- Q1 臨床試験は希望すれば誰でも参加できますか?
- Q2 臨床試験はどの医療機関でも行われていますか?
- Q3 臨床試験に参加したい場合はどうしたらよいですか?
- Q4 参加できる臨床試験があるかどうかを知りたいときはどうしたらよいですか?
- Q5 担当医から臨床試験についての話がありましたが、参加するかどうか迷っています
- Q6 新しい治療と現在行われている治療(標準治療)を比較する臨床試験に参加するときに、新しい治療を希望することはできますか?
- Q7 新しい治療と現在行われている治療(標準治療)を比較する臨床試験に参加するときのデメリットは、どのようなものがありますか?
- Q8 臨床試験に参加すると費用はどのくらいかかりますか?
- Q9 臨床試験の参加に同意しなかったり、途中で参加をやめたりした場合、治療が受けられなくなるなど不利益なことはありませんか?
- Q10 参加中の臨床試験のことで、分からないこと、気になることは誰に聞いたらいいですか?
- Q11 先進医療とは何ですか、どこで受けられますか?
- Q12 患者申出療養とはどのような制度で、どこで申し出できるのですか?
- Q13 がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査)で適応外の薬を提案されましたが、参加可能な臨床試験がありません。
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Q1 臨床試験は希望すれば誰でも参加できますか?
A1臨床試験は、参加するための条件が細かく設けられているため、希望した人が誰でも参加できるわけではありません。参加するための条件の例には、次のようなものがあります。
□病気の種類や状態
□検査結果
□過去に受けた治療
□通院ができるか
□年齢
□その他の健康状態(ほかに治療中の病気がないかなど)臨床試験ごとに参加条件は異なります。それぞれの臨床試験で設定されている全ての条件を満たすことで、初めて参加ができるようになります。
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Q2 臨床試験はどの医療機関でも行われていますか?
A2臨床試験を実施するための設備や条件が整っている医療機関のみで行われます。また、臨床試験ごとに、実施する医療機関が決められています。
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Q3 臨床試験に参加したい場合はどうしたらよいですか?
A3まずは、担当医にご相談ください。
臨床試験では、細かい参加条件が設けられています。また、実施する病院も臨床試験ごとに決められています。そのため、必ずしも参加できる臨床試験があるとは限りません。
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Q4 参加できる臨床試験があるかどうかを知りたいときはどうしたらよいですか?
A4自分が参加できる臨床試験があるかどうかを知りたいときは、まずは担当医に聞いてみましょう。病状などから、臨床試験が選択肢になりうると担当医が判断した場合は、具体的な参加の話が聞けることもあります。
また、がん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」や国立保健医療科学院の「臨床研究情報ポータルサイト」でも臨床試験について調べることができます。
ただし、臨床試験の情報には、難しい内容も多く含まれています。気になる臨床試験がある場合には、そのページを印刷して担当医に相談するとよいでしょう。
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Q5 担当医から臨床試験についての話がありましたが、参加するかどうか迷っています
A5臨床試験に参加するかどうか迷う方は少なくありません。臨床試験に関する情報には難しい内容も多いので、分からないことは何度でも担当医に質問しましょう。また、臨床試験への参加を希望する前に、標準治療やほかに受けられる治療について尋ねてみましょう。
臨床試験は、まだ最良の治療になりうるかを調べている段階で、その時点で分かっていることは限られています。参加するメリットとデメリットを十分に理解した上で、ご自身の生活への影響について考えることも重要です。
臨床試験への参加を検討する上で分からないことや心配なことがある場合は、遠慮なく担当医や周囲の医療スタッフ、CRC(臨床研究コーディネーター)にご相談ください。ご家族などともよく話し合いの上、十分に考えて決めましょう。担当医に相談し、別の病院でセカンドオピニオンを聞くという方法もあります。
担当医へ次のような質問をしてみるのもよいでしょう。
□ 私に臨床試験を勧めるのはなぜですか
□ 現在の病状に対する標準治療はどのようなものですか
□ 現在受けられる治療には、ほかにどのようなものがありますか
□ 臨床試験に参加した場合のメリット・デメリットはどのようなものがありますか
□ 臨床試験への参加を検討する時間はどのくらいもらえますか「研究段階の医療(臨床試験、治験など)基礎知識」のページもご参照ください。
臨床試験に限らず、迷いや不安な気持ちを誰かに聞いてもらいたいときは「がん相談支援センター」を利用することもできます。利用方法については「『がん相談支援センター』とは」をご参照ください。
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Q6 新しい治療と現在行われている治療(標準治療)を比較する臨床試験に参加するときに、新しい治療を希望することはできますか?
A62つの治療法の効果と安全性を公平に比較するためには、さまざまな偏りを減らしてバランスよく振り分ける必要があるため、患者がいずれかの治療法を希望することはできません。 また、臨床試験を担当する医師も、患者がどちらの治療を受けるかを決めることはできません(ランダム化比較試験)。
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Q7 新しい治療と現在行われている治療(標準治療)を比較する臨床試験に参加するときのデメリットは、どのようなものがありますか?
A7臨床試験に参加するときの一般的なデメリットとして、
- 通院回数や検査頻度が多くなる
- 薬の飲み方や生活の仕方などで守らなければならないルールがある
- まれに、これまでに知られていなかったような副作用が出る可能性がある
などがあります。
また、臨床試験では、事前に決められた検査などを受ける必要があり、参加が決まるまでに数週間程度の時間がかかります。そのため、標準治療のグループに割り振られた場合は、通常よりも治療の開始が遅くなるというデメリットがあります。
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Q8 臨床試験に参加すると費用はどのくらいかかりますか?
A8通常の診療費と同様に、健康保険の自己負担分は支払いが必要です。保険で賄える費用は臨床試験によって異なりますので、詳しくは医師やCRC(臨床研究コーディネーター)にお尋ねください。
なお、遠方から参加する場合、旅費や宿泊費の一部が補助される臨床試験もあります。事前に確認してみましょう。
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Q9 臨床試験の参加に同意しなかったり、途中で参加をやめたりした場合、治療が受けられなくなるなど不利益なことはありませんか?
A9臨床試験への参加は、患者の自由な意思で決めることができます。臨床試験の参加を断っても、不利益を受けることはありません。臨床試験の途中でやめたくなった場合も、理由を問わず、いつでもやめることができます。
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Q10 参加中の臨床試験のことで、分からないこと、気になることは誰に聞いたらいいですか?
A10参加中の臨床試験で分からないことや心配なことがあるときには、遠慮なく医師や周囲の医療スタッフ、CRC(臨床研究コーディネーター)にご相談ください。臨床試験参加前に配布される説明文書に担当医師の連絡先や相談窓口が書かれています。
また、関係者に直接相談しづらい場合は、がん相談支援センターに相談することもできます 。利用方法については「『がん相談支援センター』とは」をご参照ください。
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Q11 先進医療とは何ですか、どこで受けられますか?
A11先進医療は、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた治療法のうち、公的医療保険の対象になっていないものです。技術ごとに一定の施設基準が設けられ、それを満たした上で届け出が必要になることから、実施できる医療機関はかなり限定されます。
また、先進医療は、効果や安全性についてまだ十分に評価されていない研究段階の医療のため、必ずしも現在行われている治療(標準治療)よりもよい治療とは言えません。がん保険(民間の医療保険)には先進医療特約が付加されている場合がありますが、これを使いたいという理由などから、先進医療を希望するのは賢明ではありません。
まずは有効性、安全性が確認され、現時点で最も推奨される治療法(標準治療)を理解し、検討することを大切にしてください。
先進医療を実施している医療機関は関連情報の「厚生労働省 先進医療を実施している医療機関の一覧」に記載されています。詳しく知りたい場合は担当医もしくは「がん相談支援センター」にご相談ください。
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Q12 患者申出療養とはどのような制度で、どこで申し出できるのですか?
A12患者申出療養は、困難な病気と闘う人々の「国が承認していない薬などを使用したい」という思いに応えるために設けられた制度です。治療の効果と安全性を確認しつつ、将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することを目的としています。
申し出は、担当医との十分な話し合いを経て、患者が一定の条件を満たす医療機関(臨床研究中核病院)を通して、厚生労働省に申請します。申請された内容は、専門家からなる会議で評価・検討されます。
国内の未承認・適応外のさまざまな治療法が対象になりますが、保険適用となることを目指すものに限られます。費用については、未承認薬等の費用に加え、研究支援者の人件費や研究の品質管理、統計解析のための費用などもかかり、患者の負担が多額になる可能性があります。
患者申出療養に基づく治療を受けられるかどうかの決定には、一定の期間が必要になります。また、申し出をしても必ず受けられるとは限りません。参加できる条件や費用など状況はさまざまです。まずは、担当医にご相談ください。
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Q13 がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査)で適応外の薬を提案されましたが、参加可能な臨床試験がありません。
A13がんゲノム医療では、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて、専門家による会議(エキスパートパネル)で、一人ひとりの患者に適した治療法が検討されます。
その結果、適応外薬(国内では対象の疾患に対して使用することが承認されていない薬)が勧められ、その薬を使った治療を受けたい場合は、治験や先進医療などの臨床試験に参加する必要があります。しかし、治験の対象者にあてはまらないなど、治療を受けることが難しいケースがあるのが現状です。
未承認薬(日本人や日本の医療環境において有効性・安全性が十分に確認がされていないために承認されていない薬)の場合も同様に、治療を受けることが難しいケースが少なくありません。
国立がん研究センター中央病院などの臨床研究中核病院では、治験などの対象とならない方への治療の機会を少しでも多く提供できるよう、患者申出療養制度のもとで臨床試験に取り組んでいます。まずは担当医に相談してみましょう。
臨床研究中核病院の患者申出療養相談窓口に相談することもできます。
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