1.日常生活を送る上で
症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
1)手術(外科治療)後の日常生活
手術後の活動の範囲や運動については、担当医からよく説明を受けましょう。創の状態が安定したら、体力の回復状況に合わせて、まずは散歩などの軽い運動から始め、あせらず、少しずつ運動量を増やしていきましょう。運動を始めるのは、家事などの日常生活が元通りにできるようになってからです。創の痛みや違和感、熱感など気になることがあれば、遠慮なく担当医に相談しましょう。
卵巣欠落症状について
自然閉経の前に両側の卵巣を切除すると、卵巣欠落症状と呼ばれる更年期のような症状が出ることがあります。のぼせやほてり、発汗、肩こりや腰痛、頭痛、腟からの分泌物の減少や性交痛といった身体的なもの、抑うつ、不安、イライラ、不眠、意欲低下などの精神的なものなどさまざまな症状があります。また、脂質異常症や骨粗しょう症のリスクが高まります。
食事や運動などの生活習慣を見直し、血行を良くすることを心がけましょう。通常、時間の経過とともに症状は軽くなりますが、つらいときは我慢せずに担当医に伝えましょう。必要に応じて症状を和らげる薬が処方されます。
2)薬物療法中の日常生活
支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。
通院による薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めると良いでしょう。
3)性生活について
性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。
卵巣がん・卵管がんの手術では、身体的な変化に伴い、心理的な変化も生じやすくなります。性交時の痛みや性欲の減退が生じる場合もあります。
家族や夫婦関係のことなど、女性としてのつらい気持ちや悩み、心配事が重なることは少なくありません。今の自分の気持ちを落ち着いて整理する、担当医や看護師などの医療従事者に伝える、自分と似た経験をした患者さんの話を患者会などで聞くといったことが役立つかもしれません。パートナーや家族と一緒に、解決方法を話し合うのもよいでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、あまり否定的になりすぎないことも大切です。
2.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。
経過観察は、治療後1~2年目は1~3カ月ごと、3~5年目は3~6カ月ごと、6年目以降は1年ごと、を目安としています。
再発や転移の早期発見、治療後の合併症・後遺症の早期発見、早期治療のため、問診、内診、直腸診、経腟超音波断層法検査を行います。このほかに、もともとの病気の状態や治療内容によって、腫瘍マーカー検査、CT検査なども組み合わせて確認します。
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
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