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卵巣がん・卵管がん

卵巣がん・卵管がんについて

1.卵巣・卵管について

卵巣は、子宮の両脇に1つずつある親指大の楕円だえん形の臓器で(図1)、骨盤内の深いところにあります(図2)。卵巣は、卵巣の表面をおおっている上皮(表層上皮)、卵子のもとになる胚細胞、性ホルモンをつくる性索せいさく細胞さいぼう間質かんしつ細胞さいぼうなどからできています。卵管は子宮から左右に伸びた一対の管状の器官で、先端は卵巣の近くで漏斗ろうとのように広がっています。

卵巣は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを分泌します。また、初経から閉経までのあいだ、成熟した卵子をおよそ28日ごとに放出(排卵)します。放出された卵子は卵管を通って子宮体部に送られます。

2.卵巣がん・卵管がんとは

卵巣がんは卵巣に、卵管がんは卵管に発生する悪性腫瘍です。

卵巣や卵管に発生する腫瘍(卵巣腫瘍・卵管腫瘍)には、「悪性腫瘍」であるがんのほかに、「良性腫瘍」や、悪性と良性の中間的な性質をもつ「境界悪性腫瘍」があります。

卵巣腫瘍は、発生の起源となる組織によって、大きく「上皮性腫瘍」、「胚細胞腫瘍」、「性索間質性腫瘍」の3つに分けることができ、このうち上皮性腫瘍が最も多くなっています。さらに、卵巣がんに限ると、上皮性腫瘍は約90%と非常に高い割合を占めています。また、卵管がんもそのほとんどが上皮性です。

このページでは、最も頻度の高い上皮性の卵巣がん・卵管がんについて説明しています。ほかの種類の卵巣腫瘍・卵管腫瘍については、担当医に聞いてみましょう。

卵巣がんや卵管がんと同じように扱われるようになってきているがんに「腹膜がん」があります。腹膜がんの大部分は、漿しょう液性えきせいがんという組織型のがんです。漿液性がんは、最近では、その多くが卵管から発生しているものと考えられています。

卵巣がん・卵管がんが進行すると、腹部の臓器や腹壁の内側などをおおっている腹膜や、胃から垂れ下がって大腸と小腸をおおっている大網たいもう/だいもうにがんが広がる腹膜播種はしゅが生じます(図2-1)。播種した病変は、大腸、小腸、横隔膜、脾臓ひぞうなどに浸潤しんじゅんすることがあります(図2-2)。このほか、腹部の大血管の周りにある後腹膜リンパ節に転移することや、肺や肝臓、脳や骨などの遠くの臓器に転移(遠隔転移)することもあります。

図2 腹部の構造
図2 腹部の構造の図

3.症状

がんが初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなったなどの症状をきっかけに受診し、卵巣がん・卵管がんであることがわかる場合もあります。また、がんが大きくなると、膀胱や直腸を圧迫することにより、頻尿や便秘が起きたり、脚がむくんだりすることもあります。進行して腹水がたまると、おなかが大きく前に突き出てくることもあります。

卵巣がん・卵管がんは初期の段階には症状が出にくいため、見つかったときには進行していることが多いがんです。このような症状に気付いた場合には、早めに婦人科を受診しましょう。

更新・確認日:2021年11月04日 [ 履歴 ]
履歴
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2018年07月31日 「4.組織型分類」から「4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)」へタイトルを変更しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。
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