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網膜芽細胞腫〈小児〉

網膜芽細胞腫〈小児〉 検査

網膜芽細胞腫の検査と診断は、目の奧を詳しく調べる「眼底検査」が基本となります。必要に応じて画像検査も組み合わせて行います。一般的ながんとは異なり、診断のために腫瘍の一部を切り取る「生検せいけん(病理検査)」は行いません。目の診察と画像検査による臨床診断に基づいて初期の治療方針を決定します。あわせて、全身の状態を把握するための診察も行います。

網膜芽細胞腫の検査では、検査に対する子どもの恐怖心を和らげ、検査中に動いてしまうのを防ぐため、薬や麻酔を使用して眠った状態で検査を行うことがあります。

がんの検査について、詳しく掲載しています。こちらのページは、小児がんに限らず全世代向けの情報です。

1.前眼部検査・眼底検査

前眼部検査は目の前方約3分の1にある角膜や瞳の周辺を、眼底検査は眼球の奥側約3分の2にある網膜、視神経、血管などを詳しく調べる検査です。

検査では、点眼薬で瞳孔どうこう(黒目の中心部分)を開いた状態にして、目の奥にある網膜などの状態を観察します。同時に、目の表面近くにある隙間(前房ぜんぼう)や、さらに奧のゼリー状の組織(硝子体しょうしたい)に腫瘍が広がっていないかも確認します(図1)。特殊な顕微鏡で拡大して観察するため、1mm程度の小さな腫瘍も発見することができます。また、最適な治療法を選ぶために、網膜剥離もうまくはくりや緑内障りょくないしょうなど、他の病気が隠れていないかも合わせて確認します。

2.画像検査

1)超音波(エコー)検査

超音波検査は、耳で聞こえない高い音(超音波)を体に当てることで、体内の様子を映し出す検査です。腫瘍の性質や広がりを調べます。

実際の検査では、閉じたまぶたの上からプローブ(超音波検査機器の先端部分)を軽く当てて、眼球の状態を詳しく調べます。腫瘍の大きさや位置に加えて、網膜芽細胞腫の特徴の1つである腫瘍内部の石灰化(カルシウムが沈着して硬くなる現象)の有無を確認することができます。この検査は放射線を使わないため、被ばくの心配がありません。また、角膜の濁り(角膜かくまく)などで目の奧の組織を細かく調べる眼底検査が十分できない場合にも有用です。

超音波(エコー)検査について、詳しく掲載しています。こちらのページは、小児がんに限らず全世代向けの情報です。

2)CT検査、MRI検査

CT検査はX線(放射線)を、MRI検査は磁気を用いて、腫瘍の性質や広がりを調べる検査です。

CT検査は眼球内の腫瘍の石灰化(カルシウムが沈着して硬くなる現象)を鮮明に写し出すことができるため、網膜芽細胞腫の診断に有用です。しかし、放射線被ばくのリスクを伴うため、基本的にはMRI検査を優先して行います。ただし、腫瘍が眼球外へ広がっていることが疑われる場合など、被ばくのリスク以上に検査の必要性がある場合は、全身のCT検査を行うことがあります。

MRI検査は腫瘍の広がりをよりはっきりと映し出すことができます。そのため、腫瘍が頭の骨の内側まで広がっていないか(頭蓋内ずがいない浸潤しんじゅん)の確認や、両眼性の網膜芽細胞腫の約3%にみられる三側性さんそくせい網膜芽細胞腫(脳にも同様の腫瘍を併発するまれな小児がん)の検出に有⽤です。

CT検査、MRI検査について、詳しく掲載しています。これらのページは、小児がんに限らず全世代向けの情報です。

3)腫瘍が眼球の外へ広がっていることが疑われる場合の検査

他の場所への転移がないかを調べる検査には、全身のCT検査、がん細胞に集まりやすい特殊な薬を注射して撮影するPET検査、特定の臓器に集まる薬を注射して撮影するシンチグラフィ検査などがあります。これらの検査では放射線(放射性の薬剤やX線)を用いるため、ごく低い確率ですが、別の悪性腫瘍(二次がん)を引き起こす原因になることがあります。

特に、両眼性など遺伝性の網膜芽細胞腫の子どもは、体質的に他の子どもと比較して二次がんを生じやすいことが分かっています。

網膜芽細胞腫は、腫瘍が眼球の中にとどまっている段階であれば、別の場所に転移することは非常にまれです。そのため、腫瘍が眼球外に広がっていないと判断できる場合は被ばくを伴う検査は最小限にとどめます。

一方で、腫瘍が眼球の外へ広がっている疑いがある場合は、被ばくのリスクよりも、全身の状態を検査して詳しく調べる必要性の方が高くなります。その場合は、これらの検査に加えて、骨の中にある血液を作る組織を調べる骨髄こつずい検査や、脳や脊髄の周りを満たしている液を調べる脳脊髄液のうせきずいえき検査なども組み合わせて行います。

PET検査、CT検査について、詳しく掲載しています。これらのページは、小児がんに限らず全世代向けの情報です。

3.病理検査

手術を行って眼球を摘出した場合は、取り出した組織を顕微鏡などで詳しく調べる病理検査を行います。この検査では、がんの広がり具合(進展度)を評価し、再発や転移のリスク、手術後に追加の治療が必要かどうかなどを判断します。

病理検査で特に重要なのはがんがどこまで深く入り込んでいるか(浸潤の範囲)です。目から脳へとつながる神経の通り道(篩状板しじょうばん)を超えて視神経へ浸潤している場合には、脳や脊髄などへの転移に注意する必要があります。また、眼球内にとどまっていても脈絡膜みゃくらくまくや毛様体など血液がたくさん流れている組織にがんが入り込んでいる(浸潤している)場合には、血液の流れに乗って他の臓器へ転移する可能性を考慮します(図1)。

4.腫瘍マーカー検査

網膜芽細胞腫では、現在のところ、診断や治療効果の判定に使用できるような特定の腫瘍マーカーはありません。

腫瘍マーカー検査について、詳しく掲載しています。こちらのページは、小児がんに限らず全世代向けの情報です。
更新・確認日:2026年10月16日 [ 履歴 ]
履歴
2026年10月16日 「小児がん(血液腫瘍・固形腫瘍)診療ガイドライン 2026年版」より、内容を更新しました。
2022年09月21日 内容を更新し、ウェブページで公開しました。
2021年07月01日 小児がん情報サービスから移動し、PDFで公開しました。
2014年04月22日 小児がん情報サービスで掲載しました。
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