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骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)

更新・確認日:2016年06月17日 [ 履歴 ]
履歴
2016年06月17日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」「造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月)」より内容を更新しました。
2006年10月10日 掲載しました。

1.同種造血幹細胞移植

同種造血幹細胞移植は、骨髄異形成症候群の治癒が期待できる唯一の治療法ですが、ドナー(造血細胞の提供者)の有無や年齢、全身状態など条件があります。また、合併症など一定の危険性が伴う治療法のため、移植を受けるかどうかは、主治医と十分に相談し、治療方法を理解した上で決定されることをお勧めします。

1)同種造血幹細胞移植の適応

移植の適応を検討する上で、日本造血細胞移植学会では、国際予後スコアリングシステム(IPSS:International Prognostic Scoring System)分類による移植適応の指標を提唱しています(表3)。
表3 骨髄異形成症候群に対する移植適応
IPSS 病型リスク HLA適合
同胞(兄弟姉妹)
HLA適合
非血縁
臍帯血移植
(※2)
Low 低リスク群
(※1)
○/△
Intermediate(Int)-1
Intermediate(Int)-2   高リスク群  
  High
  治療関連MDS  
◎:移植が標準治療である(合併症、QOLなどの不利益についても検討した上で総合的に決定すべきである)
○:(年齢など)症例により移植を考慮してもよい
△:開発中であり、臨床試験として実施すべき
※1:低リスク群の場合、血球減少が高度で、輸血依存性、あるいは重症感染症・出血のハイリスク症例で、他の保存的治療法が無効の場合に同種造血幹細胞移植を考慮する。
※2: 臍帯血(さいたいけつ)移植に関しては、移植前治療、患者年齢、臍帯血細胞数などにより、推奨度が異なる。
日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編「造血細胞移植ガイドライン第3巻[骨髄異形成症候群(成人)第2版](2014年)」(医薬ジャーナル社)より一部改変し作成
【同種造血幹細胞移植の適応について、さらに詳しく】

(1)低リスク群(IPSSのLow~Int-1)の場合

同種造血幹細胞移植は推奨されていません。しかし、国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)におけるリスクの悪化や悪化傾向がある場合や、血球減少のために輸血を頻繁に必要とする場合、重篤な感染症・出血などの合併症の既往やその危険性が高い場合には、移植を考慮することがあります。

(2)高リスク群(IPSSのInt-2~High)の場合

血球の減少や急性白血病へ進展するリスクが高いため、同種造血幹細胞移植が可能であれば、原則として速やかに移植を実施します。55歳未満で、白血球の型(HLA)が1座不適合以内の血縁ドナーが存在し、移植に耐えられる全身状態である患者さんが最もよい適応とされています。血縁ドナーが得られない場合には、HLAが一致する非血縁者ドナー(骨髄バンク)からの移植も考慮します。高リスク群のうち、染色体異常(参照:染色体)が予後良好を示す一部の症例では、急性骨髄性白血病に準じた治療などで比較的良好な予後を期待できる場合があるため、移植の適応を慎重に考慮します。

(3)治療関連骨髄異形成症候群(MDS)の場合

また、以前にがん/腫瘍で薬物療法放射線治療を受け、その後に発症した骨髄異形成症候群を「治療関連骨髄異形成症候群(MDS)」といい、積極的な移植適応となります。
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2)同種造血幹細胞移植の方法

同種造血幹細胞移植の前には、大量の細胞障害性抗がん剤(以下、抗がん剤)や全身放射線照射による強力な治療が行われます。これを「移植前処置(いしょくぜんしょち)」と呼び、骨髄異形成症候群の異常細胞を含む血液細胞を破壊するとともに、移植するドナーの造血幹細胞が拒絶されないようにすることが目的となります。

50~55歳未満でHLA(白血球の型)適合血縁ドナーがあるときは、移植前処置として大量の抗がん剤を投与し、骨髄を空にした後に移植を行います。50~55歳以上のとき、もしくは、移植関連の毒性が高いと予想される合併症があるときには、移植前処置の強度を落として患者さんの負担を軽くした移植法(骨髄非破壊的移植・ミニ移植ともいわれます)が一般的に行われます。

移植前処置の後、HLAが一致したドナーから採取した正常な造血幹細胞を、静脈から輸血のように体内に入れて、破壊された造血幹細胞と入れ替え、造血機能を回復させます。
【同種造血幹細胞移植の方法について、さらに詳しく】

(1)骨髄移植

化学療法、または放射線治療の組み合わせによって、骨髄(こつずい)を中心とする体の中の白血病細胞と正常な血液細胞を破壊し、HLAが一致したドナーから採取した正常な骨髄を、静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された造血幹細胞と入れ替えます。

(2)末梢血(まっしょうけつ)幹細胞移植

白血球をふやす薬(G-CSF)を数日間ドナーの皮下に注射し、骨髄から全身の血管内に流れ出てきた造血幹細胞を採取し移植します。この方法では、G-CSFの投与に伴う副作用がありますが、全身麻酔による骨髄液採取は不要になるので、ドナーの負担が減る可能性があります。

(3)臍帯血(さいたいけつ)移植

臍(へそ)の緒の中に存在する造血幹細胞を、骨髄のかわりに用います。この治療は現段階では標準治療として推奨されていませんが、骨髄・末梢血幹細胞のドナーが得られない高リスク群の患者さんでは、臍帯血移植を考慮する場合があります。

(4)骨髄非破壊的移植(ミニ移植)

近年では、必ずしも大量の抗がん剤治療や全身を照射する放射線治療をしなくても、免疫抑制作用の強い薬を用いることによって、患者さんとドナーの造血幹細胞を入れ替えることが可能になりつつあります。高齢の方や、合併症のある患者さんへの移植が行われるようになってきました。通常の移植前処置を行う場合と比較して移植合併症による死亡は明らかに少ないものの、再発率が高いことがわかっており、再発率改善のために、移植前治療を工夫する試みが行われています。
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2.化学療法(抗がん剤治療)

薬剤を用いて、病気の状態を改善する治療法です。造血幹細胞移植が行えない高リスクの骨髄異形成症候群や、低リスク群の一部に対しては、抗がん剤のアザシチジン(AZA)による治療を行います。また、染色体異常(5番染色体の一部が欠失)のある低リスク群の患者さんには抗造血器悪性腫瘍剤のレナリドミドを使用します。芽球(がきゅう)の多い骨髄異形成症候群に対しては、抗がん剤を用いて、芽球の数を減らすことを目指します。
【化学療法について、さらに詳しく】

1)アザシチジン

アザシチジン(AZA)は、同種造血幹細胞移植を行わない高リスクの患者さんに対しては第一選択薬とされており、明らかな増悪や強い副作用のための中止を除いて、少なくとも4~6コースを継続して投与し、有効性を判断します。

低リスク群の骨髄異形成症候群に対しては、アザシチジンにより造血機能の回復が認められることがありますが、現時点では第一選択薬としての使用は推奨されていません。

2)レナリドミド

レナリドミドは、5番染色体長腕(5q)の欠失(染色体の一部が欠けていること)を伴う「5q-症候群」の患者さんに対して使用されます。低リスク群で赤血球輸血をたびたび繰り返す患者さんにおいては、レナリドミドの有効性が認められています。

高リスク群の患者さんに対するレナリドミドの有効性はわかっておらず、使用は勧められていません。ただし、5q-症候群の患者さんで、第一選択薬であるアザシチジンの効果が得られないときに、レナリドミドの使用を考慮することがあります。

3)その他の化学療法

同種造血幹細胞移植が実施されない高リスク群の一部の患者さんで、第一選択薬であるアザシチジンの効果がない・投与できないという場合には、白血病治療に準じた抗がん剤投与も考慮されます。患者さんの年齢や全身状態などを考慮して、使用する薬剤や量などを検討します。
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3.免疫抑制療法

低リスク群の患者さんの一部には、免疫抑制療法により造血機能の回復を期待できる場合があることが報告されています。治療には、免疫抑制剤の抗胸腺細胞グロブリン(ATG:anti-thymocyte globurin)やシクロスポリン(CyA)が用いられますが、国内では保険適応になっていません。

4.サイトカイン療法

サイトカインとは、もともと体の中で血液細胞の産生を促している物質です。これを薬として投与し、血液細胞を補う治療方法を、サイトカイン療法といいます。

低リスク群の骨髄異形成症候群の貧血に対しては、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)や、持続性エリスロポエチン製剤(ダルベポエチン アルファ)を投与すると、一部の患者さんに対して貧血が改善することがわかっています。国内では、持続性エリスロポエチン製剤が骨髄異形成症候群に伴う貧血に対して保険適応となり、血液中のエリスロポエチン濃度が低い場合や、赤血球輸血量の少ない場合には有効性が高いと考えられています。ただし、高リスク群の患者さんへの有効性や安全性は確立していません。

5.鉄キレート療法

骨髄異形成症候群により、定期的な赤血球輸血(月2単位以上の赤血球輸血を6カ月以上継続)を必要とする患者さんでは、輸血により体内に余分な鉄が蓄積し、血液中のフェリチン(血液中の鉄分量を維持・調節するタンパク)の値が上昇する「鉄過剰症」になる場合があります。鉄過剰症により、主要な臓器(心臓、肝臓、膵臓[すいぞう]など)に障害を起こすことがあるため、患者さんによっては、過剰な鉄を体の外に排出する治療(鉄キレート療法)を行うことがあります。具体的には、鉄キレート剤と呼ばれる薬剤を注射や内服により投与します。

6.支持療法

支持療法は、がん細胞そのものを減らしたり、がんを小さくしたりする治療ではありませんが、がんによって起こる合併症、治療に伴う副作用を予防・軽減する治療で、血液のがんの治療を進めていくにあたって極めて重要です。

具体的には、治療に伴う白血球減少に備え、感染しやすい場所(口の中、気道、肛門周囲など)の治療やケア、白血球減少の状況での感染症の予防や治療のための抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌(カビ)薬の投与、貧血に対する濃厚赤血球の輸血、血小板減少に対する血小板の輸血、その他、血液製剤や吐き気止めの使用などです。症状の緩和だけではなく、長期にわたることの多い治療の間の精神的な支援を含めて、幅広い内容の支持療法が行われます。

7.生活の質を重視した治療

近年、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の改善を目的とし、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族がその人らしく過ごしたりするための緩和ケアが浸透し始めています。

緩和ケアは、がんが進行したときだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、その人らしい生活を送ることができるように、緩和ケアでは医学的な側面に限らず、幅広い対応をしていきます。

そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことがあれば、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。

緩和ケアについては「緩和ケア」もご参照ください。
【参考文献】
  1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版;金原出版
  2. 日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編:造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月);医薬ジャーナル社
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