1.症状への工夫
本人やまわりの人ができる症状ヘの工夫についてまとめました。症状別の食事の取り方の工夫については「がんと⾷事」をご覧ください。
1)吐き気・嘔吐
吐き気があるときや嘔吐した後は、体をしめつける⾐服を避け、横向きにさせ、体を内側に曲げて寝かせるようにしてみてください。においに敏感になっているようなら、換気します。⾳楽を聴かせたり、映像を見せたりして気分転換を図るのもいいでしょう。腹式呼吸(おなかを膨らませながら⿐から息を吸い、おなかをへこませながらゆっくり⼝から息を吐く)ができるようであれば、吐き気が楽になることもあります。
2)下痢
下痢によって、尿量が少なくなったり⽪膚が乾燥するなどの脱⽔症状がみられる場合は、水分を補給するようにします。下痢をした後は、ぬるめの湯で陰部を洗うなど⽪膚をきれいにします。
3)便秘
便秘気味のときは、おなかを時計回りにさすりながら⼗分に時間をかけて排便しましょう。便意があるときは我慢しないですぐにトイレに行かせるようにして、食後の決まった時間にトイレに座らせてみるなどの⼯夫もしてみましょう。便秘は予防が⼤切です。ふだんから無理のない程度に軽い運動を心がけましょう。
4)口内炎
⼝内炎の予防には、うがい薬を使⽤したうがいや、⾷後・寝る前の⻭磨きなどにより⼝の中を清潔にすることが有効です。歯ぐきが傷つくのを防⽌するために、⻭ブラシは⼩さめの柔らかいブラシを使い、刺激の弱い⻭磨き粉を⽤いるとよいでしょう。⼝内炎ができて荒れてきたら⻭磨きをやめ、うがいに切り替えて⼝の中を清潔に保つように⼼がけます。
5)貧血
ふらついたときは、すぐその場でしゃがむようにしましょう。起き上がるときは上半⾝をゆっくり起こし、⼀息ついてから立ち上がるなどの⼯夫をし、動くときには静かに動きはじめるとよいでしょう。⼗分な休養もとりましょう。
6)出血しやすい
転倒や外傷、打撲に注意しましょう。⽖を短く切り、⽪膚に傷をつくらないようにします。⻭磨きは柔らかいブラシを使⽤し、歯ぐきを傷つけないようにしましょう。排便時には⼒まないようにします。便が出にくいときには下剤で便を柔らかくする⽅法もあるので担当医や看護師に相談しましょう。
7)しびれ
しびれがある場合は外傷に気づきにくくなるので、体をぶつけたりしないよう気をつけましょう。靴を履くときには、⾜先を保護するために靴下を履きましょう。また、患部をマッサージしたり温めたりするとよいですが、その際は低温やけどに注意してください。症状がひどい場合には、しびれを軽減させる薬もあるので担当医や看護師に相談しましょう。
8)脱毛
薬の副作用などで急に髪の⽑が抜けてくることが多いため、精神的に落ち込みやすくなります。前もって素材の柔らかい帽⼦などを用意しておくことで、⼼の準備にもなります。また、髪の⽑を短くする工夫もあります。洗髪は⽖を立てず、やさしく⾏いましょう。ふだん使⽤しているシャンプーでしみるようなら、刺激の少ないものに変えてみてください。 柔らかいヘアブラシを使⽤したり、ドライヤーの温度を低めにするなど、髪の⽑への負担を少なくしましょう。
9)皮膚炎
放射線治療などによって⽪膚炎が生じることがあります。予防するために、治療したときの照射部位をこすらないようにします。⾐服は柔らかい素材のものにし、体を洗うときは強くこすらず、⽯鹸の泡をのせてやさしく洗うようにします。
10)だるさ・倦怠感
だるさや倦怠感があるときは、短時間の休息を多くとるようにしましょう。夜に⼗分な睡眠をとることも重要です。⽔分をとることで、疲労物質を体外に排出させ、倦怠感の緩和に役立ちます。また、マッサージや⼊浴などで全⾝の⾎液やリンパ液の循環を促進することも、倦怠感の軽減につながります。適度な軽い運動や⾳楽を聞くなどのリラックスできる⽅法を取り入れるのもよいでしょう。
2.乳幼児への薬の与え方
乳幼児に薬を飲ませるときのポイントや気をつけることをあげてみました。うまくいかない場合は、医師や薬剤師、看護師に相談しましょう。
1)飲み薬
(1)粉薬の飲ませ方
粉のまま飲めるのであれば、そのまま飲ませてください。粉のままでは嫌がったりして全量が飲めない場合には、次の⽅法を試してみましょう。
【方法1】
- 1回分の薬を少量(⼀⼝で飲める量)の⽔、またはぬるま湯で溶かし、スプーンなどでよくかき混ぜます。
- 溶かした薬をスプーンやスポイトなどにとり、少量ずつ飲ませてください。
- その後、湯冷ましやミルクなどを飲ませてください。
【方法2】
- ⼿をきれいに洗ってください。
- 1回分の薬をごく少量の⽔またはぬるま湯で練り、団子状~泥状にします。
- それを指先につけ、上あごか、ほおの内側に塗ります。⾆の先は味を感じやすいので、味を感じにくいところにつけます。
- その後、湯冷ましやミルクなどを飲ませましょう。
(2)水薬の飲ませ方
- 容器をよく振ってから、薬の容器についている計量カップなどを用いて、1回分を計ってください。
- スプーンやスポイトなどにとり、少量ずつ飲ませてください。
- その後、湯冷ましやミルクなどを飲ませましょう。
*⽔薬は雑菌の繁殖を防ぐため、冷蔵庫に保存してください。その際、子どもの手が届かないところにおきましょう。
(3)乳幼児に薬を飲ませるポイント
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Q1飲ませる量は?
A1乳幼児は体重によって薬の量が決まります。1回に決められた量を全部飲ませるようにしましょう。飲ませ忘れたからといって、2回分を一度に飲ませないでください。薬によっては、その⽇だけ飲ませ⽅を変える場合もあるので、医師や薬剤師に相談しましょう。 -
Q2飲ませるタイミングは?
A2乳児は眠っている時間が多いため、薬をいつ飲ませたらよいのか迷うことがあります。1⽇3回と指⽰された薬は、おおよそ8時間ごとを⽬安にして、子どもが起きている時間帯に飲ませましょう。授乳後は満腹で薬を嫌がることがあるので、薬を飲ませてから授乳しましょう。 -
Q3薬に何か混ぜていい?
A3ミルクに薬を混ぜて飲ませると、飲み残した場合は薬も残してしまうことになります。また、ミルクの味が変わってミルク嫌いの原因にもなるので、ミルクには混ぜないようにしましょう。粉薬や⽔薬を飲みやすくするため、少しのジュース(酸味の強くないもの)や砂糖を加えてもよいですが、下痢を起こしているときは避けましょう。 -
Q4飲ませた後は?
A4乳児は胃の形が立て型のため、飲んだものを吐き出しやすいので、薬を飲ませた後はすぐに寝かせず、しばらく抱いてあげましょう。
2)坐薬
(1)坐薬の使い方
坐薬を入れる前に、肛⾨の周囲が汚れていたらきれいにします。先のとがった⽅(太い⽅)からできるだけ深く挿⼊し、10秒ほど肛門を押さえます。坐薬を挿⼊したときの刺激で便意をもよおし、坐薬が出てしまうことがあります。できれば、排便後に入れるとよいです。
(2)こんなときは?
坐薬が入れにくいときは、坐薬を⽔やベビーオイルなどでぬらすと、挿⼊しやすくなり、痛がることも少なくなります。坐薬を半分使用するときは、包装ごと清潔なハサミなどで、斜め縦半分に切ります。坐薬がすぐに出てしまったときは、坐薬が溶けておらず形が残っていれば、そのまま入れ直します。薬を入れた後、油のような排泄物が出たときは、薬に含まれている油分ですので⼼配ありません。
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