1.発生要因
腎盂・尿管がんの危険因子には、喫煙や、ベンジジン、ナフタレンといった化学物質への曝露(さらされること)があります。ベンジジンやナフタレンは染料や顔料に関する工場で使われていた物質で、これらを長期間扱っていた人は、腎盂・尿管がんの発生リスクが高くなります。また、遺伝性の腫瘍であるリンチ症候群も腎盂・尿管がんの発生に関わっていることが分かっています。
なお、遺伝性腫瘍の家族歴があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。
※危険因子については、がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載することを原則としています。記載方針については関連情報をご覧ください。
2.予防とがん検診
1)予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事(塩分を控える、暴飲暴食を避ける、消化によいものを食べるなど)、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
腎盂・尿管がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。
2)がん検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療をすることで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和5年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。
しかし、腎盂・尿管がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。
なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。