1.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。
喉頭がんは、再発する場合は、治療後3年以内であることが多いとされています。喉頭がんの組織型で最も多い扁平上皮がん以外では3年以上経過したあとで遠隔転移をすることもあり、長い経過観察が必要とされる場合もあります。
受診の間隔は状態によって異なりますが、治療後2年以内は3カ月に1回程度、継続的な受診が必要であり、少なくとも5年間は経過観察をする必要があります。通院の際には、首の触診を含む診察や内視鏡検査、場合によってはCTなどの画像検査が行われます。受診の間隔や検査の内容は一人ひとりの状態によって異なるため、担当医と相談しながらきちんと通院しましょう。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
治療後の安静が必要な期間を過ぎてからは、積極的に、機能を回復するための練習が必要です。話すこと、飲み込むこと、食べることは、多くの筋肉や神経の複雑な働きによって可能になります。身ぶりや手ぶり、メモによる筆談などを組み合わせながら、なるべくのどを使うように心がけてみましょう。話すことが、飲み込みやすさを助けることもあります。
術後の日常生活
喉頭温存手術を受けた場合は、飲み込みのリハビリテーションで、その段階に合った食べ物を選ぶことが重要です。食べることそのものがリハビリテーションになるため、担当医と相談しながらいろいろな食事に挑戦しましょう。
喉頭全摘出術を受けた場合は、呼吸をするために首に開けた穴(永久気管孔)を清潔に保ち、乾燥させないケアが必要です。毎日ぬれたタオルで気管孔を拭く、ガーゼをかぶせて乾燥しないようにする、吸入や吸痰といった管理を行います。また、入浴の際には気管孔にお湯が入らないように注意が必要です。発声法の練習も無理のない範囲で取り組みましょう。
また、喉頭全摘出術を受けた人は身体障害者3級に該当するため、認定のための手続きを行うと、自治体から援助を受けられるようになります。援助の内容は、市区町村によって異なりますが、電気式人工喉頭・ファクシミリ・吸入吸痰器などの「日常生活用具」の給付または貸与と、交通機関の運賃割引や税金の軽減、控除などの「割引・助成」などがあります。
申請後、認定までに2~4カ月程度かかりますが、手術当日から申請手続きができるので、入院前に市区町村の窓口で書類を取り寄せるなどの準備をしておくとよいでしょう。詳しい情報は、お住まいの市区町村に問い合わせてください。分からないことや心配なことについては、がん相談支援センターにも相談できます。
また、患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や障害、症状などの共通の体験を持つ人から、生活などについて情報共有を聞くことができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援セターにもお問い合わせください。
性生活について
性生活ががんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。
しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。
なお、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などの特殊なホルモン薬を飲むときは、担当医と相談してください。
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