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骨肉腫〈小児〉

骨肉腫〈小児〉 治療

骨肉腫の治療は、手術(外科治療)と薬物療法が基本になります。

1.病期(ステージ)と治療の選択

骨肉腫においては、表1に示すような分類がよく用いられます。骨肉腫は発見されたときにはすでに、病期ⅡBまで進んでいる場合が多くあります。転移があると病期ⅢになりⅡBに比べて治りにくくなります。したがって、転移の有無を調べることが重要です。

手術の方法は、患者の年齢、腫瘍の性質や大きさ、場所によって異なりますが、患者やご家族の希望なども含めて検討し、担当医と共に決めていきます。

表1 Enneking(エネキン)の外科的病期分類
表1 Enneking(エネキン)の外科的病期分類

2.手術(外科治療)

手術の原則は、腫瘍が露出しないように周囲の健康な組織で包むように一塊ひとかたまりとして取ることであり、これを広範切除こうはんせつじょといいます。手足に栄養を送る重要な血管や、手足を動かす神経を残すことができれば、手足を残す患肢かんし温存おんぞん手術しゅじゅつが可能であり、切断しなくてもすみます。手術のために欠損した骨の部分には人工関節を入れたり、いったん切除した後、がんを殺す処理を施した骨(処理骨)を、もとの位置に移植したりして再建さいけんをします(再建手術)。自分の骨を別の部分から取ってきて移植することもあります。

骨肉腫は骨の端にある成長するために必要な骨端線こつたんせん(骨の細胞が密集している柔らかい骨の部分)のすぐそばにできるため、⼿術の際にここを残すことはほとんど不可能です。特に10歳以下の、まだこれから身長が大幅に伸びる時期の子どもの場合には、膝の近くの骨端線を取ってしまうと、成⻑が終わる頃には病気がない⽅の⾜に比べて10cm以上も短くなり、日常生活に支障を来すことになります。

そのため、大腿で切断をして義足を使うほうが生活しやすいという場合が多くなります。また、回転形成術と呼ばれる、血管・神経以外は病気の部分(骨)を含めて皮膚も筋肉も取ってしまい、残ったすねから下の部分を、前後180°逆さ(足のかかと部分が前を向くよう)にして大腿部に接合する手術があります。こうすることにより義足を付けた場合に前後が逆になった足首が膝の働きをしてくれるようになり、機能的には大腿で切断するよりすぐれたものになります。

しかし、最近は延長することが可能な腫瘍用人工関節や、さまざまな方法で骨を延長させる骨延長術が進歩しているため、10歳以下の子どもに患肢温存を試みることもあります。

3.薬物療法

骨肉腫が手術だけで治療されていた1970年以前は、90%近くが再発していました。しかし現在では、手術前後に薬物療法を行うことで再発率を下げ、治癒率を上げることができます。

したがって、通常2カ月から3カ月にわたる薬物療法の後に手術を行い、腫瘍の広範切除と骨再建を行った後、さらに数カ月薬物療法を追加することが、標準的な治療となっています。

使われる薬は、メトトレキサート、シスプラチン、アドリアマイシンの3つが基本で、イホスファミドを加えることもあります。その他の薬が骨肉腫の治癒率向上に役立つかどうかはまだ研究中です。欧米でも日本と同様であり、基本的な薬の種類は同じです。

副作用は吐き気、嘔吐おうとや、それに続くだるさ、口内炎、白血球減少とそれに伴う感染症などが報告されています。また、シスプラチンでは腎障害や聴力障害、アドリアマイシンでは心臓障害のおそれがあるため、それらの検査は定期的に行う必要があります。

シスプラチンとイホスファミドは妊よう性に影響することがあります。特に男性不妊を引き起こすことがありますので、思春期以降の男児には治療開始前に精子の凍結保存について説明することが一般的になっています。

4.放射線治療

骨肉腫は放射線を⽤いた治療が効きにくい腫瘍のため、放射線治療はほとんど⾏われません。しかし、腫瘍の大きさや生じた場所の問題から安全な広範切除が難しい場合や、再建が難しい患肢温存術を行う場合に、手術前あるいは手術後の補助的な治療として行うことがあります。また、脊椎や骨盤の発生で広範切除が困難な場合に、粒子線治療(陽子や重粒子じゅうりゅうし(炭素イオン)などの粒子放射線のビームを病巣に照射する放射線治療法の総称)を行うこともあります。

5.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、学校のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。

緩和ケアは、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげます。がんと診断されたときから始まり、がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます。

支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くするための予防、治療およびケアのことを指します。

子どもの素晴らしい点は、適応能力がすぐれていることです。周りの人が障害を理解できれば、子どもは障害を克服する、すぐれた資質をもっています。

本人にしか分からないつらさもありますが、幼い子どもの場合、自分で症状を表現することが難しいこともあります。そのため、周りの人が本人の様子をよく観察したり、声に耳を傾けたりすることが大切です。気になることがあれば積極的に医療者(医師、看護師、薬剤師、理学療法士など)へ伝えましょう。

6.再発した場合の治療

治療が終わって検査でがんがなくなったことを確認した後に、原発巣、または体の別の部位に再発することがあります。治療法は再発の部位、以前に⾏われた治療、またそのほかの要素により異なります。

肺にだけ少数の転移巣が生じている場合、治療法は外科的切除術が基本となります。切除が困難な肺への多数の転移や肺以外の別の部位にも再発している場合は、薬物療法が主に⾏われます。

治療後すぐに再発した場合の治療は難しいですが、1年から2年⽬以降の再発に関しては、治癒する可能性もあります。

更新・確認日:2022年09月30日 [ 履歴 ]
履歴
2022年09月30日 「小児がん診療ガイドライン 2016年版」および「原発性悪性骨腫瘍診療ガイドライン2022」より内容を更新し、ウェブページで公開しました。
2021年07月01日 小児がん情報サービスから移動し、PDFで公開しました。
2014年04月22日 小児がん情報サービスで掲載しました。
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