HOME > 小児がんの解説 > 脳腫瘍 [基礎知識]

脳腫瘍(のうしゅよう)

更新・確認日:2019年04月18日 [ 履歴 ]
履歴
2019年04月18日 内容を更新するとともに4タブ形式に変更し、でんし冊子PDFを追加しました。
2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。
診療の流れやご家族に心がけていただきたいことなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については「治療にあたって」をご参照ください。

脳について

脳は、脳を保護する骨である「頭蓋骨(ずがいこつ)」に囲まれた臓器です。頭蓋骨の中で、髄膜(ずいまく)に包まれ脳の周りを流れている「脳脊髄液(のうせきずいえき)」の中に浮かんでいます(図1)。
図1 頭蓋骨内の構造
図1 頭蓋骨内の構造
脳は、大まかに、大脳や小脳、脳幹(のうかん)、脊髄という部位に分けることができ、これらは脳実質と呼ばれます。脳実質の外側には、髄膜や脳神経などの組織があります。

脳には、神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(しんけいこうさいぼう:グリア細胞)があります。神経細胞からは神経線維が束になって延びており、目・耳・鼻などの感覚器や筋肉とつながって、細胞同士の情報伝達に重要な役割を果たしています。一方、神経膠細胞の主な役割は、神経細胞や神経線維を固定したり守ったりし、栄養の供給や情報伝達に必要な物質の伝達をすることです。

また、脳実質の各部位にはさまざまな機能があります。以下に、脳の表面図・断面図(図2)と、脳の各部位が担う機能(表1)を示します。
図2 脳の表面図・断面図
図2 脳の表面図・断面図
大脳は、前頭葉(ぜんとうよう)、側頭葉(そくとうよう)、頭頂葉(とうちょうよう)、後頭葉(こうとうよう)などに分けられ、それぞれが異なった機能を担っています。
表1 脳の各部位が担う機能
表1 脳の各部位が担う機能 画像

脳腫瘍とは

脳腫瘍は、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称であり、腫瘍を構成している細胞の種類と、腫瘍が最初に発生した場所に基づいて分類されます。各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生し、脳腫瘍全体では150種ほどに分類されます。

小児でよくみられる脳腫瘍として、以下があげられます。
  • 神経膠腫 (しんけいこうしゅ:グリオーマ)
  • 髄芽腫(ずいがしゅ)
  • 頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)
  • 胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)
  • 上衣腫(じょういしゅ)

小児でよくみられる脳腫瘍の種類や特徴に関する詳しい情報は、以下をご参照ください。
関連情報
なお、子どもと大人では発生しやすい脳腫瘍が異なります。
ここでは小児脳腫瘍について解説していますので、大人については脳腫瘍(成人)をご参照ください。
関連情報

症状

脳腫瘍の症状には、大きく分けて、「頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)」と「局所症状(巣症状[そうしょうじょう])」があり、これらの症状は、脳腫瘍そのものや脳浮腫(のうふしゅ)によって生じます。脳浮腫とは、脳のむくみのことであり、脳に発生した腫瘍が大きくなると腫瘍の周りに生じることがあります。頭蓋内圧亢進症状や局所症状では、それぞれにさまざまな症状がみられますが(表2、表3)、子どもは症状を上手に表現することができず、見逃しも起こりがちです。

幼い子どもでは、頭の周囲の長さが大きくなる、嘔吐(おうと)がある、機嫌が悪い、あまり動かなくなるといった症状がみられるほか、体重の増えが悪くなったり、利き手の変更などが起きたりすることもあります。症状によっては、偏頭痛や問題行動、胃腸炎などに間違われる場合もあるため、注意を要します。

小児脳腫瘍が疑われる場合の診察では、どのような症状があらわれているか確認することが重要であるため、以下のような症状がみられるときは、診察や検査の際に医師にしっかり伝えましょう。

頭蓋内圧亢進症状:多くに共通して起こる症状

脳は周囲が頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間であるため、その中に腫瘍ができると逃げ場がなく、その結果、頭蓋骨の中の圧力(頭蓋内圧)が高くなります。これによってあらわれる頭痛や吐き気などの症状を、頭蓋内圧亢進症状といいます(表2)。人間の頭蓋内圧はいつも一定ではなく、睡眠中にやや高くなることから、朝起きたときに症状が強くなることがあります。
表2 頭蓋内圧亢進症状の例
表2 頭蓋内圧亢進症状の例 画像
また、腫瘍が大きくなると、脳脊髄液の流れが悪くなり、脳室(脳の中の空洞)が拡大する水頭症を起こすことがあり、緊急に治療が必要になります。

局所症状(巣症状):脳の各部位が担う機能と関連する症状

運動や感覚、思考や言語などのさまざまな機能は、脳の中でそれぞれ担当する部位が決まっています。脳の中に腫瘍ができると、腫瘍や脳浮腫によってその部位の機能が損なわれ、局所症状があらわれます(表3)。
表3 腫瘍が存在する場所に応じた局所症状の例
表3 腫瘍が存在する場所に応じた局所症状の例 画像

患者数(がん統計)

小児(0~14歳)の脳腫瘍の発生率は100万人あたり約20人(良性・良悪不詳の腫瘍を含めると約30人)といわれています。小児がんの中では白血病の次に多いがんです。脳腫瘍は、小児がんの4~6人に1人となっています1)

発生要因

神経線維腫症など、ごく一部の脳腫瘍では、遺伝的要因が背景にあることが明らかになっていますが、ほとんどの小児脳腫瘍の発生要因は不明です。

関連情報

「小児脳腫瘍」参考文献

  1. 日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学 改訂第5版.2018,南江堂
  2. International Agency for Research on Cancer ed. WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System. revised 4th edition. 2016, World Health Organization.
  3. Katrin Scheinemann and Eric Bouffet eds. Pediatric Neuro-oncology. 2015, Springer.
  4. 五十嵐隆編.小児科診療ガイドライン—最新の診療指針—(第3版).2016年,総合医学社
  5. 日本小児血液・がん学会編.小児血液・腫瘍学.2015年,診断と治療社
  6. JPLSG長期フォローアップ委員会 長期フォローアップガイドライン作成ワーキンググループ編.小児がん治療後の長期フォローアップガイドライン.2013年,医薬ジャーナル社
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートページへ
用語集 このページの先頭へ