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Q1 がんの手術を受けてから、尿が出にくくなりました。どうしたらよいでしょうか。
A1まずは担当医に連絡して、病院に行ったほうがよいか確認しましょう。受診した場合は、症状を確認したり検査を行ったりして原因を調べ、対処の方法を決めていきます。
尿が出にくくなった原因や症状の重さに応じて、特別な治療をせずに経過を見たり、投薬や手術などの治療を検討したりします。尿が全く出ない尿閉という状態になった場合には、導尿(カテーテルという細い管を尿道口から挿入して尿を体の外に出すこと)を行うことがあります。
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Q2 がんの手術を受けてから、尿が出にくくなりました。いつまで続きますか?
A2骨盤内のがん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、直腸がんなど)の手術によって排尿に関わる神経に傷が付いた場合、個人差はありますが、多くは手術後数週間から数カ月である程度まで改善します。しかし、完全に回復することは難しく、工夫をしながら日常生活を送ることが必要になる場合もあります。
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Q3 がんの手術を受けてから、尿意を感じません。どうしたらよいでしょうか。
A3尿意を感じない場合は、まずは担当医や看護師に相談しましょう。原因に応じた治療を検討しますが、治療をしてもすぐには回復しないこともあります。
尿意が戻るまでのあいだは、あらかじめタイミングを決めてトイレに行くとよいとされています(時間排尿)。一般的には2~4時間ごととされていますが、適切なタイミングには個人差があります。
また、尿意の代わりに、自分なりの「尿がたまったサイン」を見つけてトイレに行くようにするのも工夫の1つです。尿が膀胱にたまってきたときのおなかの下のほうが張ってくる感じや、腰が重くなる感じなどが、尿意の代わりのサインになります。すぐには見つからないかもしれませんが、時間をかけて探していきましょう。
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Q4 がんの治療を受けました。足がむくんでいますが、尿が出ないことが原因でしょうか。
A4がんの治療によって、尿が出にくくなり、同時に足がむくむことがあります。尿が出ないことが足のむくみの原因となることもありますが、別の原因でむくむこともあります。
足のむくみにはさまざまな原因が考えられます。例えば、腎臓や心臓の機能が低下すると、足がむくむことがあります。また、子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなどでおなかの中のリンパ節を切除したり、切除後に骨盤内の放射線治療を行ったりすると、足のリンパ液の流れが悪くなり、むくむことがあります(リンパ浮腫)。また、一部の薬物療法の影響によってむくむこともあります。
足がむくんでいるなと感じたら、早めに担当の医師に相談しましょう。
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Q5 がんの治療をしてから、排尿する時に痛みがあります。病院に行ったほうがよいでしょうか。
A5すぐに担当医に連絡して、受診が必要か確認しましょう。
病院では、問診や検査を行い、痛みの原因を見つけてから治療します。感染症と診断された場合は、通常、抗菌薬(抗生物質)を使います。痛みが強いときは鎮痛薬を使うこともあります。
排尿痛はつらい症状ですが、受診までのあいだも水分を十分にとり、トイレを我慢しないことが大切です。
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Q6 がんの治療をしてから、残尿感(排尿したあとも尿が残っているような感じ)があります。病院に行ったほうがよいでしょうか。
A6残尿感が続く場合は、早めに担当医に連絡して受診しましょう。
病院では、排尿の状況などを確認して原因を調べます。排尿後の膀胱内に残っている尿の量を、超音波検査や導尿(カテーテルという細い管を尿道口から挿入して尿を体の外に出すこと)で確認することもあります。
このような検査を行った上で、原因や症状の程度に応じて、治療したり、生活の中でできる工夫を取り入れたりします。尿が全く出ないときには、緊急処置として、カテーテルを入れて導尿を行うこともあります。
「排尿困難(尿が出にくい)Q&A」参考文献
- 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会編.がん患者の泌尿器症状の緩和に関するガイドライン2016年版,金原出版.
- 日本緩和医療学会編.専門家をめざす人のための緩和医療学 改訂第3版.2024 年,南江堂.
- 日本婦人科学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第3版.2023年,金原出版.
- 大腸癌研究会編.患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版.2022年,金原出版.
※本ページの情報は、「『がん情報サービス』編集方針」に従って作成しています。十分な科学的根拠に基づく参考資料がない場合でも、有用性が高く、体への悪影響がないと考えられる情報は、専門家やがん情報サービス編集委員会が評価を行った上で記載しています。
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