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卵巣がん・卵管がん・腹膜がん

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卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについて

1.卵巣・卵管・腹膜について

卵巣は、子宮の両脇に1つずつある親指大の臓器で(図1)、表面をおおっている上皮(表層上皮)、卵子のもとになる細胞(胚細胞)、性ホルモンをつくる細胞(性索せいさく細胞さいぼう間質かんしつ細胞さいぼう)などからできています。卵管は子宮から左右に伸びた一対の管で、先端は卵巣の近くで漏斗ろうとのような形になっています。腹膜は、おなかの内側の壁や、胃や腸など内臓の表面を覆っている膜のことです(図2―1)。なお、腹膜は性別にかかわらず誰にでもあります。

卵巣は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを分泌します。また、初経から閉経までのあいだ、成熟した卵子をおよそ28日ごとに放出(排卵)します。放出された卵子は卵管を通って子宮に送られます。

2.卵巣がん・卵管がん・腹膜がんとは

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんは、発生する場所は異なりますが、がん細胞の性質や治療法が共通しており、まとめて「卵巣・卵管・腹膜の上皮性腫瘍(特に漿しょう液性えきせいがん)」として扱われることが多くなっています。

卵巣がんは、卵巣に発生するがんで、起源となる組織によって、主に「上皮性じょうひせい腫瘍しゅよう」、「はい細胞さいぼう腫瘍しゅよう」、「性索間質性せいさくかんしつせい腫瘍しゅよう」の3つに分類され、このうち上皮性腫瘍が最も多くなっています。上皮性のがんはさらに「漿液性がん」「明細胞めいさいぼうがん」「類内膜るいないまくがん」「粘液性がん」などに分類され、それぞれ性質も異なります。

卵管がんは、卵管に発生するがんで、ほとんどが上皮性です。

腹膜がんは、腹膜に発生したと考えられるがんです。腹膜に、卵巣がん・卵管がんと同様の性質を持つ「漿液性がん」が見られるものの、卵巣や卵管にはがんが見つからない場合に診断されます。そのため、腹膜は男女ともにありますが、腹膜がんはほぼ女性にしか発生しません。

卵巣や卵管にできる腫瘍には、がんである「悪性腫瘍」のほかに、浸潤や転移をすることがない「良性腫瘍」や、悪性と良性の中間的な性質をもつ「境界悪性腫瘍」があります。このページでは、最も頻度の高い上皮性の卵巣がん・卵管がんと腹膜がんについて説明しています。ほかの種類の卵巣腫瘍・卵管腫瘍については、担当医にご確認ください。

卵巣がん・卵管がんは、できてすぐは卵巣や卵管の中だけにあり、他の場所には広がっていません。卵巣・卵管の周りには大腸、小腸、横隔膜、脾臓ひぞう、腹壁の内側などをおおっている腹膜、胃から垂れ下がって大腸と小腸をおおっている大網だいもうなどがあり(図2)、卵巣がん・卵管がんが進行すると腹膜や大網にがんが広がる腹膜播種はしゅが起こりやすくなります。

播種したがんは、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに浸潤することがあります。このほか、腹部の大血管の周りにある後腹膜リンパ節に転移することや、肺や肝臓、脳や骨などの離れた臓器に転移(遠隔転移)することもあります。

図2 腹部の構造
図2 腹部の構造の図

なお、性別にかかわらず腹膜にできる腹膜中皮腫というがんは、腹膜がんとは異なる別の種類のがんです。また、腹膜播種は、他の臓器にできたがんが腹膜に広がった状態を指し、腹膜がんとは異なります。詳しくは、関連情報「腹膜中皮腫(悪性腹膜中皮腫)」、用語集「腹膜播種」をご覧ください。

3.症状

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの自覚症状は、初期の段階ではほとんどありません。服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなったなどの症状をきっかけに受診し、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんであることがわかる場合もあります。また、がんが大きくなると、足がむくんだり、膀胱や直腸を圧迫されることによって頻尿や便秘が起きたりすることもあります。進行して腹水がたまると、おなかが大きく前に突き出てくることもあります。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんは初期の段階では症状が出にくいため、見つかったときには進行していることが多いがんです。このような症状に気付いたときには、早めに婦人科を受診しましょう。

更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月17日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版」より内容を更新しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2018年07月31日 「4.組織型分類」から「4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)」へタイトルを変更しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 検査

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんが疑われた場合、腹部の触診、内診や直腸診のほか、超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行います。がんかどうか正確な診断をするためには、病変の一部をとって行う細胞診・組織診(病理検査)が必要です。しかし、卵巣や卵管はおなかの奥深いところにあるため、皮膚から針を刺して組織や細胞を採取することが容易ではありません。そのため、画像検査で卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの疑いがあると判断された場合には、まず手術をして病変を採取し、病理検査を行って、がんかどうかを診断します。

がんの検査について、大まかな流れや心構えなどの基本的な情報を掲載しています。

1.触診・内診・直腸診

腹部の触診や、ちつに指を入れて調べる内診によって、子宮や卵巣の状態を確認します。また、肛門から指を入れて調べる直腸診によって、直腸やその周囲に異常がないかを確認します。

内診などの検査を受けるにあたって

内診などの検査について何か気になることや分からないこと(検査が初めて、痛みを感じやすいなど)があれば、検査の前の問診で医師や看護師に伝えておきましょう。

内診は、おなかのあたりにカーテンを引いた状態で行われることがほとんどであり、医師や看護師の姿が見えない状態になることもありますが、強い痛みや違和感があるときには、我慢せずに伝えてください。

緊張したり不安になったりすることもあるかもしれませんが、より負担なく検査を受けられるよう、医師や看護師が声をかけてくれます。それに合わせて深呼吸や、足の力を抜くなどするとよいでしょう。

2.超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査は、超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射の様子を画像にする検査です。経腟超音波断層法検査は、超音波を腟の中からあて、子宮や卵巣をより近い位置から観察するために行います。卵巣腫瘍の性質や状態、大きさを見たり、腫瘍と周囲の臓器との位置関係を調べたりします。

3.CT検査

CT検査は、体の周囲からX線をあてて撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。リンパ節転移の可能性や、卵巣から離れた場所への転移(遠隔転移)を調べるために行います。

4.MRI検査

MRI検査は、強力な磁石と電波を使用して撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。骨盤の内部を細かいところまで調べるために行います。子宮や膀胱、直腸などの位置関係や、腫瘍内部の状態、リンパ節が腫れていないかなどを観察し、がんかどうかを推測します。

5.細胞診・組織診(病理検査)

細胞診・組織診(病理検査)では、手術で切除した卵巣・卵管・腹膜の組織から標本をつくり顕微鏡で観察し、良性・境界悪性・悪性の判定や、組織型の確定をします。最終的な診断結果が出るまでには3週間から4週間かかります。

手術前や手術中に境界悪性または悪性が疑われた場合には、手術の範囲を決めるために、手術中に組織や細胞を採取し、病理診断を行うことがあります(術中迅速病理診断)。術中迅速病理診断には、標本にできる組織の量や時間のほか、さまざまな制約があります。そのため、切除した組織を手術後に詳しく調べて確定した最終的な病理診断と異なる場合があります。診断が異なった場合には、最終的な病理診断に基づき適切な術後治療を行います。

細胞診では、胸水や腹水などにがん細胞が含まれていないかを確認します。胸水や腹水がたまっていることが手術前にわかった場合は、おなかや胸の皮膚から針を刺して腹水や胸水を採取して調べることがあります。

6.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過観察、治療の効果判定などを主な目的として行う検査です。

腫瘍マーカーは、主にがん細胞によって作られるタンパク質などの物質で、がんの種類や臓器ごとに特徴があります。腫瘍マーカーの値は、体の中にあるがんの量を反映する指標として用いられますが、がんかどうかは、腫瘍マーカーの値だけでは診断できません。また、がんの進行や転移などの経過についても、腫瘍マーカーの値の変化だけでは判断できません。このため、がんの診断や、診断後の経過観察、治療の効果の確認を行う場合には、画像検査や病理検査などその他の検査の結果も合わせて、医師が総合的に判断します。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、血液中のCA125などを測定します。

更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
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2026年03月17日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版」より内容を更新しました。
2023年07月13日 「●細胞診、内診などの検査を受けるにあたって」を追加しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2019年07月22日 新規に追加された用語へのリンクを追加しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの治療には、手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療があります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。悩むときは遠慮せずに医療者やがん相談支援センターに相談しましょう。

1.ステージと治療の選択

治療は、がんの進行の程度を示すステージ(進行期)やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの治療を選択する際には、次のことを調べます。

1)ステージ(進行期)

がんの進行の程度は、「ステージ(進行期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、ステージの分類は進行期分類と呼ばれています(表1)。
それらの進行期は、手術の後に決まります。卵巣や卵管、腹膜はおなかの奥深いところにあることから、手術により切除した卵巣や卵管などを調べないと正確ながんの広がりが評価できないためです。

表1 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんのステージ(進行期)分類
Ⅰ期:がんが卵巣あるいは卵管内にとどまっている(限局している)もの
   ⅠA期 がんが片側の卵巣(被膜※1が破れていない)あるいは卵管内にとどまり、腹水または腹腔洗浄細胞診※2でがん細胞が見つからず、被膜表面まで広がっていない(浸潤がない)もの
   ⅠB期 がんが両側の卵巣(被膜が破れていない)あるいは卵管内にとどまり、腹水または腹腔洗浄細胞診でがん細胞が見つからず、被膜表面まで広がっていない(浸潤がない)もの
   ⅠC期 がんが片側または両側の卵巣あるいは卵管内にとどまるが、以下のいずれかが見られるもの
      ⅠC1期 被膜がもろくなっており、手術の過程で被膜が破れたもの
      ⅠC2期 自然に被膜が破れていた、あるいは被膜表面に腫瘍が広がっているもの
      ⅠC3期 腹水または腹腔洗浄細胞診にがん細胞が見られるもの
Ⅱ期:がんが片側または両側の卵巣・卵管にあり、さらに子宮や原発部位以外の卵巣などの骨盤内臓器に広がっているもの、あるいは原発性腹膜がん※3
   ⅡA期 がんが子宮や、原発部位以外の卵巣、卵管に広がったもの
   ⅡB期 がんが子宮、卵巣、卵管以外の骨盤にある臓器(直腸、膀胱、腟など)に広がったもの
Ⅲ期:がんが片側または両側の卵巣や卵管にあるか、あるいは原発性腹膜がんで、腹腔内への転移(腹膜播種※4)か後腹膜リンパ節※5への転移が細胞診または組織診で確認されたもの
   ⅢA1期 後腹膜リンパ節にのみ転移が見られるもの
      ⅢA1(ⅰ)期 転移したがんの大きさ 最大径1cm以下
      ⅢA1(ⅱ)期 転移したがんの大きさ 最大径1cmを超える
   ⅢA2期 後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、目には見えない顕微鏡レベルの腹腔内転移が見られるもの
   ⅢB期 後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、最大径2cm以下の腹腔内転移が見られるもの
   ⅢC期 後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、最大径2cmを超える腹腔内転移が見られるもの(肝臓や脾臓の表面にだけがんが広がっている状態を含む)
Ⅳ期:腹腔内転移以外の遠隔転移があるもの
   ⅣA期 胸水中にがん細胞が見られる
   ⅣB期 腹腔内の臓器(肝臓、脾臓)に実質転移(臓器の中にがんが広がること)があるもの、あるいは腹腔外の臓器(鼠径そけいリンパ節や腹腔外リンパ節を含む)に転移が見られるもの
※1卵巣の表層をおおう膜
※2おなかの中を洗った液を調べて、がん細胞が腹腔内に広がっていないか確認する検査
※3腹膜そのものから発生するがん
※4がんが腹膜に散らばって広がった状態
※5おなかの奥の背中に近い部分のリンパ節
日本産科婦人科学会・日本病理学会編.卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版.2023年,金原出版.より作成

2)がんの性質(組織型・異型度)

(1)組織型

組織型とは、がんの種類のことです。がんの性質は組織型によって異なります。上皮性の卵巣がんは、漿液性しょうえきせいがん、明細胞めいさいぼうがん、類内膜るいないまくがん、粘液性がんなどの組織型に分類されます。卵管がん・腹膜がんの多くは漿液性がんで、その他の組織型は極めてまれです。

(2)異型度

異型度(グレード)は、がんの悪性度の高さを示すものです。

漿液性がんは、低異型度と高異型度の2つに分けられます。低異型度のがんより高異型度のがんは悪性度が高いとされます。

明細胞がんについては異型度の分類はされていません。

類内膜がんはグレード1~3に分けられます。数字が大きくなるにつれて、悪性度が高くなります。

3)治療の選択

治療法は、がんのステージや組織型、異型度、遺伝子の変異に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と患者が話し合って決めていきます。

図3は、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの標準治療を示したものです。卵巣がん・卵管がん・腹膜がんが疑われる場合には、まず手術を行ってできるだけがんを取り除きます。その上で、ステージや組織型、異型度、手術でがんが取りきれたかどうかなどを考慮して、次に行う治療を決めます。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、多くの場合、手術の後に薬物療法を行います。また、がんが進行していてがんを取りきることが難しい場合には、手術の前に薬物療法を行い、がんを小さくしてから手術を行うことを検討することもあります。

図3 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの治療の選択
図3 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの治療の選択の図
日本婦人科腫瘍学会編.卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成

なお、担当医から複数の治療法を提案されることもあります。治療を選ぶにあたって分からないことは、まず担当医に確認することが大切です。また、担当医が提案した以外にも治療法がないか知りたいときや、担当医の意見を別の角度から検討したいときにセカンドオピニオンを聞くこともできます。治療の生活への影響など不安に思うこと、悩みや困りごとなども含め、がん相談支援センターで相談することもできます。

妊娠や出産について

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの治療は妊娠や出産に影響します。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊孕性にんようせいを温存すること(妊娠するための臓器や機能を保つこと)が可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談しましょう。

禁煙について

喫煙を続けることは、がんの治療の効果を下げる原因になると考えられています。喫煙している場合には、治療が始まる前に少しでも早く禁煙しましょう。なお、手術までに禁煙できていない時には、治療が延期になることもあります。禁煙治療を希望する場合は、まずはがんの治療の担当医に相談しましょう。

2.手術(外科治療)

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、手術によってがんが取りきれたかどうかが予後に影響します。残っているがんが小さいほど予後が良くなります。卵巣がん・卵管がん・腹膜がんが疑われる場合には、進行期や組織型の診断と、がんをできるだけ取りきることを目的として、手術を行います(進行期決定開腹手術/一次的腫瘍減量術)。この手術が難しい場合には、目的を限定した手術(診査腹腔鏡、試験開腹術、インターバル手術など)を検討することもあります。また、妊娠するための臓器や機能を保つことを目的として、妊孕性温存手術を検討することもあります。

1)進行期決定開腹手術/一次的腫瘍減量術

進行期決定開腹手術では、両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除することが多く、進行期を診断するための検査(腹腔細胞診、腹腔内の生検、がんの近くのリンパ節郭清と生検など)を行います。腹膜や周りの臓器にすでにがんが広がっている場合は、可能な限り、目に見えるがんを切除します。初回治療として、できるだけ早く、可能な限りがんを切除する手術のことを一次的腫瘍減量術といい、進行期決定も兼ねる場合があります。

2)試験開腹術/診査腹腔鏡

試験開腹術・診査腹腔鏡は、手術でがんを取りきることが難しい場合に、組織診によって組織型を診断することと、可能な範囲で進行期を確認することを目的として行います。進行期決定開腹手術/一次的腫瘍減量術とは異なり、試験開腹術・診査腹腔鏡の目的は診断のみで、がんの切除はしません。なお近年は、体への負担をより少なくするために、腹腔鏡手術やCTを使った生検のみを行って診断することもあります。

3)インターバル腫瘍減量術

インターバル腫瘍減量術は、最初の手術が試験開腹術だった場合、または手術後に体内に残ったがんの直径が1cm以上の場合に薬物療法(術前化学療法)を行い、その効果が認められた時点で、がんを可能な限り切除することを目的とした手術です。

4)妊孕性温存手術

妊孕性温存手術は、妊娠するための臓器や機能を保つことを目的として検討することがあります。通常、卵巣がん・卵管がんの手術では、両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除します。しかし、将来の妊娠の可能性を残したいという強い希望がある場合や、がんの性質がおとなしく、片方の卵巣・卵管だけにとどまっている場合などには、がんのない側の卵巣と卵管を切除せずに、妊娠の可能性を残す手術ができることもあります。

妊孕性温存手術を検討することができるのは、漿液性がんまたは類内膜がんで進行期がⅠA期またはⅠC1期(片側の卵巣に限局している)である場合か、明細胞がんでⅠA期である場合に限られています。

これらの条件を満たしていると判定するためには、進行期決定開腹手術において、がんを可能な限り完全に切除する必要があります。妊孕性温存手術の基本的な手術法としては、がんのある側の卵巣と卵管、大網の切除、さらに腹水細胞診を行うことが勧められています。

また、上の条件以外にも、以下のことが必要です。

  1. (1)妊娠可能年齢であり、妊娠への強い希望があること。
  2. (2)本人と家族が、卵巣がん・卵管がんや妊孕性温存治療、再発の可能性について十分に理解していること。
  3. (3)治療後も長期にわたり厳重な経過観察を続けることに同意すること。
  4. (4)婦人科腫瘍に精通した婦人科の医師による注意深い腹腔内の検査や術後の経過観察を受けることが可能であること。

これらの条件を満たした上で妊孕性温存手術が可能となります。

妊孕性温存手術を検討するときには、自分のがんの状態やリスクについて十分理解すること、妊娠の可能性への自分の気持ちを担当医にしっかり伝え、よく相談することが必要です。

5)手術の合併症について

手術の後に、腸閉塞やリンパ嚢胞のうほう(リンパ液がたまってできる袋)、リンパ浮腫などの合併症が起きることがあります。吐き気や嘔吐おうとに腹痛を伴う場合や、発熱と腹痛がある場合、足の付け根や太もも、下腹部にむくみがあり、むくんでいる場所が赤くれて熱をもっている場合は、担当医に連絡しましょう。このほか、閉経前に手術した人では、卵巣欠落症状と呼ばれる更年期障害と同様の症状が起きることがあります。

3.薬物療法

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんは進行した状態で発見されることが多く、また、早期のがんでも再発することがありますが、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんのうち最も多い漿液性がんは、薬物療法が効きやすい性質を持っています。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの薬物療法は、大きく初回化学療法、術前化学療法、維持療法に分けられます。

1)初回化学療法

初回化学療法は、治療の効果を高めることを目的として行われる薬物療法です。卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、「細胞障害性抗がん薬」を使う治療(化学療法)が基本です。細胞障害性抗がん薬は、細胞の増殖の仕組みに着目して、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。

主に、パクリタキセルとカルボプラチンを使うTC療法を行います。TC療法以外ではドセタキセルとカルボプラチンを使うDC療法があります。ドセタキセルを使用できない場合は、リポソーム化ドキソルビシンとカルボプラチンを使うPLD‑C療法を行います。複数の薬を使用できない場合は、カルボプラチンのみで治療することを検討します。

進行期がⅢ期・Ⅳ期の場合は、「分子標的薬」も使うことがあり、TC療法に分子標的薬のベバシズマブを追加した治療を検討します。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管などを標的にしてがんを攻撃する薬です。

2)術前化学療法

試験開腹術後の初回の手術でがんを取りきることが難しいと予測される場合には、手術の前に細胞障害性抗がん薬を用いた術前化学療法を行い、がんを小さくしてから腫瘍をできる限り切除するインターバル腫瘍減量術を行うことがあります。使用する薬の種類は初回化学療法と同じように検討します。

3)維持療法

進行期がⅢ期・Ⅳ期で初回の手術と薬物療法が終わった後、検査でがんが見つからない状態になっているか、がんが残っていても縮小している場合に、がんが再発したり大きくなったりするのを防ぐために行う治療を維持療法といいます。維持療法では、分子標的薬を1~2種類使用します。具体的には、ベバシズマブという点滴の薬や、オラパリブやニラパリブという内服薬を使います。2種類の薬を併用することが勧められることもあります。この際に、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の変異および遺伝子に入った傷を修復する機能の働きを検査し(HRD検査)、結果に応じて薬を選択することがあります。

薬物療法の副作用

薬物療法の副作用には、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎、脱毛、しびれなどがあります。副作用は、使用する薬ごとに異なり、その程度も個人差があります。最近では副作用を予防する薬なども開発され、特に吐き気や嘔吐については、以前と比べて予防やコントロールができるようになってきました。

自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気を付けるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医によく確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、迷わずに担当医に伝えましょう。

4.放射線治療

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、放射線を照射する領域に消化管や肝臓、腎臓が含まれるため、治療に十分な線量で放射線を照射することができず、最初に行う治療としては推奨されていません。再発した場合に、痛みなどの症状を和らげるために局所的な放射線治療(緩和照射)を行うことがあります。

5.緩和ケア/支持療法

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う体と心のつらさ、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用、合併症、後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。がんと診断された時から、治療とともにつらさを感じるときにはいつでも受けることができます。痛みなどの症状がある場合には薬の処方など、気持ちの落ち込みやつらさには心理的なケアなどを受けることができます。治療中の副作用の予防や軽減のためのケアも含まれます。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの局所進行や再発では、がんによる強い痛みのほかに、おなかに水がたまる、腸が詰まって食事が通らなくなる、尿の通り道が塞がれて腎臓の動きが悪くなるといった症状が出ることがあります。それぞれに応じて、痛みをとる薬やおなかの中にたまった水を抜く処置、尿の通りをよくする管の設置など、体を楽にするための治療やケアが行われます。

このような症状や、本人にしか分からないつらさについても、遠慮せずに、早めに医療者やがん相談支援センターに相談することが大切です。緩和ケアは、全国のがん診療連携拠点病院で外来・入院いずれの状況でも受けることができ、自宅でも受けることができます。必要時には地域の病院と連携して緩和ケアを継続することも可能です。お住まいの地域の病院や在宅療養、利用できる制度など地域の緩和ケアに関する情報などについては、がん相談支援センターやソーシャルワーカーにご相談ください。

また、がんやがんの治療によって外見が変化することがあります。支持療法の中でも、外見の変化によって起こるさまざまな苦痛を軽減するための支援として行われているのが、「アピアランス(外見)ケア」です。外見が変化することによる悩みや心配についても、医療者やがん相談支援センターに相談してみましょう。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
からだ・こころ・くらし、緩和ケア/支持療法、アピアランスケアに関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。がん相談支援センターのある病院に通っていなくても、どなたでも相談できます。
がんの治療による外見の変化と、それに対するアピアランスケアについて紹介しています。

6.リハビリテーション

一般的に、治療中や治療後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師や看護師などの医療者に確認しましょう。

退院後もリハビリテーションを受けることを希望する場合は、まずは医師に相談しましょう。医療保険制度での通院リハビリテーションや、介護保険制度での訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを利用できる場合があります。リハビリテーションを受けることができる地域の施設に関する情報が欲しいときには、がん相談支援センターにも相談できます。

7.再発した場合の治療

再発とは、治療によって見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣のあった場所やその近くに、がんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんが再発した場合は、薬物療法が主な治療法になります。使用する薬は、前の治療の終了後から再発までの期間によって異なります。

再発までの期間が6カ月未満の場合、細胞障害性抗がん薬の効果が出にくいがんであると考えられます。この場合、初回で使った薬とは異なる細胞障害性抗がん薬を単独で使用する治療を検討します。また、分子標的薬を追加して治療することもあります。

再発までの期間が6カ月以上の場合は、複数の細胞障害性抗がん薬を使った治療を中心に検討します。また、分子標的薬を追加して治療することもあります。これらの薬物療法の効果があった場合には、さらに追加で維持療法を行うことがあります。

術後薬物療法が終わって再発した場合、あるいは、標準治療を受けた後、次の選択肢を考えるときに、がん遺伝子パネル検査を検討することがあります。がんパネル遺伝子検査の詳細については、関連情報「がんゲノム医療 もっと詳しく」をご覧ください。

痛みや出血などがある場合には、放射線治療で症状を和らげる治療をすることがあります。また、脳転移がある場合には、症状緩和だけでなく、予後の改善のために放射線治療をすることがあります。

更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
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2026年03月17日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版」より内容を更新しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2019年07月22日 新規に追加された用語へのリンクを追加しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月12日 「3.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 「3.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 療養

1.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

経過観察は、治療後1~2年目は1~3カ月ごと、3~5年目は3~6カ月ごと、6年目以降は1年ごと、を目安としています。

再発や転移の早期発見、治療後の合併症・後遺症の早期発見、早期治療のため、問診、内診、超音波(エコー)検査を行います。このほかに、必要に応じて、腫瘍マーカー検査、CT検査、MRI検査、PET-CT検査を行うことがあります。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙すること、飲酒をひかえること、バランスのよい食事をとること、適度に運動することなどを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のないように過ごしましょう。

また、患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や障害、症状がある、同じ治療を受けたなど、共通の体験をもつ人から、生活などについて情報を得ることができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターにもお問い合わせください。

1)手術(外科治療)後の日常生活

手術後の活動の範囲や運動については、担当医からよく説明を受けましょう。きずの状態が安定したら、体力の回復状況に合わせて、まずは散歩などの軽い運動から始め、あせらず、少しずつ運動量を増やしていきましょう。ジョギングなどの運動を始めるのは、家事などの日常生活が元通りにできるようになってからです。創の痛みや違和感、熱を帯びているなど気になることがあれば、遠慮なく担当医に相談しましょう。

(1)リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ節やリンパ管を切除した場合に起こることがあります。リンパ液の通り道であるリンパ節やリンパ管を切除することによって、手足の先から胸部へと一方向に流れているリンパ液の通り道が少なくなり、足や下腹部がむくみやすくなります。

現在のところ、リンパ浮腫の確実な予防法はありませんが、自分でできる工夫には、適度に体を動かしてリンパ液の流れを促すことや、適切な体重を維持すること、スキンケアを行い感染を予防することなどがあります。また、リンパ浮腫を早く見つけて治療をするためには、おなかや足がむくんでいないか確認することが大切です。リンパ浮腫外来などの専門家がいる医療機関もありますので、担当医に相談した上で利用するのもよいでしょう。

(2)卵巣欠落症状

自然に閉経する前に両側の卵巣を切除すると、卵巣欠落症状と呼ばれる更年期障害と同様の症状が出ることがあります。のぼせやほてり、発汗、食欲低下、だるさ、肩こり、腰痛、頭痛、腟からの分泌物の減少や性交痛といった身体的なもの、抑うつ、不安、イライラ、不眠、意欲低下などの精神的なものなどさまざまな症状があります。また、脂質異常症や骨粗しょう症のリスクが高まるため、ホルモン補充療法が推奨されることもあります。詳細は担当の医師に相談してください。

2)薬物療法中の日常生活

支持療法の進歩によって、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになってきました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。

通院による薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めると良いでしょう。

3)性生活について

性生活が、がんの進行に悪影響を与えることはありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響 がんと診断された女性へ」をご覧ください。

卵巣がん・卵管がんの治療は、子宮や卵巣を切除することが基本です。性生活に不安を感じる人も少なくありませんが、子宮や卵巣を切除しても性行為は可能です。ただし、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが影響を受けないように、コンドームを使いましょう。

また、治療によって身体的な変化だけでなく、精神的な変化も生じやすくなります。女性としてのつらい気持ちや悩み、パートナーとの関係などの心配事が重なることもあるでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、あまり否定的になりすぎないことも大切です。

今の自分の気持ちを整理してみる、担当医や看護師などの医療者に伝えてみる、自分と似た経験をした人の話を患者会などで聞くといったことが役に立つかもしれません。患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や後遺症など、共通する経験を持つ人から情報を聞いたり、交流をしたりすることができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターで入手することもできます。

以下のページでは、女性患者の妊孕性にんようせい(妊娠するための力)とがんの治療による生殖機能への影響を治療別に解説しています。
がん相談支援センター、患者会・患者サロンに関する情報は以下のページをご覧ください。
更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月17日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版」より内容を更新しました。
2025年04月09日 内容を確認し、一部更新しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2017年09月21日 内容の更新に伴い、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの人によりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの臨床試験を探す

国内で行われている卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「卵巣がん」「卵管がん」「腹膜がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 卵巣がん
国内で行われている卵巣がんの臨床試験の一覧が出ます。

臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
がんの臨床試験への参加を考えるときに、知っておきたい情報について掲載しています。
「がんの臨床試験を探す」の使い方や注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月17日 内容を確認しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で卵巣がんと診断されたのは例(人)です。卵管がんと診断されるのは、1年間に約200例(人)です。腹膜がんはまれながんで、正確な統計はありません。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つに、生存率があります。生存率とは、診断からある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。生存率の中でも、がんの診断から5年後の数値である5年生存率がよく参考にされます。

以下のページに、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表している院内がん登録から算出された卵巣がんの生存率を示します。

生存率は、過去のある期間にがんと診断された人のデータから算出しています。治療法の進歩などにより、近年の状況やこれから治療を受ける人には当てはまらない可能性があります。

生存率の示し方にはいくつかあります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。これに対して、がん以外の死因の与える影響ができるだけ少なくなるように補正したのが「相対生存率」です。相対生存率は、複数のがん種や集団間で比較することができるため、がんの治療成績を示す指標として主に使われてきました。また、近年では、より正確にがん以外の死因を除いて計算できる「純生存率(Net Survival:ネット・サバイバル)」が国際的にも採用されるようになってきています。

以下のページでは、最新の病期別生存率を掲載しています。
更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月17日 内容を確認しました。
2023年07月05日 「2.生存率」の院内がん登録生存率集計結果閲覧システムのリンク先を更新しました。
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 予防・検診

1.発生要因

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの発生要因の1つに遺伝的要因があります。特に、細胞のがん化を防ぐ働きをするBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異がある女性(遺伝性乳がん卵巣がん)では、卵巣がんや乳がんなどを発症するリスクが高いことがわかっています。

しかし、これらの変異があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

危険因子については、がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載することを原則としています。記載方針については関連情報をご覧ください。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙すること、飲酒をひかえること、バランスの良い食事をとること、活発に身体を動かすこと、BMIを基準とした適正体重を維持すること、感染を予防することが有効であることがわかっています。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。ただし、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異があることがわかった女性(遺伝性乳がん卵巣がん)に対しては、遺伝医学の専門家のいる遺伝カウンセリングの体制が整った施設において、リスク低減卵管卵巣摘出手術※1を行うことについて検討することもあります。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

※1遺伝の影響などで卵巣がんや卵管がんの発症リスクが高い場合、がんになる前に卵管と卵巣を手術で切除することで、がんの発症を防ぐ(減らす)ことを目的に行われる手術のこと

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。がん検診は、症状が現れていない人に行われます。症状があって受診したときに行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査はがん検診ではありません。

わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和7年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。

更新・確認日:2026年03月17日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月17日 内容を確認しました。
2025年04月09日 内容を確認し、一部更新しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2018年07月31日 「4.組織型分類」から「4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)」へタイトルを変更しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 関連リンク・参考資料

1.卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

以下の「相談先・病院を探す」では、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの診療を行うがん診療連携拠点病院などの病院やがん相談支援センターを探すことができます。また、診断や治療の実施状況や病院の種類などで絞り込んで検索することや、院内がん登録の件数などを確認することもできます。

2.関連リンク

国立がん研究センター希少がんセンターのウェブサイトでは、腹膜がんや治療に関する情報が公開されています。

3.参考資料

  1. 日本婦人科腫瘍学会編.卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2025年版.2025年,金原出版.
  2. 日本産科婦人科学会/日本病理学会編.卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版.2023年,金原出版.
  3. 日本婦人科腫瘍学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版.2023年,金原出版.
  4. 日本癌治療学会編.小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2024年12月改訂 第2版.2024年,金原出版.
  5. 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構編.遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2024年版 第3版.2024年,金原出版.

作成協力

更新・確認日:2026年03月04日 [ 履歴 ]
履歴
2026年03月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2025年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版」より内容を更新しました。
2021年11月04日 「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版(2020年)」より、内容を全面的に更新し、タイトルを「卵巣がん・卵管がん」に変更しました。
2021年07月01日 「1.卵巣がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2018年07月31日 「4.組織型分類」から「4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)」へタイトルを変更しました。
2017年09月21日 「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版(2016年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年01月29日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
1996年07月25日 掲載しました。
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