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Q1 がんの治療をしてから、頻尿や尿漏れの症状があります。どうしたらよいでしょうか。
A1気になる症状がみられたら、まずは担当医に連絡して、病院に行ったほうがよいか確認しましょう。受診した場合は、症状を確認したり検査を行ったりして原因を調べ、対処の方法を決めていきます。ただし、頻尿や尿漏れは、多くの人が加齢などに伴って経験する症状で、原因が特定しづらいことも少なくありません。しばらく様子を見るように指示があることもあります。
自分でできる主な工夫には、生活習慣の見直しのほか、骨盤底筋体操や膀胱訓練などの行動療法があります。関連情報で一般的な方法を紹介していますので、ご確認ください。
尿取りパッドなどのケア用品も利用しながら、生活の中に工夫を取り入れていきましょう。
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Q2 がんの治療をしてから、夜トイレが近くて眠れません。どうしたらよいでしょうか。
A2自分でできる主な工夫には、骨盤底筋体操を行う、膀胱訓練を行う、適度な運動をするなどの行動療法があります。これらの行動療法については、関連情報で一般的な方法を紹介していますので、ご確認ください。症状や原因によって適切な方法が異なる場合もありますので、まずは担当医や看護師に相談してみましょう。
また、行動療法と合わせて、水分を必要以上にとらないようにすることにも効果があるとされています。ただし、水分を自己判断で控えすぎると危険です。飲む水分の量を調節する場合は、自分の場合はどの程度の量が適切か、担当医に確認してから始めましょう。
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Q3 がんの手術を受けました。頻尿や尿漏れの症状がありますが、いつまで続きますか?
A3前立腺がんの手術後の頻尿や尿漏れは、多くの場合、半年ほどで生活に支障がない程度に回復します。しかし、手術前と完全に同じ状態に戻ることは難しいこともあります。また、骨盤内のがん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、直腸がんなど)の手術によって、排尿に関わる神経に傷がつくことがあります。このような場合、手術後数週間から数カ月である程度まで改善することが多いものの、完全に回復することは難しく、工夫をしながら日常生活を送ることが必要になる場合もあります。
がんの手術後の頻尿や尿漏れは、多くの場合時間とともに改善するため、生活の中でできる工夫を取り入れながら様子をみることが一般的です。しかし、漏れる量が多いなど、生活に影響がある場合には、手術などの治療を行うこともあります。症状が続く、症状が強いなどの場合は、担当医や看護師に相談しましょう。
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Q4 尿漏れがあります。尿取りパッドの選び方、使い方を教えてください。
A4尿取りパッドには、形や吸収できる水分量などが異なるさまざまな製品があります。夜用、昼用などの時間帯や、男性用、女性用などの性別に特化したものもあるため、体の状態や生活リズムに合わせて選ぶとよいでしょう。
男性の場合は、尿取りパッドをブリーフタイプなどの密着性の強い下着に装着すると安定します。女性の場合は、尿取りパッドを生理用ナプキンと同様に使用するとよいでしょう。使用後はトイレのサニタリーボックス(汚物入れ)やビニール袋に入れて、自治体のルールに従って処分します。
ケア用品には、尿取りパッドのほか、通常の下着と同様に洗濯をして繰り返し使用できる布製の失禁用下着や、おしり全体を包み込む紙パンツ(大人用オムツ)などもあります。店頭やインターネットなどで、使いやすいもの、管理しやすいものを探してみましょう。
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Q5 尿漏れがあり、オムツや尿取りパッドにお金がかかります。利用できる制度やサービスはありますか?
A5病気でおおよそ6カ月以上にわたって寝たきりで、医師の治療を受けている人のオムツ代は、医療費控除の対象になります。また、自治体によっては、オムツなどの現物支給や購入費用の助成をしていますので、お住まいの市区町村の制度を確認してみましょう。利用できる制度やサービス、利用に必要な手続きや書類など、知りたいこと、分からないことがある場合には、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」に問い合わせることもできます。
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Q6 がんの治療をしてから、残尿感(排尿したあとも尿が残っているような感じ)があります。病院に行ったほうがよいでしょうか。
A6残尿感が続く場合は、早めに担当医に連絡して受診しましょう。
病院では、排尿の状況などを確認して原因を調べます。排尿後の膀胱内に残っている尿の量を、超音波検査や導尿(カテーテルという細い管を尿道口から挿入して尿を体の外に出すこと)で確認することもあります。
このような検査を行った上で、原因や症状の程度に応じて、治療したり、生活の中でできる工夫を取り入れたりします。尿が全く出ないときには、緊急処置として、カテーテルを入れて導尿を行うこともあります。
「頻尿・尿漏れQ&A」参考文献
- 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会編.がん患者の泌尿器症状の緩和に関するガイドライン2016年版,金原出版.
- 日本緩和医療学会編.専門家をめざす人のための緩和医療学 改訂第3版.2024年,南江堂.
- 日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会編.過活動膀胱診療ガイドライン第3版.2022年,リッチヒルメディカル.
- 日本排尿機能学会 夜間頻尿診療ガイドライン作成委員会編.夜間頻尿診療ガイドライン 第2版.2020年,ブラックウェルパブリッシング.
- 日本排尿機能学会 女性下部尿路症状診療ガイドライン作成委員会編.女性下部尿路症状診療ガイドライン 第2版.2019年,リッチヒルメディカル.
- 日本がんサポーティブケア学会編.JASCCがん支持医療ガイドシリーズ 患者さんのためのがんのリハビリテーション診療Q&A.2023年,金原出版.
- 日本リハビリテーション医学会 がんのリハビリテーション診療ガイドライン改訂委員会編.がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版.2019年,金原出版.
- 日本がんリハビリテーション研究会編.がんのリハビリテーション診療ベストプラクティス 第2版.2020年,金原出版.
- 西智弘ほか編,森田達也ほか監.緩和ケアレジデントマニュアル 第2版.2022年,医学書院
※本ページの情報は、「『がん情報サービス』編集方針」に従って作成しています。十分な科学的根拠に基づく参考資料がない場合でも、有用性が高く、体への悪影響がないと考えられる情報は、専門家やがん情報サービス編集委員会が評価を行った上で記載しています。
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