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急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)

更新・確認日:2015年05月20日 [ 履歴 ]
履歴
2015年05月20日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約2010年3月(第1版)」より内容を更新しました。
2006年10月01日 掲載しました。

1.検査

急性骨髄性白血病の診断と治療方針を決めるためには、さまざまな検査が行われます。検査は白血病細胞を確認するだけでなく、病型分類の決定や、発症に伴うさまざまな異常や合併症の有無を確認する目的もあります。

代表的な検査は血液検査と骨髄検査で、治療開始後も定期的に検査を行い、治療効果を確認します。

1)血液検査

血液中で増加している細胞を顕微鏡で詳しく調べます。急性骨髄性白血病の特徴として、白血球の数は増加から減少までさまざまですが、白血球の一種である好中球は減少しています。幼若な白血病細胞と残存する成熟細胞のみが見られ、中間の成熟細胞が見られない白血病裂孔(れっこう)という現象があらわれます。

2)骨髄検査

骨髄穿刺(こつずいせんし)や骨髄生検は、診断と病型分類のために重要な検査です。採取した骨髄液や骨髄組織から染色体や遺伝子、血液細胞の表面に発現している抗原(細胞表面マーカー)などを解析します。これらの解析は、治療効果を判定する上でも重要なため、治療中もたびたび検査が実施されます。

骨髄穿刺は皮膚を消毒し、局所麻酔の後に腸骨(腰の骨)または胸骨(胸の中央にある骨)に細い針を刺し、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引して採取します(図2)。この骨髄液中に含まれる細胞の形を顕微鏡で調べます。骨髄液を吸引する際に痛みがあり、この痛みは局所麻酔では抑えられませんが、通常は一時的な痛みにとどまります。骨髄生検では、腸骨にやや太い針を刺し、骨髄組織を採取します。
図2 骨髄穿刺の様子
図2 骨髄穿刺の様子の図
【細胞表面マーカーについて】
白血球などの血液細胞の表面には、細胞を特徴づける分子(抗原)が存在します。この分子は細胞表面マーカーで、国際的に統一された番号で整理したものがCD(Cluster of Differentiation)分類と呼ばれます。白血病細胞の表面に特異的に発現している抗原を調べることで、診断や治療効果の判定が可能で、急性骨髄性白血病の場合は、白血病細胞の多くにCD33抗原が発現しています。
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3)染色体検査・遺伝子検査

染色体検査遺伝子検査は染色体の構造や数の異常を調べることで、診断や病型分類、治療方針や治療効果の判定、予後の判定などが可能で、重要な検査です。急性骨髄性白血病の場合は、病型に関連する特異的な染色体異常があり、その異常に伴う遺伝子異常もみられます。

4)腹部超音波検査・腹部CT検査

臓器の異常や合併症の有無の確認のための検査として、腹部の超音波検査(エコー)CT検査を行うことがあります。

2.病型分類

がんの進行の程度を判定する基準として、病期(Stage:ステージ)という言葉が用いられますが、急性骨髄性白血病の場合は発症時に白血病細胞が血液を介して全身に広がっている状態のため、病期分類はありません。治療方針を決定する上で非常に重要となる分類は、病型分類と呼ばれ、治療成績の蓄積や比較のためには統一した分類で診断することが重要なため、国際的にFAB分類とWHO分類の2種類が用いられています。現在は主に、WHO分類が主流となりつつあります。

1)FAB分類

骨髄穿刺の検査で骨髄細胞を採取し、どのタイプの細胞が白血病化したかを顕微鏡で観察し、細かく分類した細胞系統・形態による分類です。1970年代に提唱され、WHO分類に該当しない細分類にも用いられます。骨髄(こつずい)の中の芽球の比率が30%以上で急性白血病と定義され、M0からM7の8つの病型に分類されます。
各病型の特徴については、下記の[FAB分類について、さらに詳しく]の表2をご参照ください。
【FAB分類について、さらに詳しく】
表2 急性骨髄性白血病のFAB分類
M0 急性未分化型骨髄性白血病
芽球のペルオキシダーゼ陽性率は3%未満ですが、
細胞質内免疫ペルオキシダーゼが陽性です
M1 急性未分化型骨髄芽球性白血病
未熟な骨髄芽球。ペルオキシダーゼ陽性率は3%以上です
M2 急性分化型骨髄芽球性白血病
成熟傾向のある骨髄芽球。ペルオキシダーゼ陽性率は3%以上。
染色体転座でt(8;21)を持つものが多く、比較的予後は良好です
M3 急性前骨髄球性白血病
骨髄芽球から少し分化した前骨髄球が増加しています。
血小板が激減して、出血傾向を示す「DIC:播種性血管内凝固症候群
(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)」を合併しやすいです。
染色体転座でt(15;17)を持つものが多く、
レチノイン酸による分化誘導療法が有効で、予後は良好です
M4 急性骨髄単球性白血病
顆粒球系と単球系の2系統の血液細胞が、がん化しているものです。
inv(16)の染色体異常を持つものは、予後が良好です
M5 急性単球性白血病
単球系の幼弱な細胞が、がん化しているものです。
ペルオキシダーゼ染色だけでなく、エステラーゼ染色でも陽性を示します
M6 赤白血病
赤血球をつくる造血幹細胞が、がん化したものです
M7 急性巨核芽球性白血病
血小板をつくる造血幹細胞が、がん化したものです
日本血液学会、日本リンパ網内系学会編「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」(金原出版)より作成
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2)WHO分類

特徴的な染色体・遺伝子変異を有する病型が存在し、治療の予後にも影響を与えることなど臨床的な重要性が研究の進歩に伴い明らかとなり、2000年代に提唱されました。染色体異常、遺伝子変異などの病因的な因子を重視しています。骨髄中の芽球の比率が20%以上で急性白血病と定義されます。
各病型の特徴については、下記の[WHO分類について、さらに詳しく]の表3をご参照ください。
【WHO分類について、さらに詳しく】
表3 急性骨髄性白血病のWHO分類
1) 特異的染色体異常を有する急性骨髄性白血病
(a) t(8;21) (q22;q22)、または RUNX1-RUNX1T1 を有する
急性骨髄性白血病(FAB分類のM2の一部に相当します)
(b) inv(16) (p13.1q22)、t(16;16) (p13.1;q22)、CBFB-MYH11 を有する
急性骨髄性白血病(FAB分類のM4の一部に相当します)
(c) t(15;17) (q22;q12)、PML-RARA を有する
急性前骨髄球性白血病(FAB分類のM3に相当します)
(d) t(9;11) (p22;q23)、MLLT3-MLL を有する急性骨髄性白血病
(e) t(6;9) (p23;q34)、DEK-NUP214 を有する急性骨髄性白血病
(f) inv(3) (q21q26.2) またはt(3;3) (q21;q26.2)、RPN1-EVI1 を有する急性骨髄性白血病
(g) t(1;22) (p13;q13)、RBM15-MKL1 を有する急性骨髄性白血病(巨核芽球性)
(h) NPM1 遺伝子変異を有する急性骨髄性白血病
(i) CEBPA 遺伝子変異を有する急性骨髄性白血病
2) 骨髄異形成関連の変化を有する急性骨髄性白血病
(a) 骨髄異形成症候群から転化した急性骨髄性白血病
(b) 骨髄異形成症候群に関連する染色体異常を伴う急性骨髄性白血病
(c) 50%以上の細胞に多血系異形成を伴う急性骨髄性白血病
3) 治療に関連した急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群
4) 上記以外の急性骨髄性白血病
(a) 急性骨髄性白血病最未分化型(FAB分類のM0に相当します)
(b) 急性骨髄性白血病未分化型(FAB分類のM1に相当します)
(c) 急性骨髄性白血病分化型(FAB分類のM2に相当します)
(d) 急性骨髄単球性白血病(FAB分類のM4に相当します)
(e) 急性単球性白血病および急性単芽球性白血病(FAB分類のM5に相当します)
(f) 急性赤白血病(FAB分類のM6に相当します)
(g) 急性巨核芽球性白血病:遺伝子異常の場合は1)となる
(FAB分類のM7に相当します)
(h) 急性好塩基性白血病
(i) 骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症
5) 骨髄肉腫
6) ダウン症候群に関連した骨髄増殖症
(a) 一過性異常骨髄症
(b) ダウン症候群関連骨髄性白血病
7) 芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍
*染色体異常の記号の説明
  ・t : 転座(translocation) 2本の染色体がそれぞれ切断され、断片が交換されること
  ・inv : 逆位(inversion) 同じ染色体が2カ所切断され、内側の染色体の断片が逆転すること
  ・q : 染色体の長い部分(長腕)
  ・p : 染色体の短い部分(短腕)
日本血液学会、日本リンパ網内系学会編「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」(金原出版)より作成
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【参考文献】
  1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版;金原出版
  2. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
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