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喉頭がん

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喉頭がんについて

1.喉頭こうとうについて

頭頸部とうけいぶとは、脳、目、首の骨(頸椎けいつい)を除いた頭と頸部(首)のことで、鼻や口、あご、のど、耳、またそれらの周囲の臓器を指します。頭頸部には、聴覚、嗅覚、味覚といった感覚器官があり、かむこと(咀嚼そしゃく)、飲み込むこと(嚥下えんげ)、発声、呼吸といった生活に欠かすことのできない機能があります。

その中でも喉頭は、いわゆる「のどぼとけ」のところにある、声を出したり呼吸を助けたりする器官で、咽頭いんとうと気管をつなぐ部分です(図1)。喉頭は咽頭から気管への空気の通り道ですが、飲食物が入ってきたときには、喉頭蓋こうとうがいと呼ばれる部分が閉じることにより、飲食物が気管に入ること(誤嚥ごえん)を防ぎます。

喉頭には左右一対の声帯せいたいがあり、声帯が振動することで声が出ます。左右の声帯とそれらに囲まれた空間を声門せいもんといいます。また、声門より上を声門上部せいもんじょうぶ、下を声門下部せいもんかぶと呼びます。

図1 頭頸部の構造
図1 頭頸部の構造

2.喉頭がんとは

喉頭がんは、喉頭に発生するがんで、頭頸部がんの1つです。発生するがんの組織型(がんの種類)は、ほとんどが扁平へんぺい上皮じょうひがんです。がんができる場所によって、「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」に分けられています。最も多いのは声門がんで、次いで声門上部がん、声門下部がんと続きます。

声門がんは、頭頸部の他の部位のがんと比べて転移することが少ないです。一方で、声門上部がんと声門下部がんは、周辺のリンパ液の流れが豊富なため、リンパ節に転移しやすいという特徴があります。

3.症状

喉頭がんは、がんができる場所によって、あらわれる症状が異なります。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

1)声門がん

早い時期から声のかすれ(嗄声させい)があらわれます。がんが大きくなると嗄声もひどくなり、さらに進行して声門が狭くなると息苦しさを感じるようになります。
また、がんから出血することにより、たんに血液が混じることもあります。声門がんは、これらの症状が早い段階であらわれるため、比較的早期に発見されやすいです。

2)声門上部がん

のどのいがらっぽさ、異物感、飲食物を飲み込んだときの痛みがあらわれます。がんが声帯にまで広がると嗄声が起こり、さらに進行すると息苦しさを感じるようになります。のどのいがらっぽさは風邪症状と似ているため、がんと気付きにくく、発見が遅くなることがあります。

3)声門下部がん

進行すると嗄声や息苦しさといった症状があらわれます。がんが進行するまで症状がないことが多いため、進行するまで気付きにくく、発見が遅くなることがあります。

4.関連する疾患

喉頭がんと同時、または異なる時期に、肺、食道、喉頭以外の頭頸部などにがんが見つかることがあります。喉頭がんの原因である喫煙や飲酒は、これらのがんの発生要因でもあるためです。このように、異なる臓器に発生するがんのことを重複じゅうふくがんといいます。喉頭がんは重複がんが多いという特徴があります。

更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」「日本頭頸部癌学会 全国登録2019年初診症例の報告書」より、内容を更新しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 検査

喉頭がんが疑われた場合、内視鏡検査で喉頭を観察し、組織を採取して詳しく調べる検査(生検せいけん)が行われます。また、がんの大きさやリンパ節、他の臓器への転移などを確認するために、CT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査、PET検査などが行われます。

がんの検査について、大まかな流れや心構えなどの基本的な情報を掲載しています。

1.内視鏡検査

咽頭や喉頭に局所麻酔をかけ、のどへの刺激による吐き気(咽頭いんとう反射はんしゃ)と痛みを除いたあと、内視鏡を鼻や口から入れて喉頭を確認します。
腫瘍の大きさなどを確認するとともに、声帯がどの程度動くか、気道狭窄きょうさく(空気の通り道が細く狭くなった状態)が起こっていないかについて調べます。

喉頭がんでは、胃や食道に重複がんができることがあります。そのため、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で、重複がんがないかを調べることが勧められています。

2.生検

喉頭を内視鏡で確認しながら病変の一部を採取して、顕微鏡を使って詳しく観察し、がんであるかどうかや、がんの場合は組織型(がんの種類)などを診断する検査です。
がんが小さい場合や、のどの刺激による吐き気(咽頭反射)が強い場合は、局所麻酔での検査が難しいため全身麻酔を使用することもあります。

3.CT検査

体の周囲からXエックス線をあてて撮影することで、体の断面を画像として見る検査です。がんの深さや広がり、リンパ節や離れた臓器への転移(遠隔転移)を調べるために行います。造影剤を注射して撮影すると、がんの広がりや、がんが周りの臓器に浸潤しんじゅんしているかなどをより詳しく確認できます。

4.MRI検査

強力な磁石と電波を使用して撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。CT検査よりも、がん組織と正常組織の区別がより分かりやすくなります。また、CT検査とは異なる方法で、がんの深さや広がり、リンパ節への転移を調べることができます。CT検査と同様に、造影剤を使用することもあります。

5.超音波(エコー)検査

首の表面から超音波をあて、そのはね返りをモニターで見ながら観察する検査です。主に頸部けいぶリンパ節への転移を調べるときに用います。

6.PET検査

放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、がん細胞にエネルギー源として取り込まれるブドウ糖の分布を撮影します。PET検査とCT検査の画像を重ねることで、CT検査やMRI検査とは異なる情報から、がんの広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無をより詳細に調べることができます。治療後の再発の診断にも有用なことがあります。

7.腫瘍マーカー検査

がんの診断の補助や、診断後の経過観察、治療の効果判定などを主な目的として行う検査です。現在のところ、喉頭がんでは、診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。

更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 治療

喉頭こうとうがんの治療には、放射線治療、化学放射線療法、手術(外科治療)、薬物療法などがあります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。不安なことや困ったことがあるときは、医療者やがん相談支援センターに相談しましょう。

1.ステージと治療の選択

治療方法は、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、体の状態などから検討します。

1)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。喉頭がんでは0期〜ⅣC期まであります。

ステージは、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。
Tカテゴリー:原発げんぱつ腫瘍の広がり
Nカテゴリー:頸部けいぶリンパ節に転移したがんの大きさと個数
Mカテゴリー:がんができた場所から離れた臓器への転移の有無

原発腫瘍とは、原発部位(がんが初めに発生した部位)にあるがんのことで、原発巣ともいわれます。

表1 喉頭がんのTNM分類
表1 喉頭がんのTNM分類の表
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成
表2 喉頭がんの病期分類
表2 喉頭がんの病期分類
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成

2)治療の選択

治療は、がんの進行の程度や種類(組織型)に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。

喉頭がんの治療は、がんの進行度(T分類やN分類)や、喉頭の機能を残すかどうかにより、手術(外科治療)や放射線治療、薬物療法などが行われます。

0~Ⅱ期までの場合は、放射線治療か喉頭を温存する手術のいずれかの治療で、喉頭をすべて取らずに声を出す機能などを残すことが勧められています。Ⅲ期以上の進行がんの場合は、喉頭の機能を残すことを目指す治療(化学放射線療法)か、喉頭をすべて取り除く手術(喉頭全摘出術)かを選択します。遠くの臓器に転移があるⅣC期の場合は、薬物療法を行うかどうかを検討します。

図2~6は、喉頭がんの0期~ⅣB期および導入化学療法(根治を目指した治療の前に行う化学療法)における標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図2 喉頭がんの治療の選択(Tis、T1)
図2 喉頭がんの治療の選択(Tis、T1)
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図3 喉頭がんの治療の選択(T2)
図3 喉頭がんの治療の選択(T2)
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図4 喉頭がんの治療の選択(T3)
図4 喉頭がんの治療の選択(T3)
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図5 喉頭がんの治療の選択(T4a)
図5 喉頭がんの治療の選択(T4a)
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図6 喉頭がんの治療の選択(導入化学療法)
図6 喉頭がんの治療の選択(導入化学療法)
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成

妊娠や出産について

がんの治療が、妊娠や出産に影響することがあります。また、がんの治療が遅れる場合には、妊娠の継続を断念せざるを得ないこともあります。将来子どもを持つことを希望している場合で、特に薬物療法を受ける可能性が高いときには、妊孕性にんようせいを温存すること(妊娠するための力を保つこと)が可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談しましょう。

禁煙について

喫煙を続けることで、手術の際に麻酔が効きにくくなり、創部感染などの合併症も起こりやすくなります。また、薬物療法や放射線治療の効果が下がることも報告されています。このように、喫煙はがん治療の効果に影響を与えるため、喫煙している場合には治療が始まる前に禁煙しましょう。治療までに禁煙できていない場合、治療が延期されることもあります。

なお、禁煙治療を希望する場合は、担当医に相談しましょう。お住まいの近くで禁煙外来を行っている医療機関を紹介される場合もあります。

セカンドオピニオンについて

担当医が提案した以外にも治療法がないか知りたいときや、担当医の意見を別の角度から検討したいときにセカンドオピニオンを受けることもできます。セカンドオピニオンについての詳細は、担当医やがん相談支援センターに確認しましょう。

2.放射線治療

放射線治療は、放射線をあててがん細胞を破壊し、がんを消滅させることです。喉頭を切除しないため、声を出す機能を残すことが期待できます。
がんの進行度によっては、放射線治療と薬物療法とを併用する化学放射線療法を行う場合があります。化学放射線療法に関する情報は、関連情報をご確認ください。

1)放射線治療の内容と種類

体の外側から放射線をあてる外部照射を、30~35回(1日1回の治療を6~7週間)受けます。がんの部位によっては、頸部リンパ節も照射する範囲に含めます。
Ⅰ期、Ⅱ期の早期の声門がんの場合は、1回の照射量を増やし、回数を減らした治療(加速分割照射法)が行われることがあります。
治療中は、目的の部位に放射線を正確にあてるため、頭部と頸部が動かないようにする固定具(シェル)を使用します(図7)。

図7 頭頸部固定用のシェル装着の様子
図7 頭頸部固定用のシェル装着の様子

なお、強度変調放射線治療(Intensity-Modulated Radiation Therapy : IMRT)という方法での治療が選択されることもあります。IMRTは、さまざまな方向からあてる放射線の量をコンピューターで調節して、複雑な形のがんでもそれぞれの部位に適切な量の放射線を照射できます。このため、治療終了後にあらわれる副作用を軽減する効果が期待できます。

その他の放射線治療

粒子線治療(陽子線・重粒子線)

口腔・咽頭・喉頭の頭頸部がんのうち、扁平上皮がん以外のがんでは、粒子線治療(陽子線・重粒子線)が保険適用となりました。しかし、喉頭がんの多くは扁平上皮がんであるため、粒子線治療を受けられる人は限られています。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

2020年6月より、手術が適応とならない局所進行または局所再発の頭頸部がんに対して、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy : BNCT)が保険適用となりました。治療は標準治療が優先となり、実施できる施設や適応となる病気の状態は限られています。BNCTの詳細や、実施できる施設については、関連情報をご覧ください。

強度変調放射線治療(IMRT)、粒子線治療、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の詳細について記載しています。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の詳細について記載されています。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問い合わせ先が掲載されています。

2)放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、治療中や治療後すぐにあらわれる早期合併症と、治療終了後半年から数年たって起こる晩期合併症があります。

喉頭がんの放射線治療や化学放射線療法では、食事や発声など、日常生活に重要な機能を持つ場所に副作用があらわれるため、これらの副作用をコントロールすることが大切です。副作用が原因で治療が続けられなくなることを避けるため、皮膚科医、看護師、歯科医、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、公認心理師、臨床心理士などの医療スタッフが連携して、苦痛を緩和するための治療やケアが行われます。

(1)治療中に起こる副作用とその対処法

①粘膜炎(口内炎・咽頭炎など)・唾液の分泌障害・味覚障害

放射線治療を始めてから1~2週目からは口内炎や咽頭炎などの粘膜炎、唾液が出にくくなる、味が分からなくなるといった症状が起こり始め、照射が終わってから7~10日頃に最も強くなります。粘膜炎によって、水や食事が飲み込みにくくなる嚥下困難などの症状があらわれることもあります。

粘膜炎は照射が終わってから2週間~1カ月で改善していきますが、声がかれる、唾液が出にくくなる、味が分からないという症状の改善には時間がかかり、十分に回復しないことがあります。

口腔ケア

口の中には、たくさんの細菌が存在しています。放射線治療によって唾液が減少すると、細菌から粘膜や歯を守ることができず、粘膜の感染や、むし歯などができることがあります。粘膜に刺激のないやさしいブラッシング、うがい、こまめに水分をとることなどを心がけて、口の中を清潔で潤った環境に保ちましょう。

粘膜炎や痛みへの対処

口の中の乾燥や粘膜炎による痛みに対しては、口やのどに負担がかからないように食事をやわらかくするなど工夫をしましょう。痛みが強くて食事をとることが難しい場合は、痛み止めを使います。必要に応じて、オピオイド(医療用麻薬)を用いることもあります。

胃ろうの造設

治療中や治療後に食事がとりにくい場合や、薬を内服できない場合には、胃ろうから直接栄養や薬を入れることができます(図8)。胃ろうを通じて必要な栄養を補うことで、栄養状態や体力の低下を防ぎます。その結果、治療の中断や入院のリスクを減らすとともに、治療効果を保つことにつながります。

なお、胃ろうは、ほとんどの場合、内視鏡やXエックス線を使って、おなかの中を確認しながらつくります。治療が終わって、口から十分食事がとれるようになったら、胃ろうの管を抜きます。管を抜いたあとの穴は、通常、自然にふさがります。

図8 胃ろう
図8 胃ろう
②皮膚炎

治療を始めてから2~3週目頃に皮膚炎が起こり始めます。治療が終わってから数日~1週間以内で最も強くなり、1~2カ月程度でよくなることが多いです。

皮膚炎の予防

皮膚を清潔に保ち、保湿することが大切です。皮膚炎が起こった場合は、医師の診察と指示を受けて、外用薬(塗り薬)を用いて悪化を防ぐことがあります。清潔や保湿など、スキンケアに関する詳細は、関連情報をご参照ください。

③のどのむくみ(喉頭浮腫ふしゅ)・声の変化

放射線治療を始めてから2週目頃からは、のどのむくみや声のかすれ(嗄声)といった症状が起こり始め、治療が進むにつれて強くなります。むくみが強くなると、声が低くなる、出しにくくなる、あるいは息苦しさを感じるといった症状があらわれることもあります。
のどのむくみは照射が終わってから数週間~半年程度かけて徐々に改善していきますが、声の質(声がれ)の改善にはさらに時間がかかり、軽い声のかすれが残ることもあります。

(2)治療終了後半年から数年たってあらわれる副作用

中耳炎、嚥下障害、開口障害(口が開きにくくなること)、唾液が出にくいことによる味覚の低下やむし歯の増加、歯が抜ける、下顎骨壊死かがくこつえし(下あごの骨の組織が局所的に壊死すること)や下顎骨骨髄炎こつずいえん(口の中に普段からいる細菌が、下あごの骨に感染した状態)によるあごの痛みやれなどの症状があらわれることがあります。そのため、治療が終わったあとも、感染を防ぐために口の中をきれいに保つことが大切です。

頭頸部に放射線治療を受けると、甲状腺の機能が低下して、だるさや体重の増加などの症状があらわれることがあります。血液検査で甲状腺の機能が低下していると分かった場合は、ホルモン薬を服用することで、多くの場合は症状が改善します。

治療が終わったあとも体調の変化に気を付けて、気になる症状があれば担当医に相談しましょう。

3.化学放射線療法

化学放射線療法とは、放射線治療と薬物療法を併用する治療です。病気の進み具合によっては、放射線治療のみで治療する方法と比較して、がんの進行を抑える効果があること、声を出す機能を残せる可能性が高いこと、予後が向上することなどが報告されています。

一方で、放射線と薬物の両方の副作用により、嗄声、粘膜炎による嚥下障害、皮膚炎、骨髄抑制などの症状が強く出ることがあります。そのため、化学放射線療法を行うかどうかは、がんや体の状態をふまえて、医師と相談しながら決めていきます。

化学放射線療法における薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や、分子標的薬を使います。細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的にして、がんを攻撃する薬です。薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者にご確認ください。

薬物療法で使われる薬の種類(細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)に関する情報は以下のページをご覧ください。

4.手術(外科治療)

1)手術の種類

喉頭を残して声を出す機能を保つ「喉頭温存手術」か、喉頭をすべて取り除く「喉頭全摘出術」が選択されます。

(1)喉頭温存手術

喉頭の一部を取り除く手術で、手術後もある程度声を出すことができます。

経口的切除術

声門や声門上部の表在病変(粘膜の表面近くにとどまった病変)に対しては、口から手術の器具を入れて、顕微鏡や内視鏡で確認をしながらがんを切除する経口的切除術が行われます。レーザーを使ってがんを切除する方法もあります。
また、声門上部がんに対しては、手術支援ロボットを利用する経口的ロボット支援手術(TORS:Trans oral robotic surgery)が用いられることがあります。喉頭を残すため、手術のあとも発声が可能です。がんの大きさや場所によっては、手術のあとに飲み込みのリハビリテーションが必要になることもあります。

喉頭部分切除術・喉頭亜全摘出術

頸部を切開し、喉頭を一部残してがんを取り除く手術です。喉頭を残す範囲によって、喉頭部分切除術と喉頭亜全摘出術に分けられます。

(2)喉頭全摘出術

喉頭を完全に切除する方法で、手術後は声を出すことができなくなります。また、喉頭をすべて切除したあとは、頸部に呼吸をするための穴(永久気管孔)を開ける必要があります。

喉頭がんを含む頭頸部がんの手術の解説が、写真やイラストを用いて掲載されています。

(3)頸部けいぶ郭清術かくせいじゅつ

リンパ節への転移がある場合は、転移のあるリンパ節を周囲の組織ごと切除します。リンパ節への転移が確認されない場合にも予防的に切除を行うことがあります(予防的郭清)。
がんの状態によっては、周辺の血管や神経を残すことが難しい場合もあります。

(4)遊離ゆうり空腸くうちょう移植いしょく

手術で下咽頭や食道の一部または全部を切除した場合、小腸の一部を利用して食物の通り道を再建します。

2)手術の後遺症

(1)喉頭温存手術後の後遺症

切り取る範囲が小さい場合は声への影響はわずかですが、切り取る範囲が大きい場合や、がんが声帯に近い場合は、声が出にくくなることもあります。
また、喉頭を部分的に切除することで、誤嚥ごえんしやすくなります。そのため、手術の前後に専門知識を持った言語聴覚士や看護師などの指導のもと、飲み込みのリハビリテーションを行うことが勧められています。

(2)喉頭全摘出術の後遺症

喉頭全摘後は、失声(声を失うこと)、嚥下障害(飲み込みづらいこと)、口呼吸や鼻呼吸ができなくなるなどの後遺症があらわれます。これらは、リハビリテーションや生活の工夫で対処できるものもあるので、医療者と相談をしながら自分にあった方法を見つけていくことが大切です。

失声

声帯を含む喉頭をすべて取り除くため、手術のあとは声を出せなくなります。そのため、食道発声やシャント発声などの発声法や、電気式人工喉頭(発声を補助する器具)など代用音声を使ったリハビリテーションを行います。

嚥下障害

食物のつかえや飲み込みづらさが起こる場合がありますが、食道と気管が完全に分かれるため、誤嚥の心配はありません。
遊離空腸移植を行った場合、縫い合わせた部分が狭くなることで、飲み込みにくさや、食べ物の停滞や逆流の症状があらわれることがあります。その場合は狭窄した部分を広げる手術を行ったり、食事の内容や食べ方を工夫したりします。

失声や嚥下障害に対するリハビリテーションの詳細は、関連情報「喉頭がん 治療 7.リハビリテーション」を、口呼吸や鼻呼吸ができなくなることによる生活上の注意点については、関連情報「喉頭がん 療養 2.日常生活を送る上で」をご覧ください。

失声や嚥下障害に対するリハビリテーションを掲載しています。
喉頭全摘後の日常生活における注意点を掲載しています。

(3)頸部郭清術の後遺症

腕をあげにくくなる、首や肩の締めつけ感や痛みなどの症状があらわれることがあります。取り除いたリンパ節の近くに神経がある場合、首や肩が動かしづらくなる場合もあります。これらの後遺症の予防・改善のために、リハビリテーションを行うことがあります。詳しくは担当の医師に確認しましょう。

(4)甲状腺機能低下症・副甲状腺機能低下症

喉頭がんの手術では、甲状腺や副甲状腺の一部またはすべてを切除する場合があります。甲状腺や副甲状腺は、身体が正常に機能するために必要なホルモンを分泌する働きがあります。手術後は血液検査で甲状腺や副甲状腺が分泌するホルモンの値を調べ、不足している場合は、ホルモンの機能を代替する薬を内服します。ホルモンの値によっては、生涯にわたって内服が必要な場合もあります。

5.薬物療法

喉頭がんの薬物療法には、治癒や機能の温存を目指した集学的治療の一環として行われる薬物療法と、再発・転移した場合に行われる薬物療法があります。

1)薬物療法の種類

治癒や機能の温存を目指す薬物療法には、放射線治療と同時に行われる「化学放射線療法」、根治を目指した治療の前に行われる「導入化学療法」、根治を目指した手術のあとに行われる「術後化学放射線療法」があります。「化学放射線療法」および再発や遠隔転移した場合の薬物療法については、関連情報をご確認ください。

導入化学療法

放射線治療や手術の前に行う薬物療法です。薬物療法の効果を確認したあとに、次の治療(放射線治療か手術かなど)を検討する目的で行われます(図6)。また、放射線治療や手術の前に薬物療法を行うことで、腫瘍の量を減らして治療の効果を高めるために行われる場合もあります。
治療は、複数の細胞障害性抗がん薬を組み合わせて行われ、分子標的薬を併用することもあります。
なお、導入化学療法のうち、手術の前に行われるものを、術前化学療法といいます。

術後化学放射線療法

手術のあと、がんが取りきれなかった場合や、再発の可能性が高い場合に行う治療です。細胞障害性抗がん薬の投与を、放射線治療と併せて行います。

薬物療法のイメージ

薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者に確認しましょう。

2)薬物療法の副作用

副作用は、使用する薬の種類ごとに異なります。また、副作用の程度にも個人差があります。最近では副作用を予防する薬などの開発が進み、予防しやすくなりました。

自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気を付けるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医や薬剤師などに確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、担当医や薬剤師、看護師など身近な医療者に伝えましょう。

薬物療法で使われる薬の種類(細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)に関する情報は以下のページをご覧ください。

6.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、将来への不安などさまざまなつらさも経験するかもしれません。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体のつらさ、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。

緩和ケアは、終末期だけでなく、診断時から行われるすべてのがん治療の土台です。体のつらさがある場合には、緩和ケアや支持療法を受けることで和らげることができます。つらい症状が和らぐと、がんの治療にも専念しやすくなります。がんやがん治療に伴うつらさを感じたときには担当医や看護師に伝えましょう。がん相談支援センターに相談することもできます。

全国のがん診療連携拠点病院では外来、入院いずれの状況でも緩和ケアを受けることができます。必要時には地域の病院と連携して、自宅で緩和ケアを継続することも可能です。お住まいの地域の病院や在宅療養、利用できる制度、地域の緩和ケアに関する情報などについては、がん相談支援センターやソーシャルワーカーにご相談ください。

アピアランスケア

がんやがんの治療によって外見が変化することがあります。支持療法の中でも、外見の変化によって起こるさまざまな苦痛を軽減するための支援として行われているのが、「アピアランス(外見)ケア」です。外見の変化による悩みや心配についても、医療者やがん相談支援センターに相談できます。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
からだ・こころ・くらし、緩和ケア/支持療法、アピアランスケアに関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。

7.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の機能を維持・向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われます。

一般的に、治療中や治療後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師や看護師などの医療者に確認しましょう。

1)代用音声のリハビリテーション

喉頭全摘出術により声を出せなくなった場合は、食道発声、電気式人工喉頭(電気喉頭)、シャント発声などの代用音声を獲得することができます(図9)。それぞれ、習得の難しさ、声の聞きやすさ、機械や器具の管理のしやすさなどが異なるので、自分にあった方法を選びます。代用音声について気になることがあれば、担当医や看護師、言語聴覚士などに聞いてみましょう。

(1)食道発声

食道に吸い込んだ空気を吐き出すときに、食道を振動させて発声します。習得に時間がかかるため、電気式人工喉頭と併用して練習する場合もあります。練習を開始する時期は担当医に確認しましょう。食道発声法のコツは、患者会などで経験者に聞くのもよいでしょう。

(2)電気式人工喉頭

電気式人工喉頭(電気喉頭)という、電気で振動する機械をのどにあてて音を出し、口、舌などの形を調節して発声します。習得は簡単ですが、機械的な音声で、片手がふさがります。機械が入手できれば、入院中から練習を始められます。

(3)シャント発声

気管と食道をつなぐ道をつくり、肺から食道へ空気を送り発声します。毎日の管理や定期的な器具の交換が必要ですが、食道発声より簡単に習得できます。

図9 発声法の種類
図9 発声法の種類

発声の訓練をする発声教室については、関連情報をご覧ください。

日喉連は、喉頭がんなどで声帯を切除し、声が出せなくなった人たちが組織する団体です。下記のページでは、発声の訓練を通して社会復帰や会員の交流を図る、全国各地の発声教室が紹介されています。
がん相談支援センターでは、患者会や患者サロンなど、同じような体験をした人と話ができる場に関する情報をもらえることもあります。また、困りごとや悩みごとの他、電気式人工喉頭の購入費用の助成制度などについても相談できます。

2)飲み込みのリハビリテーション

治療の内容によっては、喉頭の動きが悪くなる、飲食物を食道へ振り分ける働きが低下するなどが原因で、誤嚥ごえんするリスクが生じる場合があります。誤嚥による肺炎を防ぐために、治療の前から安全に食事をとるリハビリテーションを行うことが勧められています。リハビリテーションは言語聴覚士や看護師とともに、舌やのどの筋力を強化したり、安全な飲み込み方の訓練をしたりします。

喉頭温存手術を受けた場合は、飲み込みのリハビリテーションで、その段階に合った食べ物を選びます。食べることそのものがリハビリテーションになるため、担当医と相談しながらいろいろな食事を試してみましょう。

放射線治療中は、粘膜炎や唾液の減少などにより、食べ物を飲み込みにくくなります。そのため、治療中から飲み込みのリハビリテーションを始めることが勧められています。

3)頸部郭清術によって起こる症状へのリハビリテーション

頸部郭清術を行った場合、手術後の顔のむくみ、頸部の変形・こわばり、肩の動かしづらさがあらわれることがあります。これらの症状を悪化させないために、肩に負担をかけない工夫について、医師や理学療法士などから指導を受けることや、肩や首を動かしたり、筋肉を強化したりする訓練を行うことが勧められています。

8.再発した場合の治療

再発とは、治療によって見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣やその近くにがんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも再発といいます。

転移のしやすさは、がんのできる場所により異なります。
声門がんは初期のうちは転移しにくいですが、声門上部がんや声門下部がんはリンパ節に転移しやすく、遠くの臓器に転移(遠隔転移)することもあります。肺への遠隔転移が最も多いです。

1)局所再発した場合の放射線治療・手術

放射線治療は、原則として同じ部位に再度行うことができないため、放射線治療後に再発した場合には手術による治療が選択されます。ただし、以前放射線をあてた部位の皮膚は、傷が治りにくかったり、感染しやすかったりするため、回復に時間がかかることがあるため、注意が必要です。
一方で、最初の治療で放射線治療を行っていない場合には、放射線治療も含めて治療法を検討します。

2)再発・転移した場合の薬物療法

初回の治療後に再発し、手術や放射線治療ができない場合や、遠隔転移がみられる場合には、がんを小さくすることで症状を和らげたり、生活の質(QOL)を保ち向上させたりすることを目的に、薬物療法が行われることがあります。

再発後の薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使います。体や病気の状態に合わせて、いくつかの薬を併用することもあります。

いずれの薬物療法でも副作用への対応が重要です。特に免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療では、いつ、どんな副作用が起こるか予測がつかず、治療が終了してから数週間から数カ月後に起こる副作用もあるため注意が必要です。起こるかもしれない副作用の症状を事前に知り、いつもと違う症状を感じたら、医師や薬剤師、看護師などの医療スタッフに相談しましょう。

なお、2026年3月現在、喉頭がんの治療に効果があると証明されている免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。

頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)について

2021年より、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対して、がん細胞に結合する薬剤を投与したあと、レーザー光をあてることでがん細胞を壊すアルミノックス治療(光免疫療法)が保険適用となりました。治療が受けられる条件や実施できる施設は限られているため、まずは担当医に確認しましょう。

アルミノックス治療(光免疫療法)の詳細が掲載されています。
頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)の有効性・安全性などに関する注意点が掲載されています。
更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2020年02月27日 「4.薬物療法」以降の項目の順序を変更し、「8.生存率」の参照先を「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」としました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月10日 5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 5年相対生存率データを更新しました。
2013年02月14日 内視鏡治療の図を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 療養

1.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

喉頭がんの再発は治療後3年以内が多いとされていますが、喉頭がんの組織型で最も多い扁平上皮がん以外では3年以上経過したあとで遠隔転移をする場合もあります。そのため、長い経過観察が必要とされることもあります。

受診の間隔や検査の内容は一人ひとりの状態によって異なりますが、少なくとも5年間は経過観察をする必要があります。通院の際には、首の触診を含む診察や内視鏡検査、場合によってはCTなどの画像検査が行われます。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙すること、飲酒を控えること、バランスのよい食事をとること、適度に運動することなどを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のないように過ごしましょう。

治療後の安静が必要な期間を過ぎてからは、積極的に、機能を回復するための練習が必要です。話すこと、飲み込むこと、食べることは、多くの筋肉や神経の複雑な働きによって可能になります。身ぶりや手ぶり、メモによる筆談などを組み合わせながら、なるべくのどを使うように心がけてみましょう。話すことが、飲み込みやすさを助けることもあります。

1)喉頭全摘出術後の日常生活

喉頭全摘出術を受けた場合は、永久気管孔の管理が必要です。また、口呼吸や鼻呼吸ができなくなるので、以下のような注意をしましょう。

(1)永久気管孔の管理

喉頭全摘出術を受けて、永久気管孔(呼吸をするために首に開けた穴)を作った場合は、以下のような管理や注意が必要です。

  • 清潔を保つために毎日ぬれたタオルで気管孔を拭く
  • 乾燥しないように人工鼻(吸い込んだ空気の加湿・加温やフィルターの役割をする医療機器)やエプロンガーゼ(永久気管孔をカバーするためのガーゼ)をかぶせる
  • 吸入や吸痰を行う
  • 入浴の際には気管孔にお湯が入らないように注意する

(2)食事や排泄

口呼吸や鼻呼吸ができなくなります。それによって、口の中で食べ物を冷ますことができなくなるため、飲食物は冷ましてから口に入れるようにしましょう。また、おなかに力が入りにくくなることで便が出しづらくなることがあります。下剤が使えるかどうか、担当医に確認しましょう。

(3)身体障害者手帳

喉頭全摘出術を受けた人は身体障害3級に該当します。認定を受けると、電気式人工喉頭・ファクシミリ・吸入吸痰器などの「日常生活用具」の給付または貸与、交通機関の運賃割引や税金の軽減・控除などの「割引・助成」を受けられることがあります。援助の内容は自治体によって異なるため、市区町村の担当窓口で確認しましょう。

申請手続きは手術当日から行えます。申請してから認定されるまで、2~4カ月程度かかるので、手術の前に市区町村の窓口で書類を取り寄せておくとよいでしょう。
詳しい情報は、お住まいの市区町村に問い合わせてください。分からないことや心配なことについては、がん相談支援センターにも相談できます。

2)患者会・患者サロンについて

患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や障害など、共通する経験をもつ人から情報を聞いたり、交流をしたりすることができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターで入手することもできます。

患者会・患者サロンのイメージ

性生活について

治療を受けている期間や治療終了後の性交渉が、がんの進行に悪い影響を与えたり、パートナーに悪い影響を与えたりすることはありません。そのため、性交渉を控える必要はありません。ただし、薬物療法中やそのあとは、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児にも影響を及ぼすため、治療中や治療終了後、子どもを望む場合でも一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などのホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。

なお、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2025年04月01日 内容を確認し、一部更新しました。
2023年09月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの人によりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

喉頭がんの臨床試験を探す

国内で行われている喉頭がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「喉頭がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 喉頭がん

臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
がんの臨床試験への参加を考えるときに、知っておきたい情報について掲載しています。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 内容を確認し、表記を一部変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

喉頭がん 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で喉頭がんと診断されたのは例(人)です。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つに、生存率があります。生存率とは、診断からある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。がんの治療成績をあらわす指標としては、がんの診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

関連情報には、地域がん登録から算出された喉頭がんの5年相対生存率を掲載しています。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。したがって、診断や治療の進歩により、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての人に当てはまる値ではないことをご理解ください。

以下のページでは、最新の病期別生存率を掲載しています。
更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 内容を確認し、表記を一部変更しました。
2023年07月05日 「2.生存率」の院内がん登録生存率集計結果閲覧システムのリンク先を更新しました。
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年07月01日 掲載しました。

喉頭がん 予防・検診

1.発生要因

喉頭がんが発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。特に、解剖学的な特徴から、喉頭がんは喫煙の影響が他のがんより強いとされています。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙すること、飲酒を控えること、バランスのよい食事をとること、活発に体を動かすこと、BMIを基準とした適正体重を維持すること、感染を予防することが有効であることが分かっています。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。がん検診は、症状があらわれていない人に行われます。症状があって受診したときに行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査はがん検診ではありません。

わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和7年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

喉頭がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、早期に医療機関を受診することが勧められます。

更新・確認日:2026年04月06日 [ 履歴 ]
履歴
2026年04月06日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2025年04月01日 内容を確認し、一部更新しました。
2023年09月06日 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」を確認し、更新しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 関連リンク・参考資料

1.喉頭がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

2.参考資料

  1. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン2025年版.2025年,金原出版.
  2. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.
  3. 日本臨床腫瘍学会編.頭頸部がん薬物療法ガイダンス第2版.2018年,金原出版.
  4. 日本放射線腫瘍学会編.患者さんと家族のための放射線治療Q&A 2025年版.2025年,金原出版.
  5. 日本放射線腫瘍学会編.放射線治療計画ガイドライン2024年版.2024年,金原出版.
  6. 成田浩人編.放射線治療計画 -準備から照射まで-.2018年,PILAR PRESS.
  7. 辻哲也編,がんのリハビリテーションマニュアル周術期から緩和ケアまで第2版.2021年,医学書院.

作成協力

更新・確認日:2026年04月02日 [ 履歴 ]
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2026年04月02日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年09月06日 「2.参考資料」を更新しました。
2021年07月01日 「1.喉頭がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。
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