更新・確認日:2018年06月26日 [
履歴 ]
履歴
2018年06月26日 |
「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。 |
2013年01月06日 |
図2を更新しました。 |
2012年12月21日 |
内容を更新しました。タブ形式に変更しました。 |
2006年11月29日 |
内容を更新しました。 |
1996年11月25日 |
掲載しました。 |
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。
1.喉頭について
喉頭は、いわゆる「のどぼとけ」のところにある器官で、気管と咽頭(いんとう)をつないでいます(図1)。喉頭では、鼻や口から取り込まれた空気は気管へ、飲食物は食道へと振り分けられます。喉頭には左右一対の声帯(せいたい)があり、左右の声帯とそれらに囲まれた空間を声門(せいもん)といいます。また、声門より上を声門上部(せいもんじょうぶ)、下を声門下部(せいもんかぶ)と呼びます。
なお、鼻、口、あご、のど、耳などからなる部位を頭頸部(とうけいぶ)といいます。
喉頭は、空気の通り道というだけでなく、声帯を振動させて声を出すという働きもあります。また、飲食物を飲み込むときには、喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれるフタを閉じることにより、飲食物が間違えて気管に入ること(誤嚥:ごえん)を防いでいます。
2.喉頭がんとは
喉頭にできるがんを喉頭がんといい、喉頭がんは頭頸部がんの1つです。がんができる場所によって、「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」の3つに分けられています。この中で最も多いのは声門がんで、喉頭がんの半数以上を占めます。
声門がんは進行するまで転移しないことが知られています。声門上部がんと声門下部がんは周辺のリンパ液の流れが豊富なためリンパ節に転移しやすいという特徴があります。
3.症状
喉頭がんは、がんができる場所によって最初にあらわれる症状が異なります。
1)声門がん
声を出すために必要な声帯にがんができるため、早い時期から声の異常である嗄声(させい:声がれ)という症状があらわれます。嗄声には、低いがらがら声、雑音が入ったざらざらした声、かたい声、息がもれるような声などがあります。がんが進行すると、嗄声もひどくなり、声門が狭くなると息苦しくなります。また、痰(たん)に血液が混じることもあります。早い時期から症状が出るため、早く発見されやすいがんです。
2)声門上部がん
のどに、いがらっぽさ、異物感や飲食物を飲み込んだときの痛みがあらわれます。がんが声帯にまで広がると嗄声が起こり、さらに進行すると息苦しくなります。はじめのうちは、のどの違和感など風邪のような症状であり気付くことが遅れるため、発見が遅くなりがちです。
3)声門下部がん
がんが進行するまで症状がないことが多く、進行すると嗄声や息苦しさといった症状があらわれます。進行するまで受診しないことが多いため、発見が遅くなりがちです。
これらのような気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、早期発見につなげましょう。
4.統計
喉頭がんと新たに診断される人数は、1年間に10万人あたり3.9人です。男女別でみると、男性は女性の10倍以上あり、男性に多い傾向がみられます。50歳代から増加を始め、70歳代でピークを迎えます1)。
5.発生要因
喉頭がんが発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。たばこを吸う量やお酒を飲む量が多くなるほど、喉頭がんを発生する危険性は高まります。また、喫煙と飲酒、両方の習慣がある人では、より危険性が高まることがわかっています。
6.予防と検診
1)予防
日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
喉頭がんを予防するためには禁煙し、飲酒も適量を心がけましょう。
2)検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、喉頭がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することが勧められます。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の検査は、ここで言う検診とは違います。
7.「喉頭がん」参考文献
1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録2013年全国推計値,2017年
2)日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン2018年版,金原出版
3)日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版.2018年,金原出版
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