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全ページ表示がんの冊子でんし冊子脳腫瘍(成人)(のうしゅよう(せいじん))

更新・確認日:2018年10月12日 [ 履歴 ]
履歴
2018年10月12日 「脳腫瘍診療ガイドライン1 2016年版」「臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約 第4版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2017年08月21日 掲載準備中としました。
2006年10月01日 更新しました。
1997年04月28日 掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。

1.脳について

脳は、頭蓋骨(ずがいこつ)という脳を保護する骨に囲まれています(図1)。
頭蓋骨の中では、髄膜に包まれた脊髄液(せきずいえき:髄液)という液体の中に脳が浮かんでいます。
図1 頭蓋骨内の構造
図1 頭蓋骨内の構造の図
脳は大まかに大脳や小脳、脳幹(のうかん)、脊髄という部位に分けることができます。これらを脳実質と呼び、各部位にさまざまな機能があります。
また、そのほかに、脳実質外の組織(脳をおおっている髄膜や脳神経など)があります。
脳や脊髄には、神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(しんけいこうさいぼう:グリア細胞)があります。神経細胞からは神経線維が延びて束になって走行し、筋肉や感覚器とつながり、細胞間の情報伝達に重要な役割を果たしています。神経膠細胞の役割は、主に、神経細胞や神経線維を固定・保護し、栄養の供給や神経伝達物質を伝達することです。
以下に、脳の表面図・断面図(図2)と、脳の各部位が担う機能(表1)を示します。
図2 脳の表面図と断面図
図2 脳の表面図と断面図の図
大脳は、前頭葉(ぜんとうよう)、側頭葉(そくとうよう)、頭頂葉(とうちょうよう)、後頭葉(こうとうよう)などに分けられ、それぞれが異なった機能を担っています。脳腫瘍ができると、腫瘍によってその部位の機能が障害され、局所症状として出現します。そのため、脳のどの部位がどのような機能を担っているのかを理解することが大切です。
表1 脳の各部位が担う機能
表1 脳の各部位が担う機能の表

2.脳腫瘍とは

脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称で、各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生します。脳腫瘍は原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍の2つに分けられます。

1)原発性脳腫瘍

原発性脳腫瘍は、脳の細胞や脳を包む膜、脳神経などから発生した腫瘍です。組織学的検査や腫瘍組織の遺伝子検査によって150種類以上に分類され、脳腫瘍の性質や患者さん個々の状態に合わせて治療が行われます。
また、原発性脳腫瘍は、良性と悪性に分けられます。増殖速度が遅く、正常組織との境界が明瞭な腫瘍は比較的良性で、主に脳実質外の組織に生じます。一方、増殖速度が速く、周辺の組織にしみ込んでいく(浸潤[しんじゅん])ように広がり、正常組織との境界がはっきりしない腫瘍は悪性で、主に脳実質に生じます(表2)。
表2 良性腫瘍と悪性腫瘍
表2 良性腫瘍と悪性腫瘍の表
主な原発性脳腫瘍として、以下があげられます。
・神経膠腫 (しんけいこうしゅ:グリオーマ)
・中枢神経系原発悪性リンパ腫
・髄膜腫(ずいまくしゅ)
・下垂体腺腫
・神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)
・頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)
原発性脳腫瘍の種類や特徴に関する詳しい情報は、以下をご参照ください。

2)転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍は、他の臓器で生じたがん(肺がんや乳がん、大腸がんなど)が、血液の流れによって脳に転移したものです。

3.症状

脳腫瘍が脳に発生し、大きくなると、腫瘍の周りには脳浮腫(のうふしゅ)という脳のむくみが生じます。手や足を強くぶつけると、手足が腫れることと同じです。脳の機能は、腫瘍や脳浮腫によって影響を受けます。
脳腫瘍や脳浮腫による症状は、腫瘍によって頭蓋骨内部の圧力が高まるために起こる「頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)」と、腫瘍が発生した場所の脳が障害されて起こる「局所症状(巣症状[そうしょうじょう])」に分けられます。

1)頭蓋内圧亢進症状:多くに共通して起こる症状

脳は周囲が頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間であるため、その中に腫瘍ができると逃げ場がなく、その結果、頭蓋の中の圧力が高くなります。これによってあらわれる頭痛、吐き気、意識障害などの症状を、頭蓋内圧亢進症状といいます。人間の頭蓋内圧はいつも一定ではなく、睡眠中にやや高くなることから、朝起きたときに頭痛が強くなり、吐き気を伴うことがあります。
腫瘍が大きくなると、髄液の流れが悪くなり、脳室(脳の中の空洞)が拡大する水頭症を起こすことがあり、緊急に治療が必要になります。

2)局所症状(巣症状):脳の各部位が担う機能と関連する症状

運動や感覚、思考や言語などのさまざまな機能は、脳の中でそれぞれ担当する部位が決まっています。脳の中に腫瘍ができると、腫瘍や脳浮腫によってその部位の機能が障害され、局所症状が出現します。
表3に、腫瘍が存在する場所に応じた局所症状の例を示します
表3 局所症状の例
表3 局所症状の例の表

4.統計

脳腫瘍と新たに診断される人数は、米国の統計によると、1年間に10万人あたり20人程度です1)。原発性脳腫瘍の中では、髄膜腫(ずいまくしゅ)と神経膠腫(:グリオーマ)が最も多く、次いで、下垂体腺腫、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、中枢神経系悪性リンパ腫が多くなっています。

5.発生要因

脳腫瘍と診断されたときには、なぜ脳腫瘍になったのかと思いつめてしまう方もいます。しかし、脳腫瘍の発生要因はほとんど明らかになっていません。環境やストレスなど特定のことが原因で脳腫瘍になるわけではありません。
なお、まれですが、白血病や脳腫瘍などに対して過去に行った放射線治療の影響で、髄膜腫や神経膠腫といった脳腫瘍を発生することがあります。

6.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、脳腫瘍については、現在、指針として定められている検診はありません。
一方、脳ドックなどで脳腫瘍が見つかることがあります。悪性脳腫瘍は症状が急速に進行することが特徴であるため、気になる症状がある場合には、脳神経外科や神経内科を早期に受診することが勧められます。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の診療としての検査は、ここでいう検診とは異なります。

7.「脳腫瘍」参考文献

1) Ostrom QT, Gittleman H, Liao P et al. CBTRUS Statistical Report: Primary brain and other central nervous system tumors diagnosed in the United States in 2010-2014. Neuro-Oncology. 2017; 19 (s5)
2) The Committee of Brain Tumor Resistry of Japan. Report of brain tumor registry of Japan (2005-2008) 14th edition. Neurologia medico-chirurgica 2017; Suppl: 57
3) 日本脳腫瘍学会編.日本脳神経外科学会監.脳腫瘍診療ガイドライン1 2016年版 成人膠芽腫・成人転移性脳腫瘍・中枢神経系原発悪性リンパ腫,2016 年,金原出版
4) 日本脳神経外科学会・日本病理学会編.臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約 第4 版,2018 年,金原出版
5) International Agency for Research on Cancer. WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System (WHO Health Organization Classification of Tumours), 2016, World Health Organization
6)日本がんリハビリテーション研究会.がんのリハビリテーションベストプラクティス.2015年,金原出版
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