1.急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫について
1)急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫とは
急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球になる前の細胞に異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で無制限に増える病気です。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすく、フィラデルフィア染色体が見られる場合があります。
急性リンパ性白血病とリンパ芽球性リンパ腫は、同じ種類のがんです。白血病細胞が骨髄に浸潤している割合が25%以上の場合を急性リンパ性白血病、25%未満の場合をリンパ芽球性リンパ腫といいます。
血液細胞は造血幹細胞からつくられます
血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血幹細胞から増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)してつくられます。造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれて成長します。骨髄系幹細胞からは、赤血球、白血球、血小板などがつくられ、リンパ系幹細胞からは白血球の一種であるリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)がつくられます。

2)症状
白血病細胞が増加することによって、正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、白血球、血小板が減少します。そのため、貧血の症状として息切れや動悸がしたり、血小板が少なくなるため、鼻血が出たり歯ぐきから出血したりすることがあります。倦怠感や発熱などの症状があらわれることもあります。
白血病細胞が臓器に浸潤すると、関節が痛くなったりリンパ節が腫れたりすることがあります。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤すると、頭痛や吐き気が起こることもあります。
急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は進行が速いため、多くの場合、急に症状があらわれます。速やかな診断と治療の開始が重要です。
2.検査
血液・リンパのがんでは、ほとんどの場合、診断や病型を確定するために骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)を受けます。骨髄検査は、皮膚を消毒し局所麻酔をした後に、一般的には腸骨(腰の骨)に針を刺して、骨髄組織を採る検査です。
がんの疑いがあるときや治療中・治療後に受けることの多い検査についての情報は、「がんの検査について」をご参照ください。
3.治療
がんの診断から治療までの流れなどについては「8. 関連する情報」、手術・薬物療法・放射線治療などの主な治療法に関する情報は「診断と治療」をご覧ください。「妊よう性」には、妊娠や出産に関する情報を掲載しています。
1)患者向けの情報
治療の情報を含む患者向けのページを紹介しています。
2)医療従事者向けの情報
医療従事者向けの情報が掲載されています。
4.療養
「症状を知る/生活の工夫」には、がんの治療に伴う症状や自宅での生活の工夫などに関する情報を掲載しています。
特に、血液・リンパのがんは、がんそのものや薬物療法の影響で、健康な人には害のないような弱い細菌、真菌(カビ)やウイルスなどの病原体に感染しやすくなります。そのため、手洗いやうがいをしっかり行う、感染源を作らないためにけがをしないようにするなど、日常生活でも注意が必要です。
がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。
「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。
5.臨床試験
国内で行われている急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫の臨床試験が検索できます。
がんの臨床試験を探す チャットで検索
※入力ボックスに「急性リンパ性白血病」または「リンパ芽球性リンパ腫」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。
がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 白血病 悪性リンパ腫
※「カテゴリで検索」では、広い範囲で検索します。そのため、お探しのがんの種類以外の検索結果が表示されることがあります。
臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください
- 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
- がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
6.患者数(がん統計)
急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は、1年間に診断される患者の数に関する正確なデータはありません。これまでの報告では、日本全国で1年間に新たに診断される人は、10万人あたり1人程度と言われています。
7.相談先・病院を探す
情報や病院などが見つからないときにはご相談ください。
8.関連する情報
がんの治療を始めるにあたって、参考となる情報です。
9.参考資料
- 日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学(改訂第6版).2021年,南江堂.
- 野村正満編.ハンドブック 白血病と言われたら 改訂第6版 下巻 血液の病気を知ろう.2020年,認定特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会.
2022年08月23日 | 「5.臨床試験」の関連情報に、「患者本位の『がん情報サイト』」を追加しました。 |
2022年07月05日 | 「8.関連する情報」に「AYA世代の人へ」へのリンクを追加しました。 |
2022年06月23日 | 「3.治療」の関連情報に、「厚生労働科学研究班 がん対策研究紹介サイト 正しいがん情報の提供 研究成果・資料 1.白血病に関する資料」を追加しました。 |
2021年11月11日 | 構成を変更し、「造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年補訂版」より内容を更新しました。 |
2019年07月24日 | 用語へのリンクを追加しました。 |
2019年07月22日 | 新規に追加された用語へのリンクを追加しました。 |
2017年02月23日 | タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」より内容を変更し、タイトルを「急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫」に変更しました。 |
2006年10月01日 | 「急性リンパ性白血病」を掲載しました。 |