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胆管がん(たんかんがん)

更新・確認日:2019年07月22日 [ 履歴 ]
履歴
2019年07月22日 新規に追加された用語へのリンクを追加しました。
2015年08月21日 2.黄疸に対する処置に胆道ドレナージの図を追加しました。
2015年01月15日 タブ形式に変更しました。「臨床・病理 胆道癌取扱い規約 2013年11月(第6版)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約2009年6月(第5版補訂版)」「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン2014年(改訂第2版)」より、内容を更新しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年03月19日 掲載しました。

1.検査

黄疸(おうだん)や右上腹部痛があらわれ、胆管がんを疑う場合、まず血液検査と腹部超音波検査を行います。胆管の拡張などの胆道閉塞(へいそく)がみられた場合、CT検査MRI検査などを行い、がんの存在や広がりを調べます。直接胆道造影や胆道鏡は、胆管に直接造影剤を注入してX線撮影する検査です。直接胆道造影では細胞診検査、胆道鏡では組織診検査ができます。内視鏡を使う超音波検査として、超音波内視鏡検査(EUS)やIDUS(管腔内超音波検査)があります。全身的な検査としてPET検査があります。

造影剤を使用する検査をする場合には、造影剤でアレルギー反応などの副作用が起こることがありますので、アレルギーのある方は担当医に申し出てください。

1)血液検査

胆道閉塞が発生すると血液中のビリルビンが増加したり、胆道系酵素のALPやγ-GTPの数値が上昇したりします。また胆管がんに特異的な腫瘍マーカーはありませんが、診断の補助的な役割をするマーカーとしてCA19-9やCEAがあります。

2)腹部超音波(エコー)検査

体外から超音波の出るプローブをおなかに当てるだけで、針を刺したり、大がかりな機械に入ったりすることもなく、外来で比較的簡単に検査ができます(図2)。肝臓の内部、周辺の腫瘤、胆管の拡張などを調べるのに適しており、処置が必要な閉塞があるかどうかの判断にとても有用です。
図2 超音波検査の様子
図2 超音波検査の様子の図

3)CT検査

体の周囲からX線を当てて、体の断面図を撮影する検査です(図3)。腫瘍の存在部位や広がりを捉えることができます。胆管の拡張程度や部位も調べることができます。また造影剤を用いることで、腫瘍部と非腫瘍部組織の血流の差を利用して腫瘍を浮かび上がらせることもでき、腫瘍がどの程度、周囲の血管に浸潤(しんじゅん)しているのか推測できます。最近では、1回のスキャンで多数の画像を撮ることができるマルチスライスCT(MDCT)が普及しています。多方向からの観察が可能になり進展度診断に有効です。3次元化した画像により血管浸潤の評価が詳細に可能になります。
図3 CT検査の様子
図3 CT検査の様子の図

4)MRI検査

巨大な磁石の中に入って体のさまざまな部分を撮影する検査です。CTと同様に胆管の拡張や病変の存在部位・広がりを診断できますが、CTと得られる情報が異なり、治療前の精密検査として行われることがあります。造影剤や内視鏡を使わずに検査することができるため、痛みもありません。

●磁気共鳴胆管膵管(すいかん)撮影(MRCP)
MRIを撮影して得られた情報を基に、コンピューターを使って胆道、膵管の画像を構築する検査手法です。直接胆道造影ほど画像はきれいではありませんが、直接胆道造影では、発熱、胆管炎・胆のう炎、膵炎などの合併症のリスクがあるため、直接胆道造影の前にMRCPを行う場合もあります。

5)直接胆道造影

胆管内へ細いチューブを挿入して造影剤を送り、X線撮影する検査です。胆管がんの広がりを観察することができます。取り出した胆汁中のがん細胞を調べること(細胞診検査)も可能ですが、診断には限界があります。また、同時に黄疸の治療として、下流に流れなくなった胆汁を体の外に導出する処置も行うのが普通です。詳しくは2.黄疸に対する処置をご覧ください。

●内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)
内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、胆管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、造影剤を注入してX線撮影することにより、 胆管のかたちを調べる方法です。

●経皮経肝胆道造影(PTC)
腹部の皮膚から肝臓を経由して胆管に直接針を刺し、その経路からチューブを入れ、造影剤を注入する方法です。胆管の狭窄(きょうさく)や閉塞の様子が詳しくわかり、腫瘍の存在部位や広がりの診断に有用です。

6)胆道鏡

直接胆管の中に細いファイバースコープを通し、胆管内を観察する検査です。胆管の粘膜内進展範囲の診断に有用で、粘膜から小さな組織片を採取し、腫瘍の広がりをより詳しく調べる方法(組織診検査)もあります。

●経口胆道鏡(POCS)
内視鏡を口から十二指腸まで挿入する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)の経路を使用します。

●経皮経肝胆道鏡(PTCS)
皮膚からチューブを挿入する経皮経肝胆道造影(PTC)の経路を使用します。

7)超音波内視鏡検査(EUS)、管腔内超音波検査(IDUS)

超音波内視鏡検査(EUS)は、内視鏡の先端に超音波検査装置が付いています。がんの近くから観察することができ、肝門部領域胆管がんの血管浸潤や遠位胆管がんの壁内進展度診断に有用です。管腔内超音波検査(IDUS)は、十二指腸乳頭部から胆管に超音波プローブを挿入し、胆管内部を観察することができます。IDUSの超音波プローブは細く、EUSでは入ることができない細い胆管にも挿入することが可能です。胆管がんの深達度診断、血管浸潤の垂直方向浸潤の診断、および壁内進展の診断に優れています。

8)PET検査

PET検査は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出する検査です。最近ではCTを併用したPET-CT検査が普及しています。リンパ節転移や遠隔転移の診断に優れています。

2.黄疸に対する処置

胆管の造影検査に引き続き、胆管炎や胆管狭窄による肝機能障害などを起こし、黄疸がひどくみられる場合に胆道ドレナージによって処置をすることがあります。ドレナージとは「水などをある場所から導き出す」という意味です。

ドレナージには外ろうと内ろうがあります。外ろうとは、たまってしまった胆汁を体外へ出す処置で、内視鏡的経鼻胆道ドレナージや経皮経肝胆道ドレナージがあります。内ろうとは、本来流れていく十二指腸へ胆汁を通す処置で、胆道ステント(流れを取り戻すために狭められた胆管に置いておく管)があります。
【胆道ドレナージについて、さらに詳しく】

1)内視鏡的胆道ドレナージ

内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)の検査で、口から内視鏡を入れて、乳頭部から胆管内に挿入されたチューブを利用し、胆汁の流れを維持する、内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)があります(図4)。内視鏡から胆道ステントを胆管狭窄部に通し留置するものが内ろうに相当します。一方、内視鏡を使って、胆汁を鼻から体外へ出すためのチューブを通す、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)が外ろうに相当します(図5)。化学療法を行う場合、ERCの経路で胆道ステントを留置することが通常です。
図4 内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)
図4 内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)の図
図5 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)
図5 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)の図

2)経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)

胆管の検査で用いられる経皮経肝胆道造影(PTC)と同じ経路で、皮膚から肝臓に挿入されたチューブを利用し、肝臓内で拡張している胆管から胆汁を体外へ排出します(図6)。胆管狭窄部を越えて十二指腸までチューブを通し、この経路を利用して胆道ステントを留置することで内ろう化も可能です。
図6 経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)
図6 経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)の図

3)胆道ステント

狭まってしまった胆管にステントを通し、胆汁の流れを確保します。プラスチックステントと金属ステント(図7)があります。金属ステントは金属でできた網目状の筒で、プラスチックステントに比べて詰まりにくいなど、長期的にみるとよい報告がされています。
図7 金属ステント
図7 金属ステントの図
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3.病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてStage(ステージ)ともいいます。医師による説明では「ステージ」という言葉が使われることが多いかもしれません。病期にはローマ数字が使われます。病期分類には2種類あり、わが国の学会で主に行われている臓器別がん登録の「癌取扱い規約」による病期分類と、UICCと呼ばれる国際分類があります。

病期は、がんの大きさ、周囲への広がり(浸潤)、リンパ節や他の臓器への転移があるかどうかによって決まります。全身の状態を調べたり、病期を把握する検査を行ったりすることは、治療の方針を決めるために、とても重要です。

胆管がんについては、肝門部領域胆管(表1)、遠位胆管(表2)、肝内胆管(表3)で病期がそれぞれ分類されています。
表1 肝門部領域胆管がんの病期
0期 上皮内がん
I期 がんが胆管の中だけにとどまっている
II期 胆管壁を越えるが他の臓器への浸潤はない。またはさらに肝実質の浸潤がある
IIIA期 がんのある胆管のそばの門脈または肝動脈に浸潤がある
IIIB期 領域リンパ節に転移があるが、遠隔転移はなく、がんが浸潤している範囲は、IIIA期までと同様
IVA期 領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がなく、両側肝内胆管の二次分枝まで浸潤している、または門脈の本幹や左右分枝に浸潤がある、または総肝動脈、固有肝動脈、左右肝動脈に浸潤がある、または片側肝内胆管二次分枝まで浸潤があり、対側の門脈や肝動脈に浸潤がある
IVB期 がんの浸潤および領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がある
※肝実質:肝臓の中で血管と胆管以外の部分。肝細胞。
日本肝胆膵外科学会編「臨床・病理 胆道癌取扱い規約2013年11月(第6版)」(金原出版)より作成
表2 遠位胆管がんの病期
0期 上皮内がん
IA期 がんが胆管の中だけにとどまっている
IB期 胆管壁を越えるが他の臓器への浸潤はない
IIA期 胆のう、肝臓、膵臓、十二指腸、他の周辺臓器に浸潤がある。または門脈本幹、上腸間膜静脈、下大静脈などの血管に浸潤がある
IIB期 領域リンパ節に転移があるが、遠隔転移はなく、がんが浸潤している範囲は、IIA期までと同様
III期 領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がなく、総肝動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈に浸潤がある
IV期 がんの浸潤および領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がある
日本肝胆膵外科学会編「臨床・病理 胆道癌取扱い規約2013年11月(第6版)」(金原出版)より作成
表3 肝内胆管がん(胆管細胞がん)の病期
I期 腫瘍の数は1カ所で、大きさは2cm以下で血管や漿膜(しょうまく)に浸潤はない
II期 腫瘍の数が1カ所で、大きさが2cm以下または血管や漿膜に浸潤がない
もしくは腫瘍の数は2カ所以上あり、大きさが2cm以下であり、血管や漿膜に浸潤がない
III期 腫瘍の数が1カ所で、大きさが2cmを超えて、血管や漿膜に浸潤がある
もしくは腫瘍の数が2カ所以上あり、大きさは2cm以下で血管や漿膜に浸潤がある
もしくは腫瘍の数が2カ所以上あり、大きさが2cmを超えるが血管や漿膜に浸潤はない
IVA期 腫瘍の数が2カ所以上あり、大きさは2cmを超えて、血管や漿膜に浸潤がある
IVB期 腫瘍の数と大きさに関わらず、リンパ節転移がある。もしくは遠隔転移がある
※漿膜:臓器表面を包む腹膜。
日本肝癌研究会編「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約2009年6月(第5版補訂版)」(金原出版)より作成
【参考文献】
  1. 日本肝胆膵外科学会編:臨床・病理 胆道癌取扱い規約 2013年 第6版;金原出版
  2. 日本肝癌研究会編:臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 2009年 第5版補訂版;金原出版
  3. 日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編:エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 2014年 改訂第2版;医学図書出版
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