HOME > それぞれのがんの解説 > 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫 基礎知識

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(まんせいりんぱせいはっけつびょう/しょうりんぱきゅうせいりんぱしゅ)

更新日:2016年05月24日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2016年05月24日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」より内容を更新し、タイトルを「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」に変更しました。
2007年03月16日 更新しました。
2006年10月01日 「慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫」を掲載しました。

1.慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫とは

血液の中にある血液細胞には、外部から体内に侵入した細菌やウイルスなど異物の排除などを役割とする白血球、酸素を運搬する赤血球、出血を止める働きがある血小板があります。これらの血液細胞のもとは造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)と呼ばれ、骨の内部にある骨髄(こつずい)で生成され、増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)して血液細胞をつくります(図1)。造血幹細胞は骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれ、前者から赤血球、血小板、顆粒球(かりゅうきゅう)単球が産生され、後者からはB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球が産生されます。顆粒球、単球、リンパ球を合わせて白血球と呼びます。
図1 造血幹細胞から血液の分化について
図1 造血幹細胞から血液の分化について
慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL:Chronic Lymphocytic Leukemia/Small Lymphocytic Lymphoma)は、白血球の一種であるリンパ球のうち成熟した小型のBリンパ球が悪性化し、がん化した細胞が無制限に増殖することで発症します。腫瘍細胞が主に末梢血や骨髄にあるときは「慢性リンパ性白血病」で、一方、主にリンパ節にあるときは「小リンパ球性リンパ腫」と呼ばれます。腫瘍細胞は両方とも同じ種類の細胞です。

1)慢性リンパ性白血病とは

血液中の腫瘍細胞であるリンパ球の数が5,000/μL以上である場合と、血液中のリンパ球の数が5,000/μL未満でも、腫瘍細胞が骨髄に浸潤し赤血球・白血球・血小板の減少がある場合に慢性リンパ性白血病と診断されます。腫瘍細胞は成熟した小型のBリンパ球で、表面に細胞表面マーカー(参考:細胞表面マーカー検査)のCD5とCD23という分子がみられることが特徴で、血液や骨髄、脾臓(ひぞう)、肝臓、リンパ節などで増殖します。発症頻度が最も高い欧米と比較して、日本での発症は非常に少なく、年間10万人に0.3人前後です。年齢別の罹患率(りかんりつ)は50歳以降の中高年に多く、30歳未満の人にはほとんどみられません。男女比は、女性より男性に多く1.5~2倍程度とされています。

2)小リンパ球性リンパ腫とは

血液中のリンパ球の数が5,000/μL未満で血液中の赤血球・白血球・血小板の減少がなく、病変のある場所が主にリンパ節で、かつ腫瘍細胞がリンパ節の中で増殖するために起こるリンパ節腫脹(しゅちょう)がある場合に小リンパ球性リンパ腫と診断されます。腫瘍細胞は、慢性リンパ性白血病と同じものですが、病期や治療の考え方は、さまざまな種類がある悪性リンパ腫の中でも濾胞性(ろほうせい)リンパ腫、MALTリンパ腫などの低悪性度B細胞リンパ腫と同様と考えられます。初期はリンパ節に病変が限局していて、非常にゆっくりと進行します。進行して症状があらわれたら適切な化学療法を行うことを前提に、診断後しばらくは慎重な経過観察が行われます。

病期や治療方針については、低悪性度B細胞リンパ腫の代表的な病型の「濾胞性リンパ腫」「MALTリンパ腫」をご参照ください。

2.症状

発症してもゆっくりと進行するため、初期の段階ではほとんど症状がありません。そのため、健康診断などで白血球数の異常を指摘され、偶然に見つかることもあります。症状がある場合は、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、寝汗を伴う微熱、体重減少、脾臓や肝臓の腫大などで、発熱や肺炎など感染の症状が初めにあらわれることもあります。また多くの場合にリンパ節の腫脹がみられ、首やわきの下、足の付け根などリンパ節の多いところに、通常は痛みのないしこりとしてあらわれ、数週~数カ月かけて持続的に増大して縮小しません。骨髄で腫瘍細胞が増殖すると、正常な造血ができなくなり貧血血小板減少による出血傾向が起こります。特に慢性リンパ性白血病では、自己免疫性溶血性貧血(赤血球に対する自己抗体ができて、抗体と結合した赤血球が破壊されていく状態)が起こりやすく、極めて重度な貧血となることもあります。

3.原因

発症する原因については、まだ十分に解明されていません。欧米人に多くアジアではまれな疾患であり、欧米に移住したアジア人においても頻度が増加しないことから、環境的な因子よりも、遺伝的な素因の関与が推測されています。すべての血液がんの中で、最も遺伝的素因の影響が大きい病型だといわれています。
【参考文献】
  1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版;金原出版
  2. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
閉じる

【がんになったら手にとるガイド】
情報を集めましょう
がんの発生と進行の仕組みを知る

濾胞性リンパ腫
MALTリンパ腫
がんの基礎知識
がんの発生原因と予防
統計がん登録・統計へのリンク
がんの相談窓口「がん相談支援センター」
がん診療連携拠点病院を探す がんの種類から探す 血液・リンパ
お探しの情報が見つからないときは…
がん情報サービスサポートセンター
がん相談支援センターを探す
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートページへ
用語集
このページの先頭へ