究センターでは、厚生労働省より2016年に公表された「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(通称、「たばこ白書」)、および2020年に全面施行された改正健康増進法の要点をとりまとめたリーフレットを作成し、公表しています。
2)参考資料
- 厚生労働省ウェブサイト.喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書;2016年(閲覧日2022年8月25日)https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省ウェブサイト.健康日本21(第二次);2018年(閲覧日2022年8月25日)https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省ウェブサイト.令和元年国民健康・栄養調査報告;2020年(閲覧日2022年8月25日)https://www.mhlw.go.jp/