1.発生要因
卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられています。特に、細胞のがん化を防ぐ働きをするBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異がある女性では、卵巣がんと乳がんを発症するリスクが高いことがわかっています。
しかし、これらの変異があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。
※がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載しています。記載方針については関連情報をご覧ください。
2.予防と検診
1)予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることがわかっています。
卵巣がん・卵管がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。ただし、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異があることがわかった女性に対しては、遺伝医学の専門家のいる、遺伝カウンセリングの体制が整った施設において、リスク低減卵管卵巣摘出手術を行うことについて検討することもあります。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。
2)検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、卵巣がん・卵管がんについては、現在は指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいう検診とは異なります。
2021年11月04日 | 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。 |
2018年07月31日 | 「4.組織型分類」から「4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)」へタイトルを変更しました。 |
2017年09月21日 | 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。 |
2013年01月29日 | 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。 |
1996年07月25日 | 掲載しました。 |