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脳腫瘍〈小児〉

脳腫瘍〈小児〉 検査

小児脳腫瘍が疑われる場合、まずは症状の詳しい経過を把握するために問診し、次いで神経学的診察を行います。その後、CT検査やMRI検査などの画像検査を行い、腫瘍の場所や大きさなどを調べます。血液や脳脊髄液のうせきずいえきの採取が必要となる検査を行う場合もあります。また、診断の確定には病理診断(生検せいけん)が必要です。

なお、画像検査などでは、検査中は動かずにじっとしている必要がありますが、子どもではそれが難しいこともあります。そのような場合には、鎮静薬を用いて睡眠状態にしてから検査を行います。

1.神経学的診察

神経学的診察とは、脳や神経の機能を調べるために行う、問診や、視力・聴力の検査、運動検査などを含む一連の診察のことをいいます。神経学的診察によって意識の状態や、協調運動(体の各部位が複合的に動いて目的をもった運動をすること)、歩行に異常がみられないか、脳神経や運動神経、感覚神経、反射がどのくらいきちんと働いているかなどを確かめます。小児脳腫瘍が疑われる場合、症状の項目にあげているような何らかの異常がみられることがほとんどです。

2.画像診断

CT検査はX線を、MRI検査は磁気を使った検査です。頭蓋骨ずがいこつの内部を描き出し、腫瘍があるかどうかを調べます。多くの施設では、CT検査はMRI検査に比べて迅速に検査することができるため、緊急性があるときはまずはCT検査を行います。CT検査やMRI検査では、病気をよりはっきりと描き出すために、必要に応じてそれぞれの造影剤を使った検査を行います。造影剤検査を行うと、腫瘍の広がりや悪性度なども術前に推定することができます。

また、通常のCT検査やMRI検査に加え、必要に応じて特殊なMRI検査を行うことがあります。例えば、脳の血液の変化をみるfMRI(functional MRI)を用いて、脳の運動野(手足の動きの中枢)や言語野(言葉の中枢)の位置を調べることがあります。

3.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんの種類により特徴的に産生される物質で、血液検査などにより測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇を示さないこともありますし、逆にがんがなくても上昇を示すこともあります。

胚細胞腫瘍はいさいぼうしゅようの一部では、βhCG(βベータ-ヒト絨毛性じゅうもうせいゴナドトロピン)やAFP(アルファフェトプロテイン)という特別な物質をつくり出すため、それを測定することで診断の助けとしたり、治療効果を示すマーカーとして用いたりすることがあります。

4.細胞診検査

脳脊髄液を採取し、顕微鏡で細胞を観察しながら、病変を詳しく調べる検査です。脳脊髄液は、通常、体を海老えびのように丸めて横向きになり、背骨の隙間に針を刺して採取します(腰椎穿刺ようついせんし)。
髄芽腫ずいがしゅや一部の胚細胞腫瘍などでは、髄膜播種ずいまくはしゅ(脳を包む膜に沿って腫瘍が広がること)が起こりやすいため、MRI検査に加えて細胞診検査を行うことで、腫瘍がどのくらい広がっているかなどを調べます。また、採取した脳脊髄液を用いて、腫瘍マーカーを測定することもあります。

5.病理診断(生検)

腫瘍の一部(組織)を採取し、顕微鏡で観察することで、脳腫瘍の種類や性質、悪性度などを診断します。小児脳腫瘍では、症状改善のために大きな腫瘍を緊急に摘出しなければならないことが多く、摘出手術と同じタイミングで病理診断を行うことが多くなっています。

6.分子生物学的検査(遺伝子検査)

多くの小児脳腫瘍では、腫瘍細胞に特有の遺伝子変異が知られています。腫瘍化した組織や細胞を採取し、その遺伝子を調べることで、腫瘍の種類を診断します。小児脳腫瘍の診断には高度な専門性を要します。日本小児がん研究グループ(JCCG)の固形腫瘍観察研究では、中央診断(小児がん専門病理医による遺伝子解析を含めた病理診断で、原則として2名以上によるコンセンサス診断)として病理診断や遺伝子検査を行っています。

更新・確認日:2022年06月30日 [ 履歴 ]
履歴
2022年06月30日 「脳腫瘍診療ガイドライン 小児腫瘍編 2022年版」より内容を更新し、構成を変更しました。
2019年04月18日 内容を更新するとともに4タブ形式に変更し、でんし冊子PDFを追加しました。
2017年02月03日 「がんといわれたとき」の項目を「子どもががんと言われた親の心に起こること」「小児がんと言われた子どもの心に起こること」に変更しました。
2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。
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