1.喉頭について
喉頭は、いわゆる「のどぼとけ」のところにある器官で、気管と咽頭をつないでいます(図1)。喉頭では、鼻や口から取り込まれた空気は気管へ、飲食物は食道へと振り分けられます。喉頭には左右一対の声帯があり、左右の声帯とそれらに囲まれた空間を声門といいます。また、声門より上を声門上部、下を声門下部と呼びます。
なお、鼻、口、あご、のど、耳などからなる部位を頭頸部といいます。
喉頭は、空気の通り道というだけでなく、声帯を振動させて声を出すという働きもあります。また、飲食物を飲み込むときには、喉頭蓋と呼ばれるフタを閉じることにより、飲食物が間違えて気管に入ること(誤嚥)を防いでいます。

2.喉頭がんとは
喉頭にできるがんを喉頭がんといい、喉頭がんは頭頸部がんの1つです。がんができる場所によって、「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」の3つに分けられています。この中で最も多いのは声門がんで、喉頭がんの半数以上を占めます。
声門がんは進行するまで転移しないことが知られています。声門上部がんと声門下部がんは周辺のリンパ液の流れが豊富なためリンパ節に転移しやすいという特徴があります。
3.症状
喉頭がんは、がんができる場所によって最初にあらわれる症状が異なります。
1)声門がん
声を出すために必要な声帯にがんができるため、早い時期から声の異常である嗄声(声がれ)という症状があらわれます。嗄声には、低いがらがら声、雑音が入ったざらざらした声、かたい声、息がもれるような声などがあります。がんが進行すると、嗄声もひどくなり、声門が狭くなると息苦しくなります。また、痰に血液が混じることもあります。早い時期から症状が出るため、早く発見されやすいがんです。
2)声門上部がん
のどに、いがらっぽさ、異物感や飲食物を飲み込んだときの痛みがあらわれます。がんが声帯にまで広がると嗄声が起こり、さらに進行すると息苦しくなります。はじめのうちは、のどの違和感など風邪のような症状であり気付くことが遅れるため、発見が遅くなりがちです。
3)声門下部がん
がんが進行するまで症状がないことが多く、進行すると嗄声や息苦しさといった症状があらわれます。進行するまで受診しないことが多いため、発見が遅くなりがちです。
これらのような気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、早期発見につなげましょう。