1.経過観察
一通りの治療を終えた後も、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。神経膠腫では、定期的にMRI検査による頭部の画像診断を行います。またテモゾロミドなどの薬物療法を継続している場合には、白血球や血小板が減少していないかを定期的に採血して調べます。ベバシズマブの場合には、高血圧やタンパク尿などのチェックも行います。
神経膠腫の症状は一人ひとり異なり、治療法もいまだ課題が多いのが現状です。しかし、新しい薬剤や治療法も、臨床試験が行われて少しずつ開発されており、神経膠腫の治療をしながらこれまで通りに仕事をしている人も少なくありません。
神経膠腫の治療ではほとんどの場合、入院や定期的な通院、自宅療養が必要となります。そのため、できれば周りの人に病気のことを伝え、理解と協力を得るよう努めましょう。
生活や仕事、暮らしのこと、周囲への伝え方などについては、関連情報「周りの人に病気のことを伝える」もご参照ください。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により日常生活の注意点は異なります。体調を確認しながら、担当医とよく相談をして、無理のない範囲で過ごしましょう。
腫瘍や治療の影響で、運動機能や認知機能に障害が起こることがあるため、これら機能の評価を行いながら、必要に応じてリハビリテーション(リハビリ)が実施されます。
運動機能障害や高次脳機能障害は、一人ひとりの状況によってさまざまです。入院中には分からなくても、退院して普段の仕事や生活に戻ったときに、以前できたことが同じようにできないなど、障害に気付くこともあります。日常生活の中で、困ったことや気になることがあれば早めに担当医や看護師、リハビリのスタッフ(一般に、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士など)に相談しましょう。
神経症状(運動や感覚、思考や言語などのさまざまな機能が障害されて起こる症状)が強い場合には、訪問看護師や医師による在宅緩和ケアを受けることもできます。
1)薬物療法中の日常生活について
支持療法の進歩により、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。最近では通院で薬物療法を行うことが増えています。
通院による薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など今まで通りの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くてもつい無理をしてしまいがちです。日常生活を送りながらも、治療によって万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。
また、常に医療者がそばにいるわけではないので不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やあらわれる時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安などをその都度解消しながら、治療を進めるようにしましょう。
2)性生活について
性生活ががんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。
薬物療法中やそのあとは、腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないようにコンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医に相談してください。
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