1.小児の横紋筋肉腫の検査
横紋筋肉腫が疑われた場合、まず、血液検査、尿検査、画像検査、骨髄検査などで全身を調べ、次いで生検(腫瘍の一部を切り取ること)を行います。
また、傍髄膜に腫瘍があることが疑われる場合には、髄液検査も行われます。
これらの検査結果に基づいて、病期(ステージ)分類を行った後、腫瘍の切除または生検を行い、切り取った腫瘍細胞を顕微鏡で見て、横紋筋肉腫かどうかを診断(病理診断)します。
2.検査の種類
1)画像検査
腫瘍の場所や大きさ、広がりなどを確認するためにCT検査、MRI検査、PET/CT検査、タリウムシンチグラフィ、骨シンチグラフィなどの画像検査を行います。
中でも、PET/CT検査は、腫瘍の活動状態(腫瘍が活発かどうか)を調べることができ、転移している場所を知るのに有用です。そのため、治療を開始する前の病期(ステージ)の診断のために実施されることもあります。
2)骨髄穿刺検査
骨髄穿刺検査は、治療を開始する前に行われる検査で、通常は腸骨(腰の骨)に骨髄針を刺し、骨髄液を注射器で吸引して採取します。採取した骨髄を顕微鏡で観察し、腫瘍細胞の有無などを調べます。小児では骨が軟らかく痛みを伴うため、全身麻酔あるいは鎮静薬を使用して行われることが多くなっています。
3)病理診断
腫瘍の一部分を採取して、その組織を顕微鏡で詳しく調べる検査を「生検」といいます。生検では、悪性腫瘍かどうか、病気の細かい種類(悪性度)などについて、病理医が組織や細胞の性質を詳しく調べ、病理診断を行います。
横紋筋肉腫では、生検の結果によって治療方針が決まるという重要な検査です。腫瘍の周囲や遠隔のリンパ節に転移が疑われるときは、疑わしいリンパ節を採取して調べる場合もあります。
手術の詳細は後述しますが、最初の手術(腫瘍切除)で腫瘍を全部取りきれると判断される場合以外は、この生検がすべての治療に先立って行われます。
横紋筋肉腫では、針生検や吸引生検では、組織の構築が壊れて正確な病理診断ができない場合があります。また、必要な遺伝子診断のために十分な検体を採取できない場合もあります。そこで、診断のために必要な組織を十分に採取するために、通常、開放生検(腫瘍がある部分を切り開いて1cm角程度の腫瘍組織を採取する検査)が行われます。