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全ページ表示がんの冊子でんし冊子子宮頸がん(しきゅうけいがん)

更新・確認日:2019年10月10日 [ 履歴 ]
履歴
2019年10月10日 「子宮頸癌治療ガイドライン2017年版」「子宮頸癌取扱い規約病理編第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年07月13日 「6.疫学・統計」を更新しました。
2013年08月13日 「6.疫学・統計」を更新しました。
2012年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年05月01日 内容を更新しました。
1996年04月01日 掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。

1.子宮について

子宮は女性の骨盤内にある臓器で、大きさは成人女性で鶏の卵程度です。子宮は、下部の筒状の「子宮頸部(けいぶ)」と、上部の袋状の「子宮体部(たいぶ)」に分けられます。子宮頸部の下は腟(ちつ)につながり、子宮体部の左右からは卵管が出ています。また、子宮の左右には卵巣があります。基靱帯(きじんたい)は、子宮頸部の周囲にある組織(子宮傍組織)の1つで、子宮を支えています(図1)。
子宮は妊娠したときに胎児を育てる器官です。筋肉でできており、内側は子宮内膜と呼ばれる粘膜でおおわれています。子宮内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの作用を受けると、受精卵の着床に備えて増殖して厚くなり、妊娠しなければはがれおちます。これを月経といい、この周期は閉経するまで通常4週間隔で繰り返されます。
【図1 子宮の構造と周囲の臓器】
図1 子宮の構造と周囲の臓器
図1 子宮の構造と周囲の臓器の図
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2.子宮頸がんとは

子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。
子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったり、また血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器(肺など)に転移したりすることがあります。

3.症状

子宮頸がんは、正常な状態からすぐがんになるのではなく、異形成といわれる、がんになる前の状態を何年か経てからがんになります。異形成の時期では症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
子宮頸がんが進行すると、月経中でないときや性交時に出血したり、濃い茶色や膿(うみ)のようなおりものが増えたり、水っぽいおりものや粘液が多く出てきたりすることがあります。さらに進むと下腹部や腰が痛んだり、尿や便に血が混じったりすることもあります。少しでも気になる症状があるときは、ためらわずに早めに婦人科を受診しましょう。

4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)

子宮頸がんの組織型は、扁平(へんぺい)上皮がんと腺がんに大きく分けられます。扁平上皮がんが全体の7割程度、腺がんが2割程度を占めます。扁平上皮がんも腺がんも、がんになる前の状態が存在し、その中でも前がん病変と呼ばれる高度異形成や上皮内がんでは治療が必要になります。

5.患者数(がん統計)

子宮頸がんは、日本全国で1年間に約11,000人が診断されます。子宮頸がんと診断される人は20歳代後半から増加して、40歳代でピークを迎え、その後横ばいになります1)2)

6.発生要因

子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られています。しかし、多くの場合、感染しても免疫によって排除されます。HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。また、喫煙により、子宮頸がん発生の危険性が高まります。

7.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
HPVの複数ある型のうち、子宮頸がんの発生と関連が深い一部の型のHPV感染を予防するワクチンが接種可能になっています。しかし、ワクチン接種を受けたとしても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

●HPVワクチンについて

HPVワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられており、9歳から接種が可能です。万が一、HPV ワクチンを接種した後に気になる症状が現れたときには、接種を行った医師またはかかりつけの医師に相談の上、協力医療機関の受診を検討してください。全国に設置された協力医療機関では、接種後に生じた症状の診療を行っています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
20歳以上は2年に1回、子宮頸がん検診を受けましょう。ほとんどの市町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で受けることができます。
検診の内容は、子宮頸部の細胞診および内診、問診、視診です。問診では、不正性器出血などの症状の有無、妊娠および分娩歴、月経の症状、過去の検診受診歴などを確認します。検査の結果が「要精密検査(がんの疑いあり)」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。
※ 厚生労働省の指針では、がん検診の死亡率減少効果が確実で、検診の不利益(偶発症、過剰診断、偽陰性・偽陽性)が少ない検診だけが推奨されています。現時点で子宮頸がん検診では、細胞診が推奨されています。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わったあとの診療としての検査は、ここでいう検診とは異なります。

8.「子宮頸がん」参考文献

1)厚生労働省.がん登録 全国がん罹患数 2016年速報,2019年
2)日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学 改訂第5版.2018,南江堂
3)日本婦人科腫瘍学会編.子宮頸癌治療ガイドライン2017年版,金原出版
4)日本婦人科腫瘍学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第2版.2016年,金原出版
5)日本産科婦人科学会・日本病理学会編.子宮頸癌取扱い規約 病理編 第4版.2017年,金原出版
6)日本産科婦人科学会編.産婦人科研修の必修知識2016-2018.2016年,日本産科婦人科学会

●作成協力

この「それぞれのがんの解説 子宮頸がん」は、全国がんセンター協議会および厚労科研(H29がん対策‐一般‐005)の全面的なご協力により作成されました。
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