1.ホジキンリンパ腫について
1)ホジキンリンパ腫とは
血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血幹細胞からつくられます(図1)。
ホジキンリンパ腫は、白血球の中のリンパ球ががん化する悪性リンパ腫の種類の1つです。日本で発生する悪性リンパ腫全体のおよそ5%を占めます。
ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の2つに分けられます。古典的ホジキンリンパ腫はHRS細胞(Hodgkin/Reed-Sternberg細胞)、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫はLP細胞(Lymphocyte Predominant細胞)とよばれる腫瘍細胞が増えることが特徴です。
造血幹細胞から血液細胞ができるまで
造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれて成長し、骨髄系幹細胞からは、赤血球、白血球(顆粒球、単球)、血小板などがつくられ、リンパ系幹細胞からは白血球の一種であるリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)がつくられます。
2)症状
痛みのないリンパ節の腫れやしこりがあらわれます。多くの場合、頸部や鎖骨上窩(鎖骨の上のくぼみ)のリンパ節が腫れます。また、発熱、体重減少、盗汗(大量の寝汗)といった症状があらわれることもあり、これらの症状を「B症状」といいます。
2.検査
悪性リンパ腫では、ほとんどの場合、診断や病型(病気のタイプ)を確定するために生検を行います。生検では、腫れているリンパ節などの病変の組織をとって、顕微鏡などさまざまな方法で調べます。その他、病気の広がりを調べるためにCTやPET-CTなどの画像検査や、骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)などを行います。
骨髄検査は、皮膚を消毒し局所麻酔をした後に、一般的には腸骨(腰の骨)に針を刺して、骨髄組織を採る検査です。
がんの疑いがあるときや治療中・治療後に受けることの多い検査についての情報は、「がんの検査について」をご参照ください。
3.治療
ホジキンリンパ腫の治療法は、古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫で異なります。
古典的ホジキンリンパ腫は、複数の細胞障害性抗がん薬を用いて行う薬物療法や、分子標的薬と細胞障害性抗がん薬を用いて行う薬物療法か、これに放射線治療を組み合わせた治療が行われます。治療の効果が十分でない場合や再発した場合には、造血幹細胞移植が選択肢になることもあります。
結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のうち、限局期(病気が進行していない場合)には、放射線治療が勧められています。
がんの診断から治療までの流れなどについては「8.関連する情報」、手術・薬物療法・放射線治療などの主な治療法に関する情報は「診断と治療」をご覧ください。「妊孕性(にんようせい)」には、妊娠や出産に関する情報を掲載しています。
1)患者向けの情報
治療の情報を含む患者向けのページを紹介しています。
2)医療従事者向けの情報
医療従事者向けの情報が掲載されています。
なお、上記は旧版のガイドラインです。改定版「造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版」が2023年7月20日に発行されています。最新の情報は、改定版のガイドラインをご確認ください。
4.療養
「症状を知る/生活の工夫」には、がんの治療に伴う症状や自宅での生活の工夫などに関する情報を掲載しています。
特に、血液・リンパのがんは、がんそのものや薬物療法の影響で、健康な人には害のないような弱い細菌、真菌(カビ)やウイルスなどの病原体に感染しやすくなります。そのため、手洗いやうがいをしっかり行う、感染源を作らないためにけがをしないようにするなど、日常生活でも注意が必要です。
がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも、仕事やお金、生活の工夫や利用できるサポート等、困ったときにはどんなことでも相談することができます。
「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。
5.臨床試験
国内で行われているホジキンリンパ腫の臨床試験が検索できます。
がんの臨床試験を探す チャットで検索
※入力ボックスに「ホジキンリンパ腫」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。
がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 悪性リンパ腫
※「カテゴリで検索」では、広い範囲で検索します。そのため、お探しのがんの種類以外の検索結果が表示されることがあります。
臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください
- 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
- がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
6.患者数(がん統計)
ホジキンリンパ腫は、日本全国で1年間に約1,500例(人)が診断されます。
7.相談先・病院を探す
情報や病院などが見つからないときにはご相談ください。
8.関連する情報
がんの治療を始めるにあたって、参考となる情報です。
9.参考資料
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
- 日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.2023,金原出版.
- 野村正満編.ハンドブック 白血病と言われたら 改訂第6版 下巻 血液の病気を知ろう.2020年,認定特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会.
2023年12月06日 | 「造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版」の内容を確認し、更新しました。 |
2022年08月23日 | 「5.臨床試験」の関連情報に、「患者本位の『がん情報サイト』」を追加しました。 |
2022年07月05日 | 「8.関連する情報」に「AYA世代の人へ」へのリンクを追加しました。 |
2022年06月23日 | 「3.治療」の関連情報に、「厚生労働科学研究班 がん対策研究紹介サイト 正しいがん情報の提供 研究成果・資料 2.悪性リンパ腫に関する資料」を追加しました。 |
2021年11月11日 | 「3.治療」の関連情報に「日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版補訂版」の「ホジキンリンパ腫」ページへのリンクを追加しました。 |
2021年07月01日 | 内容を更新しました。 |
2017年08月14日 | 3.治療に関連情報「悪性リンパ腫[ホジキンリンパ腫] 化学療法(ABVD療法導入)基本パス」を掲載しました。 |
2015年11月26日 | 「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」より内容を更新しました。 |
2006年10月01日 | 掲載しました。 |