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「軽減制度があっても、治療が続く患者の負担は大きい」

田原

私の2番目の女房ががんになったとき、日本ではまだ承認されていない抗がん剤を使ってもらったんですね。ところが大問題が起きました。未承認薬は自由診療なので、自費になります。日本の医療保険では混合診療が認められていないので、その未承認の薬代だけではなく、入院費や検査費の全てについて、保険が利かなくなった。それまで月に7、8万円で済んでいた医療費が、100万円になっちゃう。これには苦労しました。混合診療は絶対認めるべきだと思うんだけど、いまだに認めていないですよね。どうしてですか。

若尾

ひとつには、証拠がはっきりしない民間療法のようなものを使わせないためだと思います。もうひとつとしては、他の国で承認されている薬でも、日本人に適切に作用するか、適切な量はどうかということをわからないまま使うのは大変危険ですから、効果を確認した治療を安全に行いたいという考えにもよります。承認手続き自体は、以前に比べずいぶんスピードアップされてきています。

田原

でも、未承認の薬を使っただけで、他のものも全部保険が利かなくなるというのは、おかしいじゃないですか。

若尾

未承認の薬は、まだ、効果や安全性が確認されていない状態なのですが、保険で認められる 診療を一緒に行った場合に、未承認以外の部分について保険が使えるようになると、未承認薬に対するハードルが低くなって、比較的安易に未承認薬が使われるようになることが予想されます。その結果、歯止めがなくなり、効果がない薬剤が使われたり、十分な体制が整えられていないのに、安全性に問題がある薬剤使われてしまうことが心配されます。

田原

つまり、その点では医者を信用していないんですね。

若尾

まあそういう考え方もできますね。有効で安全な医療を提供するために、制度で縛っているといえると思います。一方、臨床試験で使われる薬剤の場合は、研究の対象となっている薬だけでなく、関連する医療にかかる費用についても患者さんの負担にならない形で行うようになっています。

田原

じゃあ、いまはその薬について医療保険が利かなくても、残りは全部保険でできるんですか。

堀田

いまは先進医療という制度があって、未承認でも適用外の薬でも、厚生労働省に申請して、評価療養(保険給付の対象とすべきか評価が必要な療養)としてそれなりに意味があるとなれば、保険と併用できます。

関原

重粒子線治療なんて、典型的なものですよね。重粒子線治療は300万円くらいかかる。あれは保険診療と併用ができる。先進医療という中でいろいろな新しい治療を認めていって、その中で相当実績が積まれてきたら、保険を適用する。そういうプロセスになっていますが、もっとスピードを上げないといけない。

それから外国では薬といっても、各国ごとに値段が違いますし保険償還も異なります。同じ薬でも、アメリカで買うと日本とは制度が違いますから、ものすごく高い場合が多いのです。だから、アメリカに治療を受けに行ったりすると、日本で承認された薬で、かつ保険で治療するのとは値段が相当違う。そういう意味で、トータルとして日本のがん医療は、相当安い値段で受けられることは間違いない。

堀田

アメリカの最先端の薬や医療機器の開発は非常にスピードが速くて、世界をリードしているのは確かです。でも、アメリカ国民が日本と同じように均一な医療を受けているかとなると、全然違います。アメリカでは、民間保険で加入している保険によってカバーする医療の内容が違います。いい保険に入っている人はカバー範囲が広いけど、あまりよくない保険だと、狭い。

田原

いまはがん治療をすると、どのくらい費用がかかるんですか。児玉さんの場合は、どのくらいでした?

児玉

私は基本的に外科手術と放射線治療30回だったので、すごく安いと思います。放射線は1回4000円くらいで、だいたい月に5、6万円ですね。

関原

抗がん剤を長期的に使うと、もっと費用がかかります。医療保険には高額療養費という制度があって、月にいくらという上限以上は負担しなくていい。上限額は所得によって違って、田原さんなら15万円くらいでしょうが、一般的には約8万円です。本来何十万円なのを8万円で済むわけですが、毎月8万円を2年続ければ、192万円になってしまう。いまは治療の選択肢が広がって、それは非常にいいことなんですが、医療費が高くつくのは大きな問題ですね。

堀田

以前の高額療養費は、手術のように一時的にお金が掛かるときのための制度だったのです。これまでは、外来には高額療養費という考え方自体がありませんでした。これは最近になって、外来診療にも適用されるようになりました。

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  • 01 私たち、がんと共に働いてきました
  • 02 「なぜ教えてくれないの!余命半年なら精一杯生きたい」   がんの女房に怒られました
  • 03 医者に、がんです、と言われたらどうすればいい?
  • 04 食道がん、手術しないで治しました
  • 05 抗がん剤をずっと使うと制度があっても大きな負担になる
  • 06 家族につらいところは見せられないのが、つらい
  • 07 がんになったら、普通、会社では配置転換させられます
  • 08 がんになる前に、仕事の技術を磨こう。   それがサバイバルの武器になる
  • 09 「がん患者」は、 人生を共に生きるパートナーだ

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