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下咽頭がん

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下咽頭がんについて

1.下咽頭について

頭頸部とうけいぶとは、脳、目、首の骨(頸椎けいつい)を除いた頭と頸部(首)のことで、鼻や口、あご、のど、耳、またそれらの周囲の臓器を指します。頭頸部には、聴覚、嗅覚、味覚といった感覚器官があり、咀嚼、嚥下、発声、呼吸といった日常生活に欠かすことのできない重要な機能があります。

その中で咽頭いんとうは、鼻の奥から食道までの飲食物と空気が通る部位で、筋肉と粘膜でできた約13cmのくだです。咽頭は上から、上咽頭じょういんとう中咽頭ちゅういんとう下咽頭かいんとうの3つの部位に分かれています(図1)。

咽頭の最も下にある下咽頭は、気管につながる喉頭と隣接し、上部は中咽頭、下部は食道につながります。

下咽頭は飲食物の通り道となります。飲食物が通るときに喉頭が持ち上がり、喉頭蓋こうとうがいが喉頭への通り道をふさぐことで、飲食物が気管に入らずに食道へ送られます。

図1 頭頸部の構造
図1 頭頸部の構造図

2.下咽頭がんとは

下咽頭がんは、下咽頭に発生するがんで、頭頸部がんの1つです。発生する組織型(がんの種類)は、ほとんどが扁平上皮がんです。

咽頭の周りには多くのリンパ節があるため、頸部(首)のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。がんの発見時に頸部リンパ節への転移が見つかることも珍しくありません。また、下咽頭は喉頭に隣接しているため、下咽頭がんが発見されたときには、喉頭までがんが広がっていることもあります。

3.症状

下咽頭がんは、初期のうちは自覚症状がみられないことがあります。自覚症状がみられるときは、飲み込むときの違和感、おさまらない咽頭痛、のどからの出血、耳の痛み、口の奥・のど・首にできるしこり、声の変化などが現れます。

これらのような気になる症状がある場合には、早めに耳鼻咽喉科じびいんこうかを受診するようにしましょう。

4.関連する疾患

下咽頭がんと同時、または異なる時期に、口腔、喉頭、食道などのほかの臓器にがんが見つかることがあります。下咽頭がんの主な原因である喫煙や飲酒は、これらのがんの発生要因でもあるためです。このように、異なる臓器に発生するがんのことを重複じゅうふくがんといいます。咽頭がんは重複がんが多いという特徴があります。

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

下咽頭がん 検査

触診や内視鏡検査で咽頭いんとうを確認し、がんが疑われる場合は、組織を採取して詳しく調べる検査(生検せいけん)を受けます。また、がんの大きさ、リンパ節や他臓器への転移などを確認するために、CT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査、PET検査などが行われます。

がんの検査について、大まかな流れや心構えなどの基本的な情報を掲載しています。

1.触診

医師が首の回りを触って、れやしこり、リンパ節への転移がないかなどを調べる検査です。

2.内視鏡検査

咽頭や喉頭に局所麻酔をかけ、のどへの刺激による吐き気(咽頭反射)と痛みを除いたあと、内視鏡を鼻や口から入れて、咽頭を確認します。その際、声帯の動きも確認します。
下咽頭がんでは、同時に食道がんや胃がんができることがあるため(重複がん)、内視鏡で食道から胃まで確認する上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で重複がんがないかを調べることが勧められています。

3.生検

咽頭や喉頭に局所麻酔をかけ、内視鏡で確認しながら病変の一部を採取して、顕微鏡で詳しく確認し、がんかどうかを診断する検査です。

4.CT検査

体の周囲からX線をあてて撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。がんの深さや広がり、離れた臓器への転移(遠隔転移)やリンパ節への転移の有無を調べるときに行われます。造影剤を注射して撮影すると、がんの広がりや、がんが周りの臓器に浸潤しんじゅんしていないかなどをより詳しく確認できます。

5.MRI検査

強力な磁石と電波を使用して撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。がんの深さや広がり、リンパ節への転移の有無などを詳しく調べることができます。
MRIはCTとは異なる仕組みで画像を作成するため、CT検査とあわせて行うことでより正確な診断につながります。

6.超音波(エコー)検査

首の表面から超音波をあて、そのはね返りをモニターで見ながら確認します。主に頸部けいぶリンパ節への転移の有無を調べるときに行われます。

7.PET検査

放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、がん細胞にエネルギー源として取り込まれるブドウ糖の分布を撮影します。PET検査とCT検査と重ねることで、CT検査やMRI検査とは異なる情報から、がんの広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を調べることができます。治療後の再発の診断にも有用なことがあります。

8.腫瘍マーカー検査

がんの診断の補助や、診断後の経過観察、治療の効果判定などを主な目的として行う検査です。下咽頭がんでは、現在のところ、がんの診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

下咽頭がん 治療

下咽頭がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法、放射線治療と薬物療法を併用する化学放射線療法があります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。不安なことや困ったことがあるときは、医療者やがん相談支援センターに相談しましょう。

1.ステージと治療の選択

治療を選択する際には、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、体の状態などを調べます。

1)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、0期(ステージ0)・Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。

ステージは、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。
Tカテゴリー:原発腫瘍の広がり
Nカテゴリー:頸部けいぶリンパ節に転移したがんの大きさと個数
Mカテゴリー:がんができた場所から離れた臓器への転移の有無

原発腫瘍とは、原発部位(がんがはじめに発生した部位)にあるがんのことで、原発巣ともいわれます。

TNM分類は表1を、ステージ(病期)は表2をご参照ください。

表1 下咽頭がんのTNM分類
表1 下咽頭がんのTNM分類の表
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成
表2 下咽頭がんの病期分類
表2 下咽頭がんの病期分類の表
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成

2)治療の選択

治療は、標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。

下咽頭がんの治療では、Ⅰ期やⅡ期といった早期では、喉頭の温存を目指し、放射線による根治的な治療や、喉頭を残す手術(喉頭温存手術)を行います。喉頭温存手術のうち一部の早期がんでは、口から内視鏡と手術の器具を入れて病変を切除する経口的切除術も行われます。

がんが進行している場合は手術が主な治療になります。喉頭の摘出が必要な場合がありますが、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を保つために、化学放射線療法や喉頭温存手術が行われる場合もあります。

図2~図5は、下咽頭がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図2 下咽頭がんの治療の選択(T1)
図2 下咽頭がんの治療の選択(T1)の図
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図3 下咽頭がんの治療の選択(T2)
図2 下咽頭がんの治療の選択(T1)の図
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図4 下咽頭がんの治療の選択(T3)
図4 下咽頭がんの治療の選択(T3)の図
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成
図5 下咽頭がんの治療の選択(T4a)
図5 下咽頭がんの治療の選択(T4a)の図
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2025年版.2025年,金原出版.より作成

妊娠や出産について

がんの治療が、性別にかかわらず妊娠や出産に影響することがあります。また、がんの治療が遅れる場合には、妊娠の継続を断念せざるを得ないこともあります。将来子どもをもつことを希望している場合で、特に薬物療法を受ける可能性が高いときには、妊孕性にんようせいを温存すること(妊娠するための力を保つこと)が可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談しましょう。

禁煙について

喫煙を続けることは、がんの治療の効果を下げる原因になると考えられています。喫煙している場合には、治療が始まる前に禁煙しましょう。なお、手術を開始するまでに禁煙できていないときには、手術が延期されることもあります。禁煙治療を希望する場合は、担当医に相談しましょう。

セカンドオピニオンについて

担当医が提案した以外にも治療法がないか知りたいときや、担当医の意見を別の角度から検討したいときにセカンドオピニオンを受けることもできます。セカンドオピニオンについての詳細は、担当医やがん相談支援センターに確認しましょう。

2.手術(外科治療)

下咽頭がんに対する手術は、がんとリンパ節の切除が中心となります。切除した部位の機能が失われる場合は、体の別の組織を移植する手術によって切除した部分を新たに作る「再建さいけん手術」を行い、飲み込みや発声の機能などをできるだけ保つようにします。

1)手術の内容

手術には、下咽頭がんを切除する手術と、頸部リンパ節転移に対する手術(頸部郭清術けいぶかくせいじゅつ)があります。

(1)下咽頭がんに対する手術

経口的切除術

一部の早期がんに対しては、口から内視鏡や手術の器具を入れてがんを切除する経口切除術が行われます。手術支援ロボットを用いることもあります。喉頭を残すため、手術のあとも発声が可能です。がんの大きさや場所にもよっては、手術のあとに飲み込みのリハビリテーションが必要になることもあります。

喉頭温存・下咽頭部分切除術

がんが下咽頭にとどまっているか、喉頭への浸潤が軽度である場合の一部では、下咽頭の部分的な切除が可能なことがあります。がんの大きさや場所にもよりますが、喉頭を残すため、手術のあとある程度は声を出すことができます。手術のあとに、飲み込みのリハビリテーションが必要になります。

喉頭全摘・下咽頭部分切除術

がんが進行し、喉頭に広がっている場合には、下咽頭の一部と喉頭を切除する手術が行われます。喉頭を切除するため、呼吸をするための穴(永久気管孔)をのどに開けます。下咽頭を切除する範囲が大きい場合は、皮膚を移植して下咽頭を再建します。また、喉頭はすべて切除(全摘)するため、声を出せなくなります。代用音声(声帯の代わりに別の方法で作る声)の習得にはリハビリテーションが必要です。

下咽頭・喉頭全摘術

がんが喉頭まで広がっている場合は、下咽頭と喉頭を切除する手術が行われます。下咽頭をすべて切除(全摘)するため、腸の一部または皮膚を移植して下咽頭を再建します。また、喉頭をすべて切除(全摘)するため、呼吸をするための穴(永久気管孔)をのどに開けます。
手術のあとは声を出すことができなくなるので、代用音声(声帯の代わりに別の方法で作る声)の習得にはリハビリテーションが必要です。

下咽頭・喉頭・頸部食道全摘術

がんが咽頭の周囲に広がっている場合には、下咽頭、喉頭、食道の首の部分まで切除する手術が行われます。下咽頭から首の部分の食道を切除するため、腸の一部または皮膚を移植して切除した部分を再建します。喉頭を切除するため、呼吸をするための穴(永久気管孔)をのどに開ける必要があります。また、手術のあとは声が出せなくなります。代用音声(声帯の代わりに別の方法で作る声)の習得にはリハビリテーションが必要です。

(2)頸部郭清術

下咽頭がんでは、頸部リンパ節に転移があることが多いです。頸部リンパ節に転移している場合や、転移の確率が高い場合、下咽頭を切除する手術と同時に、頸部リンパ節を切除する「頸部郭清術」が行われます。

取り除く範囲は、がんの状態によって異なります。リンパ節への転移が確認できない場合でも、転移や再発のリスクを下げるために頸部郭清術が行われることがあります。手術は、周辺の血管や神経、筋肉をできるだけ残しながら行われます。がんの状態によってはそれらを残すことができない場合もあります。

2)術後の後遺症

手術の内容によっては、術後に後遺症が起こる場合があります。術後の後遺症やリハビリテーションについて分からないことや不安があるときは、担当の医師に相談しましょう。

(1)下咽頭がんの手術の後遺症

失声(声を失うこと)

下咽頭がんが進行し、喉頭もすべて切除した際には、声を出すことができなくなり、呼吸のための穴(永久気管孔)を首の付け根に開けます。このような場合は、発声法(食道発声、シャント発声など)の習得や、電気式人工喉頭(発声を補助する器具)を使用したリハビリテーションを行います。

嚥下障害(飲み込みづらいこと)

手術で咽頭や食道の一部または全部を切除した場合、腸の一部または皮膚を移植して再建することで、多くの場合、食事ができるようになります。しかし、のどの粘膜がひきつったり、縫い合わせた部分が狭くなったりして、食物のつかえや飲み込みづらさが起こる場合があります。

喉頭を残した場合には、誤嚥ごえんを予防するリスクが高まるため、飲み込みのリハビリテーションを行います。

(2)頸部郭清術の後遺症

頸部郭清術の際は、リンパ節だけでなく周囲の血管や筋肉、神経を切除することがあるため、腕をあげにくい、首や肩の締めつけ感や痛みといった症状があらわれることがあります。このような後遺症を最小限に抑えるために、リハビリテーションを行います。

(3)甲状腺機能低下症・副甲状腺機能低下症

下咽頭がんの手術では、甲状腺や副甲状腺の一部またはすべてを切除する場合があります。甲状腺や副甲状腺は、身体が正常に機能するために必要なホルモンを分泌する働きがあります。手術後は血液検査で甲状腺や副甲状腺が分泌するホルモンの値を調べ、不足している場合は、ホルモンの機能を代替する薬を内服します。ホルモンの値によっては、生涯にわたって内服が必要な場合もあります。

飲み込みのリハビリテーション、発声リハビリテーション、頸部郭清術後のリハビリテーションなどについて記載されています。

3.放射線治療

放射線治療は、放射線をあててがん細胞を破壊し、がんを消滅させたり小さくしたりする治療です。放射線治療のみ行う場合と、放射線治療と薬物療法とを併用する化学放射線療法を行う場合があります。

手術のときに切除した組織を顕微鏡で検査し、再発の可能性が高いと判断された場合には、術後補助療法として、放射線治療または化学放射線療法が行われる場合があります。また、頸部リンパ節への転移が放射線治療のみで治療することが難しい場合は、頸部郭清術の手術を先に行い、そのあとに放射線治療を行う場合もあります。

化学放射線療法に関する情報は、関連情報をご確認ください。

1)放射線治療の内容と種類

体の外側から放射線をあてる外部照射を、33〜35回(1日1回、週5日の治療を6~7週間)受けます。
放射線治療中は、目的の部位に放射線を正確にあてるため、頭部と頸部が動かないようにする固定具(シェル)を使用します(図6)。

図6 放射線治療時における固定具装着の様子
図6 放射線治療時における固定具装着の様子

下咽頭がんの放射線治療では、強度変調放射線治療(Intensity-Modulated Radiation Therapy : IMRT)が勧められています。IMRTは、さまざまな方向からあてる放射線の量をコンピューターで調節して、複雑な形のがんでもそれぞれの部位に適切な量の放射線を照射できます。このため、治療終了後にあらわれる副作用を軽減する効果が期待されます。

その他の放射線治療

粒子線治療(陽子線・重粒子線)

下咽頭がんなどの頭頸部がんのうち、扁平上皮がん以外がんでは、粒子線治療(陽子線・重粒子線)が保険適用となりました。しかし、下咽頭がんの多くは扁平上皮がんであるため、適用となる人は限られています。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

2020年6月より、手術が適応とならない局所進行または局所再発の頭頸部がんに対して、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy : BNCT)が保険適用となりました。治療は標準治療が優先となり、実施できる施設や適用となるがんの状態は限られています。BNCTの詳細や、実施できる施設については、関連情報をご覧ください。

強度変調放射線治療(IMRT)、粒子線治療、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の詳細について記載しています。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の詳細について記載されています。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問い合わせ先が掲載されています。

2)放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、治療中や治療後すぐにあらわれる早期合併症と、治療終了後数カ月から数年たってから起こる晩期合併症があります。食事など日常生活に大きく関わる副作用があらわれることもあるため、適切に対処することが大切です。

副作用が原因で治療が続けられなくなることを避けるため、皮膚科医、看護師、歯科医、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、心理職(公認心理士、臨床心理士)などの医療スタッフが連携して、治療やケア(集学的治療)が行われます。
治療が終わったあとも気になる症状があれば、担当の医師や医療スタッフに相談しましょう。

(1)治療中に起こる副作用(早期合併症)とその対処法

①粘膜炎(口内炎・咽頭炎など)・唾液の分泌障害・味覚障害

放射線治療を始めてから1~2週目からは口内炎や咽頭炎などの粘膜炎、唾液が出にくくなる、味が分からなくなるといった症状が起こり始め、照射が終わってから7~10日目頃に最も強くなります。粘膜炎によって、飲食物が飲み込みにくくなる嚥下困難などの症状があらわれることもあります。

粘膜炎は照射が終わってから2週間~1カ月から徐々に改善していきます。一方、声がかれる、唾液が出にくくなる、味が分からないという症状の改善には時間がかかり、十分に回復しないことがあります。

口腔ケア

口の中には、たくさんの細菌が存在しています。放射線治療によって唾液が減少すると、細菌から粘膜や歯を守ることができず、口内炎や、むし歯などができることがあります。粘膜に刺激のないやさしいブラッシングやうがい、こまめに水分をとることなどを心がけて、口の中を清潔で潤った環境に保ちましょう。

粘膜炎や痛みへの対処

口の中の乾燥や粘膜炎による痛みから、食事をとることが難しくなります。痛みが強いときは、痛み止めを使います。必要に応じてオピオイド(医療用麻薬)を用いることもあります。
また、口やのどに負担がかからないように、食事をやわらかくするなど工夫しましょう。

胃ろうの造設

十分に食べられず体力が落ちたり、薬を内服できなかったりすると、治療が続けられなくなることがあります。これを防ぐため、放射線治療を始める前に胃ろう(おなかの皮膚から胃へくだを通す穴)を造っておく場合があります(図7)。治療中や治療後に、食事が十分に食べられなかったり、薬を内服できなかったりする場合には、胃ろうから直接栄養や薬剤をとることができます。胃ろうから栄養をとることによって、栄養状態や体力の低下を防ぎ、治療の中断や入院の可能性を減らすことが期待できます。

なお、胃ろうは、ほとんどの場合、内視鏡やエックス線を使って、おなかの中を確認しながら造ります。治療が終わって、口から十分食事がとれるようになったら、胃ろうに入れていた管を抜きます。管を抜いたあとの穴は自然にふさがります。

図7 胃ろう
図7 胃ろう
②皮膚炎

治療を始めてから2~3週目頃に皮膚炎が起こり始めます。症状は、治療終了後〜1週間以内で最も強くなることが多く、治療終了後2~3週間後にはよくなり始め、1~3カ月程度で改善していきます。

皮膚炎の予防

皮膚の清潔と保湿が大切です。皮膚炎が起こった場合は、医師の診察と指示を受けて、外用薬(塗り薬)を用いて悪化を防ぐことがあります。清潔や保湿など、スキンケアに関する詳細は、関連情報をご参照ください。

スキンケアの具体的な方法を掲載しています。

(2)治療終了後半年から数年たってあらわれる副作用

中耳炎、嚥下・開口障害(口が開きにくくなること)、唾液が出にくいことによる味覚の低下やむし歯の増加、歯が抜ける、下顎骨壊死かがくこつえし(下あごの骨の組織が局所的に壊死すること)や下顎骨かがくこつ骨髄炎こつずいえん(普段から口の中にいる細菌が、下あごの骨に感染した状態)によるあごの痛みやれなどの症状があらわれることがあります。口の中の感染を防ぐため、治療が終了したあとも口腔ケアを続けましょう。

また、甲状腺の機能が低下し、だるさを感じたり体重が増加したりすることがあります。血液検査で甲状腺の働きが低下していることが分かった場合は、ホルモン薬を服用します。ホルモン薬を服用することで、多くの場合は症状が改善します。

4.化学放射線療法

化学放射線療法は、手術を行わずに放射線治療と併用して薬物療法(化学療法)を行い、治癒を目指す方法です。薬物療法と放射線治療を併用することで治療効果を高めることができます。

化学放射線療法における薬物療法では、細胞障害性抗がん薬を使います。細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。

副作用として、放射線治療によって声がかれたり、皮膚炎や粘膜炎、嚥下障害が起こったりすることがあります。また、薬物療法によって骨髄抑制などの副作用があらわれることがあります。これらの副作用は、放射線治療または薬物療法を単独で行う場合よりも強くあらわれることが多いため、適切に対処し、必要なケアを受けることが大切です。放射線治療と薬物療法それぞれの副作用と対処法については、関連情報をご覧ください。

5.薬物療法

下咽頭がんの薬物療法には、治癒や機能の温存を目指した集学的治療として行われる薬物療法と、再発・転移した場合に行われる薬物療法があります。

1)薬物療法の種類

治癒や機能の温存を目指した薬物療法には、放射線治療と同時に行われる化学放射線療法があります。また、根治を目指した治療の前に導入化学療法として行う場合や、手術のあとに術後化学放射線療法として行う場合があります。

導入化学療法は、化学放射線療法や手術の前に行う薬物療法のことです。薬物療法によってがん細胞の量を減らし、治療効果を高めることが期待されています。治療は、複数の細胞障害性抗がん薬を組み合わせます。分子標的薬を併用することもあります。

術後化学放射線療法は、手術のあと、がんが取りきれなかった場合や、再発の可能性が高い場合に行う治療のことです。細胞障害性抗がん薬を放射線治療と同時に用います。

再発や遠隔転移に対する薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われます。再発・転移した場合の薬物療法に関する情報は、関連情報をご参照ください。また、薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者にご確認ください。

2)薬物療法の副作用

副作用は、使用する薬ごとに異なります。また、副作用の程度にも個人差があります。最近では副作用を予防する薬なども開発され、特に吐き気や嘔吐おうとについては、以前と比べて予防したり、コントロールしたりすることができるようになってきました。

自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気を付けるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医や薬剤師などによく確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、担当医に伝えましょう。

再発・転移した場合の薬物療法に関する情報は、以下をご覧ください。
化学放射線療法については、以下をご覧ください。
薬物療法で使われる薬の種類に関する情報は以下のページをご覧ください。

6.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するかもしれません。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体のつらさ、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。

緩和ケアは、診断時から行われるすべてのがん治療の土台となっています。緩和ケアや適切な支持療法を受けることで、体の負担になっているつらさを和らげることができ、がんの治療にも専念しやすくなります。がんやがん治療に伴うつらさを感じたときには担当医や看護師に伝えましょう。がん相談支援センターに相談することもできます。

全国のがん診療連携拠点病院では外来、入院いずれの状況でも緩和ケアを受けることができます。必要時には地域の病院と連携して、自宅で緩和ケアを継続することも可能です。お住まいの地域の病院や在宅療養、利用できる制度、地域の緩和ケアに関する情報などについては、がん相談支援センターやソーシャルワーカーにご相談ください。

アピアランスケア

がんやがんの治療によって外見が変化することがあります。支持療法の中でも、外見の変化によって起こるさまざまな苦痛を軽減するための支援として行われているのが、「アピアランス(外見)ケア」です。外見が変化することによる悩みや心配についても、医療者やがん相談支援センターに相談できます。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
体や心のつらさ、緩和ケア/支持療法に関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。

7.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の機能を維持・向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われます。

一般的に、治療中や治療後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師や看護師などの医療者に確認しましょう。

下咽頭がんの手術を受けるときには、合併症の予防や、後遺症を最小限に抑えること、また、術後の回復を早めるためにハビリテーションを行います。

飲み込むこと、かむこと、話すことは、多くの筋肉や神経の複雑な働きによって可能になります。話すことがリハビリテーションになり、飲み込みやすさを助けることもあります。はじめは身ぶりや手ぶり、筆談などを使いながら、なるべくのどを使って話すことを心がけてみましょう。治療後の安静が必要な期間を過ぎたら、機能を回復するための練習を積極的に行いましょう。

1)飲み込みのリハビリテーション

粘膜炎による飲み込みづらさや唾液の減少、嚥下機能の低下、また、飲食物を食道へ、空気を気管へふり分ける働きの低下によって、食べ物や飲み物が誤って気管に入る(誤嚥ごえん)リスクが高まり、肺炎につながる恐れがあります。これを防ぐために、言語聴覚士や看護師などと共に、安全に食事をとるリハビリテーションをします。リハビリテーションでは、舌やのどの筋力を強化したり、実際に食事をしたりする訓練をします。

また、喉頭温存手術を受けた場合は、飲み込みのリハビリテーションで、その段階に合った食べ物を選ぶことが重要です。食べることそのものがリハビリテーションになるため、担当医と相談しながらいろいろな食事を試してみましょう。

2)食べ物をよくかみ砕くためのリハビリテーション

手術で下あごの骨を切除したあとにかむ動作がしにくくなった場合は、鏡を見ながら、口の開け閉めを練習するようにします。退院後、1人でも練習できるように、担当医や看護師、リハビリテーション専門の医療スタッフにリハビリテーションの方法を確認しておきましょう。

3)頸部郭清術による症状のリハビリテーション

頸部郭清術を行った場合、手術後の顔のむくみ、頸部の変形・こわばり、肩の運動障害などが起こることがあります。切除した範囲によっては症状を悪化させないために、肩に負担がかからないようにする生活の注意点について医師や理学療法士などから指導を受けたり、肩や首を動かす訓練や筋肉を強化する訓練を行ったりすることが勧められています。

4)代用音声のリハビリテーション

喉頭全摘術により声を出せなくなった場合は、食道発声、電気式人工喉頭(電気喉頭)、シャント発声などの代用音声を習得する方法があります(図8)。

それぞれ習得の難しさ、声の聞きやすさ、機械や器具の管理のしやすさなど、メリット、デメリットがあるため、個人に合う方法を選びます。発声の指導をする発声教室もあります。気になることがあれば、担当医や看護師、言語聴覚士などに聞いてみましょう。

(1)食道発声

食道に吸い込んだ空気を出すときに食道入口部の粘膜を声帯の代わりに振動させて発声する方法です。習得に時間がかかりますが、器具を必要としません。食道発声の練習を開始してよい時期については、担当医に相談しましょう。食道発声法は経験者の話が役に立つことがあります。患者会などでコツを聞くとよいでしょう。

(2)電気式人工喉頭

電気式人工喉頭(電気喉頭)という電気で振動する器械をのどにあてて音を出し、口、舌などの形を調節して発声する方法です。機械的な音声で、片手がふさがってしまいますが、習得は簡単です。器械が入手できれば、入院中から練習を始められます。

(3)シャント発声

気管と食道をつなぐ穴を造り、穴に器具を入れる手術をすることで肺から食道へ空気を送り発声する方法です。自分で器具のメンテナンスを行うことや、定期的な器具の交換が必要ですが、発声方法は食道発声より簡単で10日ほどで習得できます。

図8 発声法の種類
図8 発声法の種類
日喉連は、喉頭がんなどで声帯を切除し、声が出せなくなった人たちが組織する団体です。下記のページでは、発声の訓練を通して社会復帰や会員の交流をはかる、全国各地の発声教室が紹介されています。
がん相談支援センターでは、患者会や患者サロンなど、同じような体験をした人と話ができる場に関する情報をもらえることもあります。また、困りごとや悩みごとのほか、人工喉頭の購入費用の助成制度などについても相談できます。

8.再発した場合の治療

再発とは、治療によって、見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣やその近くにがんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも再発といいます。

下咽頭がんは、発見時に頸部リンパ節に転移していることも少なくありません。また、肺、骨、肝臓などのほかの臓器に転移することもあります。

1)局所再発に対する放射線治療・手術

放射線治療は、原則として同じ部位に対して再び行うことができないため、初めの治療で放射線治療を行ったあとに再発した場合は、切除が可能であれば手術を行います。一方で、初めの治療で放射線治療を行っていない場合は、放射線治療を含めて治療法を検討します。

2)再発に対する薬物療法

初回の治療後に再発し、手術ができない場合や遠隔転移が出現した場合には、薬物療法を行うことがあります。薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使います。体の状態に応じて、いくつかの薬を併用したり、1つの薬で治療したりします。

いずれの薬物療法でも副作用への対応が重要となります。予想される副作用とその対応については担当医とよく相談をしましょう。特に、免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療では、いつ、どんな副作用が起こるかはさまざまで、治療が終了してから数週間から数カ月後に起こる副作用もあるため注意が必要です。免疫チェックポイント阻害薬の詳細については、関連情報「免疫療法 もっと詳しく 4.免疫療法の副作用」をご確認ください。

なお、2025年11月現在、下咽頭がんの治療に効果があると証明されている免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。そのほかの免疫療法で下咽頭がんに対して効果が証明されたものはないため、自由診療として行われる免疫療法には注意が必要です。自由診療で行われている免疫療法について知りたい場合は、担当医やがん相談支援センターの相談員に相談しましょう。詳細については、関連情報「免疫療法 もっと詳しく 3.慎重な確認が必要な免疫療法」をご確認ください。

体調や合併症などの状況によって、薬物療法を行うことが難しい場合には、症状を和らげるための治療が勧められることがあります。

頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)について

2021年より、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対して、がん細胞に結合する薬剤を投与したあと、レーザー光をあてることでがん細胞を壊すアルミノックス治療(光免疫療法)が保険診療となりました。治療が受けられる条件や実施できる施設は限られているため、まずは担当医に確認してみましょう。

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年05月16日 「3.放射線治療」に「図6 胃ろう」を追加しました。
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2019年09月09日 「表1 下咽頭がんのTNM分類」を修正しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月10日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年03月25日 内容を更新しました。
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

下咽頭がん 療養

1.経過観察

治療によりがんが消失したと判断されたあとは、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

下咽頭がんは、再発する場合は、治療後3年以内が多いとされ、その後は緩やかに減少していきます。受診の間隔はその人の状態によって異なりますが、少なくとも5年間は経過観察のために通院する必要があります。通院の際には、内視鏡検査、首の触診、画像検査などを受けます。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙すること、飲酒を控えること、バランスのよい食事をとること、適度に運動することなどを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のないように過ごしましょう。

日頃から口腔ケアを心がけることも大切です。口の中には、普段もたくさんの細菌が存在しています。治療を受けると、これらの細菌が原因で感染症になることがあります。これを防ぐには、粘膜に刺激のないやさしいブラッシング、うがいやこまめに水分をとるなど、口の中を清潔で潤った環境に保つことが効果的です。また、定期的に歯科医師の診察を受けましょう。

喉頭全摘術後の日常生活

喉頭全摘術を受けて呼吸をするために首に開けた穴(永久気管孔)を作った場合は、以下のような管理や注意が必要です。

  • 清潔を保つために毎日ぬれたタオルで気管孔を拭く
  • 乾燥しないように人工鼻(吸い込んだ空気の加湿・加温やフィルターの役割をする医療機器)やエプロンガーゼ(永久気管口をカバーするためのガーゼ)をかぶせる
  • 吸入や吸痰を行う
  • 入浴の際には気管孔にお湯が入らないように注意する

身体障害者手帳

喉頭全摘術を受けた方は身体障害者3級に該当するため、認定のための手続きを行うと、自治体から援助を受けられるようになります。援助の内容は、市区町村によって異なりますが、電気喉頭・ファクシミリ・吸入吸痰器などの「日常生活用具」の給付または貸与と、交通機関の運賃割引や税金の軽減、控除などの「割引・助成」などがあります。

申請後、認定までに2~4カ月程度かかりますが、手術当日から申請手続きができるので、入院前に市区町村の窓口で書類を取り寄せるなどの準備をしておくとよいでしょう。詳しい情報は、お住まいの市区町村に問い合わせてください。分からないことや心配なことについては、がん相談支援センターにも相談できます。

禁煙をする・飲酒を控える

下咽頭がんの発生には喫煙や飲酒が関連するタイプもあります。そのため、異なる時期に、同じく喫煙や飲酒が関連する口腔、食道などのほかの臓器にがんが見つかることがあります。このように、異なる臓器に発生するがんのことを重複がんといいます。重複がんのリスクを減らすために、治療中はもちろん治療後も禁煙し、飲酒を控えるようにしましょう。

性生活について

治療を受けている期間や治療終了後の性交渉が、がんの進行に悪い影響を与えたり、パートナーに悪い影響を与えたりすることはありません。そのため、性交渉を控える必要はありません。ただし、薬物療法中やそのあとは、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児にも影響を及ぼすため、治療中や治療終了後、子どもを望む場合でも一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などのホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。

なお、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

患者会・患者サロンについて

患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や障害など、共通する経験をもつ人から情報を聞いたり、交流をしたりすることができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターで入手することもできます。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2025年04月01日 内容を確認し、一部更新しました。
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン2022年版」「臨床・病理 頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月25日 内容を更新しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

下咽頭がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの患者さんによりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

下咽頭がんの臨床試験を探す

国内で行われている下咽頭がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「下咽頭がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 下咽頭がん
国内で行われている下咽頭がんの臨床試験の一覧が出ます。

臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
がんの臨床試験への参加を考えるときに、知っておきたい情報について掲載しています。
「がんの臨床試験を探す」の使い方や注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年04月13日 内容を確認し、表記を一部変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

下咽頭がん 患者数(がん統計)

1.患者数

2021年に日本全国で口腔・咽頭がんと診断されたのは、22,781例(人)です。その中でも、下咽頭がんと診断されたのは、5,162例(人)です。

下咽頭がんは、口腔・咽頭がんの1つです。以下のページでは、口腔・咽頭がんとしてまとめた統計情報を掲載しています。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

関連情報には、地域がん登録から算出された下咽頭がんを含む口腔・咽頭がんの5年相対生存率を掲載しています。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。したがって、診断や治療の進歩により、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての人に当てはまる値ではないことをご理解ください。

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2024年04月26日 2.生存率の関連情報を「全国がんセンター協議会 生存率調査 全施設生存率(KapWeb)」から「がん統計 がん種別統計情報」に変更しました。
2023年04月13日 「1.患者数」「2.生存率」を更新しました。
2021年07月01日 掲載しました。

下咽頭がん 予防・検診

1.発生要因

下咽頭がんの発生要因には、喫煙と飲酒があることが分かっています。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙すること、飲酒を控えること、バランスのよい食事をとること、活発に身体を動かすこと、BMIを基準とした適正体重を維持すること、感染を予防することが有効であることが分かっています。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。がん検診は、症状が現れていない人に行われます。症状があって受診したときに行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査はがん検診ではありません。

わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和7年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

下咽頭がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2025年04月01日 内容を確認し、一部更新しました。
2023年04月13日 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」を確認し、更新しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

下咽頭がん 関連リンク・参考資料

1.下咽頭がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

以下の「相談先・病院を探す」では、下咽頭がんを含む「口腔がん・咽頭がん・唾液腺がん・鼻のがん」の診療を行うがん診療連携拠点病院などの病院やがん相談支援センターを探すことができます。また、診断や治療の実施状況や病院の種類などで絞り込んで検索することや、院内がん登録の件数などを確認することもできます。

2.参考資料

  1. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン2025年版.2025年,金原出版.
  2. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.
  3. 日本臨床腫瘍学会編.頭頸部がん薬物療法ガイダンス第2版.2019年,金原出版.
  4. 日本放射線腫瘍学会編.患者さんと家族のための放射線治療Q&A 2025年版.2025年,金原出版.
  5. 日本放射線腫瘍学会編.放射線治療計画ガイドライン2024年版.2024年,金原出版
  6. 成田浩人編.放射線治療計画 -準備から照射まで-.2018年, PILAR PRESS
  7. 辻哲也編,がんのリハビリテーションマニュアル周術期から緩和ケアまで第2版,医学書院.

作成協力

更新・確認日:2026年02月27日 [ 履歴 ]
履歴
2026年02月27日 「頭頸部癌診療ガイドライン2025年版」より、内容を更新しました。
2023年04月13日 「2.参考資料」を更新しました。
2021年07月01日 「1.下咽頭がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。
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