1.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。腎盂・尿管がんは、膀胱での再発が起こりやすいため、長期的な経過観察が必要です。また、腎温存手術を行った場合は残った腎盂や尿管の局所再発に注意が必要となります。
腎温存手術後の検査の頻度や内容は、リスクの分類によって異なります。低リスクの場合は、膀胱鏡検査やCTウログラフィー、尿管鏡検査を行います。高リスクの場合は、膀胱鏡検査、CTウログラフィー、尿細胞診検査などの検査を行います。
腎尿管全摘除術後の検査の頻度は、がんの状態や該当するリスク因子の内容などによって異なるため、医師の指示に従いましょう。検査は、膀胱鏡検査と尿細胞診検査を行います。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
また、患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や障害、症状などの共通の体験を持つ人から、生活などについて情報共有を聞くことができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターにもお問い合わせください。
1)手術後の日常生活について
片側の腎臓を摘出して腎臓が1つになったとしても、もう片方の腎臓が正常に働いていれば、通常は生活に支障を来すことはありません。高血圧や糖尿病になると腎臓に負担がかかるため、よりよい生活習慣を心がけましょう。
2)薬物療法中の日常生活
支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。
通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など、今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めるとよいでしょう。
3)食事について
腎機能に問題がなければ、多くの場合、食事を制限する必要はありませんが、腎臓に負担をかけないように、塩分をとりすぎないようにしましょう。暴飲暴食を避け、消化のよいものを規則正しく食べることが大切です。特に下腹部の手術の後には、下痢や便秘になりやすいので、様子をみながら少しずつ慣らすように食事をとるのがよいでしょう。
腎機能の維持、尿路への感染予防のために、水分をしっかりとることも大切です。水分をとる際の制限がないかを担当医に確認した上で、多めにとりましょう。
4)他の病院で処方された薬について
内服薬や、画像検査で使う造影剤の中には、腎機能に影響を与える可能性のある薬剤もあります。他の医療機関で検査を受けたり、新たに処方された薬を服用したりするときは、事前に担当医に相談しましょう。
5)高血圧や糖尿病などの持病がある場合
高血圧や糖尿病といった腎機能に影響を与える病気を抱えている場合は、それらの病気を悪化させないために、日常生活での注意や服薬が必要になる場合があります。担当医の注意をよく聞いて生活するよう心がけてください。
6)性生活について
性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。
なお、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。
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