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胚細胞腫瘍〈小児〉(はいさいぼうしゅよう)

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更新・確認日:2014年04月22日 [ 履歴 ]
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2014年04月22日 2013年7月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

治療

手術(外科治療)

良性の胚細胞腫瘍に対しては、原則として手術による治療が行われます。

新生児の大きな仙尾部腫瘍では、腫瘍部分を流れている血液の量が多く、出血により難しい手術になることもあります。

後腹膜腫瘍では、良性型の場合でも15~50%の可能性で、腫瘍の大きさによって腎臓など周囲組織を一緒に切除しなければならないとされています。
また、卵巣の胚細胞腫瘍は両側に発症することがあるため、可能であれば腫瘍のみくりぬいて卵巣を温存するようにします。完全摘除が困難と思われる場合は、抗がん剤治療で腫瘍を縮小させた後に手術を行います。

縦隔の腫瘍では、まれに気管を圧迫して呼吸困難となり、緊急に胸部を開ける手術を行い腫瘍による圧迫を取り除かなければならないことがあります。
尾骨に腫瘍が発生した場合は、尾骨の切除を行います。

I期の精巣胚細胞腫瘍は、摘出手術のみで化学療法は行わず、経過を観察します。

抗がん剤治療(化学療法)

外科的切除の後に病期に応じて、抗がん剤治療が行われます。

ただし、成熟奇形腫や未熟奇形腫のような良性腫瘍においては抗がん剤治療は行われません。また、悪性胚細胞腫瘍でも精巣あるいは卵巣に発症したものであり、かつI期の完全に切除できた腫瘍については、抗がん剤治療を行わずに経過をみます。

一方前述のように、初回の手術は腫瘍の一部をとるだけの生検にとどめ、抗がん剤治療で腫瘍を縮小させた後に実際の切除を行う場合もあります。II~IV期の悪性胚細胞腫瘍および精巣、卵巣以外の部位にできた全ての病期の悪性胚細胞腫瘍に対しては、抗がん剤治療が必要です。

標準的な抗がん剤の組み合わせは、シスプラチン(あるいはカルボプラチン)とエトポシド、ブレオマイシンの3剤によるものです。放射線治療は原則として行われませんが、抗がん剤治療後に腫瘍が残っている場合には検討します。卵巣腫瘍のうち性腺胚細胞腫瘍では、I期であっても術後に化学療法を行います。
図1 小児の胚細胞腫瘍の臨床診断と治療
図1 小児の胚細胞腫瘍の臨床診断と治療
日本小児がん学会*編「小児がん診療ガイドライン 2011年版」(金原出版)より作成 *現日本小児血液・がん学会

予後(治りやすさ・治りにくさ)

悪性胚細胞腫瘍には抗がん剤治療が非常に有効であり、全体の5年生存率は90%を超えています。しかし、遠隔転移のあるとき、あるいは精巣・卵巣以外に腫瘍が生じ、それを完全切除できないとき(III~IV期)には、治癒率は80%程度に低下します。縦隔に発生した悪性胚細胞腫瘍を除くと予後はかなり良好です。また、精巣・卵巣に発生したI期(完全切除できたとき)の胚細胞腫瘍では、抗がん剤治療が行われない(一部を除く)代わりに、定期的に詳細なチェックを行う必要があります。その際には先に述べた腫瘍マーカーの検討が役立ちます。
表3 胚細胞腫瘍の予後分類
表3 胚細胞腫瘍の予後分類 図
日本小児がん学会*編「小児がん診療ガイドライン 2011年版」(金原出版)より一部改変 *現日本小児血液・がん学会
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