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急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫(きゅうせいりんぱせいはっけつびょう/りんぱがきゅうせいりんぱしゅ)

更新・確認日:2017年02月23日 [ 履歴 ]
履歴
2017年02月23日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」より内容を変更し、タイトルを「急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫」に変更しました。
2006年10月01日 「急性リンパ性白血病」を掲載しました。

1.化学療法

中心となる治療法は抗がん剤の投与で、大きく2つの過程で行われます。初期治療は、抗がん剤をいくつか併用して行う寛解導入療法です。その後の完全寛解を維持し、白血病細胞をゼロに近づけるための寛解後療法として、地固め療法を数カ月間、その後維持療法を1~2年間行います。

1)寛解導入療法

使用する薬剤は、ビンクリスチン、ダウノルビシン、シクロホスファミド、プレドニゾロン、L-アスパラギナーゼなどの5種類程度で、多剤併用療法が一般的です。この治療により、高い完全寛解が期待できます。若年者の場合は小児に使用する抗がん剤の組み合わせを用いて、一部の薬剤が増量されます。また、フィラデルフィア染色体がある場合は、イマチニブを併用します。治療は入院して、約4週間行います。

2)寛解後療法(地固め療法、維持療法)

(1)地固め療法

寛解導入療法によって寛解が得られた状態でも、体内にはまだ多くの白血病細胞が残っているため、さらにその減少を目的として地固め療法が行われます。寛解導入療法で用いた薬剤の一部にメトトレキサートやシタラビンなどの代謝拮抗(きっこう)剤と呼ばれる種類の抗がん剤を組み合わせて、入院して数カ月間治療を行います。地固め療法中は中枢神経系への浸潤の予防のため、抗がん剤(メトトレキサート、シタラビン、ステロイド)の髄腔内への注射(参照:髄注)を行うことが一般的です。

(2)維持療法

維持療法は、寛解導入療法や地固め療法によって減少した白血病細胞を、さらに根絶させる目的で行います。基本的に内服(飲み薬)の抗がん剤の使用が中心で、少量のメトトレキサート、メルカプトプリン、ビンクリスチン、プレドニゾロンなどの組み合わせで投与します。副作用も比較的軽いため、外来での治療が可能です。治療期間はそれぞれの患者さんによって異なりますが約1~2年間継続します。維持療法が終了した段階で寛解が維持されていれば、治療終了となります。

また脳や脊髄の中枢神経に白血病細胞が浸潤しやすいため、予防のため「髄腔内注射(ずいくうないちゅうしゃ)」を地固め療法と同時に行うことが一般的です。中枢神経には、点滴や内服による投与では抗がん剤が届きにくいため、背中から細い針や管(くだ)を挿入して中枢神経系に直接抗がん剤を投与します。

2.分子標的治療

がん細胞の増殖にかかわる分子だけを標的とした薬剤である分子標的薬は、主に抗がん剤と組み合わせて点滴や内服で投与します。

以前は、フィラデルフィア染色体がある病型は、再発しやすく予後不良でしたが、分子標的薬の開発により、寛解導入療法で抗がん剤と併用することにより治療成績は向上しています。使用する薬剤は、イマチニブで、フィラデルフィア染色体がつくりだすBCR-ABLチロシンキナーゼという異常なタンパクの機能を阻止することで白血病細胞を減らす効果があります。ほぼ同じ作用があるダサチニブは再発・難治性の場合に使用可能です。

3.造血幹細胞移植(同種造血幹細胞移植)

同種造血幹細胞移植とは、大量の化学療法や全身への放射線治療などを行ったあとに、骨髄機能を回復させるために、ドナーから事前に採取した造血幹細胞を投与する治療です。化学療法で十分な効果が得られない場合や、予後因子などから化学療法のみでは治癒が困難と予想される場合には、第一寛解期(寛解導入療法・地固め療法のあと)に実施が検討されます。また再発後に化学療法により治療効果が得られた場合(第二寛解期)にも実施が検討されます。同種造血幹細胞移植は、治療に伴う合併症のリスクが高く、またドナーの協力が必要な治療であるため、最終的に実施するかどうかは、患者さんの全身状態や年齢、白血病の状態、ドナーが見つかるかなどから、慎重に検討されます。高齢者や、臓器に障害があり移植前の強力な化学療法が行えない場合は、少し弱めの化学療法のあとに造血幹細胞移植を行うミニ移植が検討されます。

4.放射線治療

リンパ芽球性リンパ腫のうち特にT細胞系では、診断時に縦隔部(じゅうかくぶ)に腫瘤(しゅりゅう)があることが多く、10cmを超えるような大きい病変の場合もあります。そのため、局所再発予防を目的として、縦隔部分に放射線治療が行われることがあります。しかし、縦隔部への放射線照射によって二次性発がんや心臓への合併症が起こる可能性があるため、化学療法後の放射線治療の適応は、個々の患者さんによって異なります。一般的に、治療前に縦隔に大きな病変があった場合や、化学療法への反応が遅い場合、治療後に病変が残ってしまった場合には、放射線治療の適応を検討します。

急性リンパ性白血病は、再発予防のため中枢神経系(脳と脊髄)へ予防的全脳照射を行う場合がありますが、時間が経過して起こる副作用で、白質脳症、認知機能の低下、内分泌異常や髄膜腫などの二次性腫瘍を発症することあり、治療の適応は慎重に検討されます。

5.生活の質を重視した治療

近年、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の改善を目的とし、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族がその人らしく過ごしたりするための緩和ケアが浸透し始めています。

緩和ケアは、がんが進行したときだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、その人らしい生活を送ることができるように、緩和ケアでは医学的な側面に限らず、幅広い対応をしていきます。

そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことがあれば、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。

緩和ケアについては、「緩和ケア」もご参照ください。
【参考文献】

  1. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」(金原出版)

  2. 日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)

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