1.発生要因
食道がんが発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。特に扁平上皮がんは、喫煙と飲酒との強い関連があります。
飲酒により体内にはアセトアルデヒドが生じます。アセトアルデヒドは発がん性の物質で、アセトアルデヒドの分解に関わる酵素の活性が生まれつき弱い人は、食道がんが発生する危険性が高まることが報告されています。また、喫煙と飲酒、両方の習慣がある人は、より危険性が高まることが指摘されています。
熱いものを飲んだり食べたりすることが、食道がんができる危険性を高めるという報告も多くあります。
2.予防と検診
1)予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
食道がんを予防するためには禁煙し、飲酒も適量を心がけましょう。特に大量飲酒をしている人では、禁酒もしくは節酒することで食道がんの発生予防が期待できるとされています。また、野菜や果物を積極的に食べることで、食道がんができにくくなるという報告もあります。
2)がん検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。
しかし、食道がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。
なお、胃がん検診で行われる上部消化管造影検査では、食道ではなく胃を重点に検査します。そのため、胃がん検診の前に飲食時の胸の違和感や食べ物がつかえるなどの症状があれば、食道も確認してもらうよう、検査前に伝えることが大切です。
また、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。
2023年03月29日 | 「食道癌診療ガイドライン 2022年版」、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」を確認し、更新しました。 |
2020年02月17日 | 「食道がんQ&A」へのリンクを掲載しました。 |
2019年08月08日 | 「日本食道学会 一般の方向け情報」へのリンクを掲載しました。 |
2018年04月19日 | 「食道癌診療ガイドライン 2017年版」「臨床・病理 食道癌取扱い規約 第11版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。 |
2013年01月06日 | 図2を更新しました。 |
2012年12月21日 | 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。 |
2006年11月29日 | 内容を更新しました。 |
1996年11月25日 | 掲載しました。 |