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喉頭がん

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喉頭がんについて

1.喉頭について

喉頭は、いわゆる「のどぼとけ」のところにある器官で、気管と咽頭いんとうをつないでいます(図1)。喉頭では、鼻や口から取り込まれた空気は気管へ、飲食物は食道へと振り分けられます。喉頭には左右一対の声帯せいたいがあり、左右の声帯とそれらに囲まれた空間を声門せいもんといいます。また、声門より上を声門上部せいもんじょうぶ、下を声門下部せいもんかぶと呼びます。

なお、鼻、口、あご、のど、耳などからなる部位を頭頸部とうけいぶといいます。

喉頭は、空気の通り道というだけでなく、声帯を振動させて声を出すという働きもあります。また、飲食物を飲み込むときには、喉頭蓋こうとうがいと呼ばれるフタを閉じることにより、飲食物が間違えて気管に入ること(誤嚥ごえん)を防いでいます。

図1 頭頸部の構造
図1 頭頸部の構造の図

2.喉頭がんとは

喉頭にできるがんを喉頭がんといい、喉頭がんは頭頸部がんの1つです。がんができる場所によって、「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」の3つに分けられています。この中で最も多いのは声門がんで、喉頭がんの半数以上を占めます。

声門がんは進行するまで転移しないことが知られています。声門上部がんと声門下部がんは周辺のリンパ液の流れが豊富なためリンパ節に転移しやすいという特徴があります。

3.症状

喉頭がんは、がんができる場所によって最初にあらわれる症状が異なります。

1)声門がん

声を出すために必要な声帯にがんができるため、早い時期から声の異常である嗄声させい(声がれ)という症状があらわれます。嗄声には、低いがらがら声、雑音が入ったざらざらした声、かたい声、息がもれるような声などがあります。がんが進行すると、嗄声もひどくなり、声門が狭くなると息苦しくなります。また、たんに血液が混じることもあります。早い時期から症状が出るため、早く発見されやすいがんです。

2)声門上部がん

のどに、いがらっぽさ、異物感や飲食物を飲み込んだときの痛みがあらわれます。がんが声帯にまで広がると嗄声が起こり、さらに進行すると息苦しくなります。はじめのうちは、のどの違和感など風邪のような症状であり気付くことが遅れるため、発見が遅くなりがちです。

3)声門下部がん

がんが進行するまで症状がないことが多く、進行すると嗄声や息苦しさといった症状があらわれます。進行するまで受診しないことが多いため、発見が遅くなりがちです。

これらのような気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、早期発見につなげましょう。

更新・確認日:2018年06月26日 [ 履歴 ]
履歴
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 検査

1.喉頭がんの検査

喉頭鏡こうとうきょう検査や内視鏡検査で喉頭を観察し、がんが疑われる場合は、組織を採取して詳しく調べます(生検)。また、がんの大きさやリンパ節、他の臓器への転移などを確認するために、CT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査などを行います。

2.検査の種類

1)喉頭鏡検査

喉頭は口から直接見ることができないため、喉頭鏡という小さな鏡を口の奥に入れて喉頭を観察し、がんがあるかを確認します。

2)内視鏡検査・喉頭ファイバースコープ検査

内視鏡を鼻から入れて、喉頭を観察します。同じ目的で喉頭ファイバースコープを使うこともあります。痛みはほとんどなく、喉頭鏡より詳しく調べることができます。

3)生検

喉頭に局所麻酔を行い、内視鏡などで確認しながらがんの一部を採取して、顕微鏡下で詳しく観察し、がんであるかを確定します。

4)CT検査

体の周囲からX線をあてて撮影することで、体の断面を画像として見ることができます。がんの深さや広がり、リンパ節への転移を調べるときに行います。造影剤を注射して撮影すると、がんの特性や周りの血管との状態を詳しく確認することができます。

5)MRI検査

強力な磁石と電波を使用して撮影することで、体の断面を画像として見ることができます。CT検査よりがん組織と正常組織の区別が明確で、CT検査とは異なる情報から、がんの深さや広がり、リンパ節への転移を調べられます。

6)超音波(エコー)検査

首の表面から超音波をあて、そのはね返りをモニターで見ながら観察します。主に頸部けいぶリンパ節への転移を調べるときに用います。

7)腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、体のどこかにがんが潜んでいると異常に大量に産生される物質です。がんの種類に応じて多くの種類があり、血液検査により量を測定します。

喉頭がんでは、現在のところ、診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。

更新・確認日:2018年06月26日 [ 履歴 ]
履歴
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 治療

1.病期と治療の選択

治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的です。

1)病期(ステージ)

喉頭がんの病期は、「がんの広がり(T分類)」「頸部のリンパ節に転移したがんの大きさと個数(N分類)」「遠くの臓器への転移の有無(M分類)」によるTNM分類(表1)に基づいて決まります(表2)。

表1 喉頭がんのTNM分類
表1 喉頭がんのTNM分類の表
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」(金原出版)より作成
表2 喉頭がんの病期分類
表2 喉頭がんの病期分類の表
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」(金原出版)より作成

2)治療の選択

治療法は標準治療に基づいて、がんの進行の程度や体の状態、年齢、患者さんの希望なども含めて検討し、担当医とともに決めていきます。
食事をとる、発声するといった機能を温存することも重要視しています。

喉頭がんの治療方法は、がんの進行度によって異なります。Ⅰ期やⅡ期といった早期の場合は、放射線治療や喉頭を残すことができる手術(喉頭温存手術)のみで治療することがありますが、患者さんの状況に合わせて治療法を組み合わせることも少なくありません。進行している場合、従来は喉頭をすべて取り除く手術(喉頭全摘出術)を行いましたが、最近では放射線治療と薬物療法を併用した治療で、声を残す方法も選ばれるようになってきました。

図2〜6は、喉頭がんの広がりの程度ごとに根治を目指す治療方法を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図2 喉頭がんの治療の選択(Tis、T1)
図2 喉頭がんの治療の選択の図(Tis、T1)
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」(金原出版)より作成
図3 喉頭がんの治療の選択(T2)
図3 喉頭がんの治療の選択の図(T2)
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」(金原出版)より作成
図4 喉頭がんの治療の選択(T3)
図4 喉頭がんの治療の選択の図(T3)
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」(金原出版)より作成
図5 喉頭がんの治療の選択(T4a)
図5 喉頭がんの治療の選択の図(T4a)
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」(金原出版)より作成
図6 喉頭がんの治療の選択(導入化学療法)
図6 喉頭がんの治療の選択の図(導入化学療法)
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」(金原出版)より作成

妊娠や出産について

がんの治療が、妊娠や出産に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊よう性温存治療(妊娠するための力を保つ治療)が可能か、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

2.放射線治療

放射線治療では、放射線をあててがん細胞を破壊し、がんを消滅させたり小さくしたりします。正確に放射線をあてるため、治療中に体が動かないようにする固定具(シェル)を使用するのが一般的です。喉頭を切除しないため、声を出す機能を残すことができます。放射線は正常な細胞にもダメージを与えるため、その影響をなるべく少なくできるよう間隔をあけ、何回かに分けて治療を行います。通常、治療にかかる期間は6〜7週間です。

がんの進行度により、放射線治療を単独で行う場合と、放射線治療と薬物療法を併用する場合があります。

1)放射線治療(単独)

Ⅰ期やⅡ期といった早期の場合に行います。1週間に5回の頻度で、分割して治療をするのが一般的です。リンパ節を治療の範囲に含むかどうかは、がんの種類によって異なります。早期の場合は、放射線をあてる範囲が狭いので、皮膚の発赤や声がれなどの比較的軽い副作用ですみます。

近年、通常の照射法のほか、がんが進行している場合には強度変調放射線治療(IMRT)という治療法も行われるようになってきました。IMRTでは、さまざまな方向からの放射線の量をコンピューターで調節するため、複雑な形のがんでもそれぞれの部位に適切な量の放射線を照射することができます。また、正常な細胞への照射を最小限にできるため、放射線をあてる範囲が広い場合でも副作用の軽減が期待されます。

2)化学放射線療法

化学放射線療法は、進行した喉頭がんに対して、薬物療法と併用して放射線治療を行う方法です。薬物を併用することにより放射線治療の効果を高めることができます。一方で、放射線と薬物の両方の副作用により、放射線治療を休止せざるをえない場合もあります。嗄声や音声障害、粘膜炎による嚥下障害、皮膚炎、骨髄抑制などの副作用も強くなります。

副作用について

がんが進行している場合の放射線治療中や治療後には、唾液の出る量の減少、口腔こうくう乾燥、味覚障害、口腔・咽頭・喉頭の粘膜炎による痛み、皮膚の炎症による痛みなどがみられ、しばしば摂食・嚥下機能が低下します。また、倦怠けんたい感や体力低下が起こることもあります。咽頭・喉頭の乾燥は後遺症として続き、痰の切れが悪くなったり、痰がはりついたりする感じが生じることも少なくありません。

副作用が原因で治療を中止するという事態を避けるため、副作用を最小限にする支持療法という処置を行うことがあります。

(1)放射線皮膚炎への対応

軟こうを用いて、放射線治療によって損傷した皮膚の組織を保湿します。

(2)口内炎/粘膜炎への対応

放射線治療によって口内炎や粘膜炎がみられる場合、痛みに対する処置として薬剤を用いることがあります。

(3)口腔ケア

治療に伴い、口の中にたくさん存在する細菌が原因で感染症になることがあります。これを防ぐには、粘膜に刺激のないやさしいブラッシング、うがいやこまめに水分をとるなど、口の中を清潔で潤った環境に保つことが効果的です。また、定期的に歯科医師の診察やチェックを受けましょう。口腔ケアは放射線治療だけでなく、手術や薬物療法でも行われています。

(4)胃ろうの造設

おなかの皮膚から胃へ直接管を留置することを「胃ろうの造設」といいます。口腔や咽頭の粘膜炎などの副作用により、栄養や薬剤を口から適切に摂取できず、それが原因で治療を継続できなくなることを避けるため、放射線治療の前に胃ろうをつくっておくこともあります。治療中や治療後に必要な場合には、直接胃の中に栄養や薬剤を入れることができます。治療が終わって、口から十分食事がとれるようになったら留置していた管は抜くことができます。抜いてしまうと通常は自然に穴がふさがります。

3.手術(外科治療)

手術には、喉頭を部分的に残す「喉頭温存手術」と、喉頭をすべて取り除く「喉頭全摘出術」があります。声を出す機能を残すため、できる限り喉頭温存手術を行いますが、がんがとりきれないほど進行しているときには喉頭全摘出術を行います。

1)手術の種類

(1)喉頭温存手術

喉頭の一部を取り除く方法で、がんの大きさや場所によりますが、手術後もある程度声を出すことができます。さまざまな手術方法があり、声帯や声門上部のがんで表面のみにとどまる場合は、口から確認しながらレーザーなどでがんを取り除くことができます(内視鏡切除術または経口的切除術)。より進行している場合や部位によっては、首を切開してがんを取り除く「喉頭部分切除術」や「喉頭亜全摘出術」を行うことになります。

(2)喉頭全摘出術

喉頭を完全に取り除く方法で、手術後は手術前と同様の声を出すことができなくなります。喉頭を取り除くと喉頭とつながっていた咽頭が開いた状態になるため、この部分を閉じる処置を行います。ただし、この処置により気管が鼻や口とつながらなくなってしまうため、呼吸をするための穴(永久気管孔)を首に開ける必要があります。

(3)頸部郭清術けいぶかくせいじゅつ

リンパ節への転移がある場合に、手術で転移のあるリンパ節を周囲の組織ごと取り除く方法です。がんの状態によって、取り除く範囲は異なります。リンパ節への転移がない場合にも頸部郭清術を行うこともあります(予防的郭清)。周辺の血管や神経をできるだけ残しながら手術しますが、がんの状態によってはそれらを残すことができないこともあります。

2)手術の後遺症

喉頭の切除術式や頸部郭清術の範囲によって異なります。

(1)喉頭温存手術後の後遺症

早期の場合は、切り取る範囲が少ないため声への影響はわずかですが、広い範囲を切り取る場合やがんの部位によっては、声が出にくくなることもあります。また、飲食物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥ごえんを起こしやすくなるので、気をつけなければなりません。

(2)喉頭全摘出術の後遺症

喉頭をすべて取り除くため、手術直後はまったく声を出すことはできなくなりますが、いくつかの発声法があり、訓練することで声を出せるようになります。また、食道と気管が完全に分かれるため、誤嚥の心配はありません。ただし、小腸の一部を利用して食道を再建する「遊離空腸移植」をした場合は、移植部分で食べたものが停滞したり、つなぎ合わせた部分が狭窄きょうさくしたりして、飲み込みにくい、食べたものが逆流するといった症状があらわれることがあります。その場合は狭窄した部分を広げる手術を行ったり、食事の内容や食べ方を工夫したりします。

(3)頸部郭清術の後遺症

手術の範囲によりますが、腕をあげにくい、首や肩の締めつけ感や痛みといった症状があらわれることがあります。そのまま動かないでいると、痛みや肩が動かしにくい状態が続いてしまう場合もあります。また、神経に接して存在するリンパ節もあり、首や肩の麻痺まひがあらわれることがあります。このような場合はリハビリテーションを行って、それらの症状を軽減します。

4.薬物療法

Ⅱ期以降で行う「化学放射線療法」、主にⅣ期で行う「導入化学療法」、再発や遠隔転移に対する薬物療法があります。

1)導入化学療法

放射線治療や手術を行うときに、これらの治療の前に先行して行う薬物療法のことです。

導入化学療法には、シスプラチンとフルオロウラシル(5-FU)を併用するPF療法、PF療法にドセタキセルを加えたTPF療法があります。

また、導入化学療法後に行う放射線治療の際に、治療の効果を高めて喉頭を温存するために、分子標的薬を併用することがあります。

2)再発や遠隔転移に対する薬物療法

(1)分子標的薬

一般的にセツキシマブが用いられています。セツキシマブにシスプラチンやフルオロウラシル(5-FU)を併用することもあります。

(2)免疫チェックポイント阻害薬

喉頭がんではニボルマブが用いられています。承認されて間もない薬のため、副作用について特に慎重に検討がなされています。(2018年6月現在)

5.緩和ケア

緩和ケアとは、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法です。がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われ、希望に応じて幅広い対応をします。患者さん本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えるようにしましょう。

6.リハビリテーション

声を失ったり、飲食物を飲み込んだりする働きが低下した場合は、リハビリテーションを行い、これらの機能をできる限り回復させていきます。

1)発声のリハビリテーション

喉頭全摘出術により声を出せなくなった場合は、代用音声を獲得する方法があります(図7)。

(1)食道発声

食道に吸い込んだ空気を出すときに食道を振動させて発声する方法です。習得に時間がかかりますが、器具を必要としないので両手を使えるのが利点です。食道発声法は習得者の話が役に立つことがあります。患者会などで経験者にコツを聞くとよいでしょう。

(2)電気喉頭

電動で振動する器械をのどにあて、単純に言葉の口型をつくることで振動させて発声する方法です。機械的な音声で、片手がふさがってしまいますが、習得は簡単です。器械が入手できれば、入院中から練習を始められます。

(3)シャント発声

気管と食道をつなぐ道をつくり、肺から食道へ空気を送り発声する方法です。つくった道に器具を入れて誤嚥を防ぐ方法もあり、この場合は器具のメンテナンスが必要ですが、食道発声より簡単で10日ほどで習得できます。

それぞれメリット、デメリットがあるため、患者さんに合った方法を選びます。
気になることがあれば、担当医や看護師、言語聴覚士などに聞いてみましょう。発声の指導をする発声教室もあるため、活用してもよいでしょう。

図7 発声法の種類
図7 発声法の種類の図

2)飲み込みのリハビリテーション

飲食物を食道へ、空気を気管へふり分ける働きが低下すると、誤嚥による誤嚥性肺炎になってしまう恐れがあります。これを防ぐために、言語聴覚士や看護師などと共に、安全に食事をとるリハビリテーションを行います。舌やのどの筋力強化の訓練や実際に食事をするリハビリテーションがあります。

3)頸部郭清術による症状のリハビリテーション

肩や首の症状を悪化させないために、肩に負担がかからない生活の指導を受けたり、肩や首を温めたりします。また、肩や首を動かす訓練、筋肉を強化する訓練なども行います。

7.転移・再発

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。また、再発とは、治療の効果によりがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。

転移のしやすさは、がんのできる場所により異なります。声門がんは進行するまで転移しないことが知られていますが、声門上部がんと声門下部がんはリンパ節に転移しやすいです。リンパ節に転移し、その範囲が広がると遠くの臓器に転移(遠隔転移)することもあります。多くは肺への転移で、肝臓や脳への転移はあまり起こりません。

1)局所再発に対する放射線治療・手術

放射線治療は同じ場所に対して原則として繰り返し行うことができないため、はじめの治療で放射線治療を行ったあとに再発した場合は手術を行います。一方で、はじめの治療で放射線治療を行っていない場合は、放射線治療を含めて治療法を検討します。

2)再発・転移に対する薬物療法

初回の治療後に再発し、手術ができない場合や遠隔転移が出現した場合には、薬物療法を行うことがあります。

再発後の薬物療法では、シスプラチンとフルオロウラシル(5-FU)とセツキシマブを併用する3剤併用療法、パクリタキセルとセツキシマブの2剤併用療法などが行われます。従来の薬物療法で効果が得られない場合には、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブも使用されます。

更新・確認日:2020年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2020年02月27日 「4.薬物療法」以降の項目の順序を変更し、「8.生存率」の参照先を「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」としました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月10日 5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 5年相対生存率データを更新しました。
2013年02月14日 内視鏡治療の図を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 療養

がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。

「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。

1.日常生活を送る上で

療養生活では、体調を整えるように心がけることが大切です。規則正しい生活、バランスのとれた食事や適度な運動などを心がけましょう。ただし、体調が悪いときには無理は禁物です。担当医と相談しつつ、できることから始めましょう。

治療後の安静が必要な期間を過ぎてからは、積極的に、機能を回復するための練習が必要です。話すこと、飲み込むこと、食べることは、多くの筋肉や神経の複雑な働きによって可能になります。身ぶりや手ぶり、メモによる筆談などを組み合わせながら、なるべくのどを使うように心がけてみましょう。話すことが、飲み込みやすさを助けることもあります。

喉頭温存手術を受けた場合は、飲み込みのリハビリテーションで、その段階に合った食べ物を選ぶことが重要です。食べることそのものがリハビリテーションになるため、担当医と相談しながらいろいろな食事に挑戦しましょう。

喉頭全摘出術を受けた場合は、呼吸をするために首に開けた穴(永久気管孔)は、清潔に保ち、乾燥させないために、毎日ぬれたタオルで気管孔を拭く、ガーゼをかぶせて乾燥しないようにする、吸入や吸痰といった管理が必要になります。また、入浴の際には気管孔にお湯が入らないように注意が必要です。発声法の練習も無理のない範囲で取り組みましょう。

また、喉頭全摘出術を受けた方は身体障害者3級に該当するため、認定のための手続きを行うと、自治体から援助を受けられるようになります。援助の内容は、市区町村によって異なりますが、電気喉頭・ファックス・吸入吸痰器の購入補助、交通機関の運賃割引などがあります。申請後、認定までに2カ月程度かかりますが、手術当日から申請手続きができるので、入院前に書類を取り寄せるなどの準備をしておくとよいでしょう。住まいの市区町村で問い合わせてください。わからないときには、がん相談支援センターに相談しましょう。

2.経過観察

治療後の体の状態や、がんの転移・再発の有無を確認するために、定期的に通院して診察や検査を受けましょう。万一、転移や再発があっても早い段階で見つけることで、手術を含めたさまざまな治療が選択でき、より高い治療効果も期待できます。

喉頭がんは、治療後2年以内に再発することが多いとされていますが、その後の再発頻度は緩やかに減少していきます。受診の間隔は状態によって異なりますが、治療後2年以内は1カ月から2カ月に1回程度、継続的な受診が必要であり、少なくとも5年間は経過観察をする必要があります。通院の際には、内視鏡検査、首の触診などを行います。受診の間隔や検査の内容は患者さんの状態によって異なるため、担当医と相談しながらきちんと通院しましょう。

更新・確認日:2018年06月26日 [ 履歴 ]
履歴
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの患者さんによりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

喉頭がんの臨床試験を探す

国内で行われている喉頭がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「喉頭がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 喉頭がん

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
  • がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
検索の前に、がんの臨床試験についてこちらをご確認ください。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2021年07月01日 [ 履歴 ]
履歴
2021年07月01日 掲載しました。

喉頭がん 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で喉頭がんと診断されたのは例(人)です。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示されます。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

なお、生存率には大きく2つの示し方があります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。他方を「相対生存率」といい、がん以外の死因を除いて、がんのみによる死亡を計算した生存率です。

以下のページに、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表している院内がん登録から算出された生存率を示します。

データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではありません。

以下のページでは、最新の病期別生存率を掲載しています。
更新・確認日:2022年01月25日 [ 履歴 ]
履歴
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年07月01日 掲載しました。

喉頭がん 予防・検診

1.発生要因

喉頭がんが発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。たばこを吸う量やお酒を飲む量が多くなるほど、喉頭がんを発生する危険性は高まります。また、喫煙と飲酒、両方の習慣がある人では、より危険性が高まることがわかっています。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

喉頭がんを予防するためには禁煙し、飲酒も適量を心がけましょう。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、喉頭がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することが勧められます。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の検査は、ここで言う検診とは違います。

更新・確認日:2018年06月26日 [ 履歴 ]
履歴
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

喉頭がん 関連リンク・参考資料

1.喉頭がんの相談先・病院を探す

2.参考資料

  1. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン2018年版,金原出版
  2. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版.2018年,金原出版
更新・確認日:2021年07月01日 [ 履歴 ]
履歴
2021年07月01日 「1.喉頭がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2018年06月26日 「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月06日 図2を更新しました。
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。
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