このページの本文へ移動
文字サイズ
メニュー
上咽頭がん

上咽頭がん 全ページ表示

上咽頭がんについて

1.上咽頭について

咽頭いんとうは、鼻の奥から食道までの飲食物と空気が通る部位で、筋肉と粘膜でできた約13cmのくだです。咽頭は上からそれぞれ、上咽頭じょういんとう中咽頭ちゅういんとう下咽頭かいんとうの3つの部位に分かれています(図1)。

上咽頭のある場所は、鼻腔びくうの奥で、口蓋垂こうがいすい口蓋扁桃こうがいへんとうの後ろの上のほうです。脳を支えている頭蓋骨ずがいこつの底にあたる頭蓋底とうがいていのすぐ下で、左右には耳につながる穴があります。

なお、頭頸部とうけいぶとは、脳、目、首の骨(頸椎けいつい)を除いた頭と頸部(首)のことで、鼻や口、あご、のど、耳、またそれらの周囲の臓器を指します。

図1 頭頸部の構造
図1 頭頸部の構造

2.上咽頭がんとは

上咽頭がんは、上咽頭に発生するがんで、頭頸部がんの1つです。発生するがんの種類(組織型)は、ほとんどが扁平へんぺい上皮がんですが、中でも低分化・未分化なものが大部分を占めます。

上咽頭がんの発生には、EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)と呼ばれるウイルスが関連するものと、喫煙や過度の飲酒が関連するものがあります。

咽頭の周りには多くのリンパ節があるため、頸部(首)のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。がんの発見時に頸部リンパ節への転移が見つかることも珍しくありません。肺、肝臓、骨などの他の臓器に転移することもあります。

3.症状

上咽頭がんは、初期のうちは自覚症状がみられないことがあります。

上咽頭がんが見つかったときに最も多くみられる症状は、頸部リンパ節に転移したことによる首のしこりです。そのほかには、鼻の症状(鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混ざるなど)、耳の症状(耳がつまった感じ、聞こえにくいなど)、脳神経の症状(目が見えにくくなる、二重に見えるなど)があります。

このような症状がある場合には、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

上咽頭がん 検査

触診や内視鏡検査で上咽頭を確認し、がんが疑われる場合は、組織を採取して詳しく調べる検査(生検せいけん)を受けます。また、がんの大きさ、リンパ節や他臓器への転移などを確認するために、CT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査、PET検査などが行われます。

がんの検査について、大まかな流れや心構えなどの基本的な情報を掲載しています。

1.触診

医師が首の回りを触って、リンパ節への転移がないかなどを調べる検査です。緊張すると首が固くなり、リンパ節のれが見つけにくくなるため、リラックスして首の力を抜くことが大切です。

2.内視鏡検査

鼻腔に局所麻酔をかけて表面の痛みを除いたあと、内視鏡を鼻から入れて、上咽頭を確認する検査です。上咽頭がんでは、鼻や耳の症状があらわれることがあります。そのため、成人で、初めて滲出性しんしゅつせい中耳炎(耳がつまったような症状があらわれる)になった場合には、耳鏡じきょうによる検査に加えて、内視鏡を使って上咽頭を確認する検査を受ける必要があります。

3.生検

咽頭に局所麻酔をかけ、内視鏡で確認しながら病変の一部を採取する検査です。採取した組織は顕微鏡で詳しく観察し、がんかどうかを診断します。

4.CT検査

体の周囲からX線をあてて撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。がんの深さや広がり、リンパ節への転移の有無を調べるときに行われます。造影剤を注射して撮影すると、がんの広がりや、がんが周りの臓器に浸潤しんじゅんしているか等を詳しく確認することができます。

5.MRI検査

強力な磁石と電波を使用して撮影することで、体の断面を画像として見ることができる検査です。MRI検査の画像は、CT検査よりも、がん組織と正常な組織の区別が明確です。がんの深さや広がり、リンパ節への転移の有無をCT検査とは異なる情報から調べることができます。

6.超音波(エコー)検査

首の表面から超音波をあて、そのはね返りをモニターで見ながら確認します。主に頸部けいぶリンパ節への転移の有無を調べるときに行われます。

7.PET検査・PET-CT検査

頸部リンパ節への転移や遠隔転移の有無を調べるときに行われることがある検査です。

PET検査は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、がん細胞にエネルギー源として取り込まれるブドウ糖の分布を撮影することで、全身のがん細胞を検出する検査です。CT検査やMRI検査とは異なる情報から、がんの広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を調べることができます。治療後の再発の診断にも有用なことがあります。

PET-CT検査は、PET検査とCT検査の画像を重ねることで、がん細胞の有無や転移があるかどうかを高い精度で診断することができます。

8.腫瘍マーカー検査

上咽頭がんでは、現在のところ、がんの診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。

更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

上咽頭がん 治療

上咽頭がんの治療には、放射線治療、薬物療法、緩和ケアなどがあります。

1.ステージと治療の選択

治療は、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。

1)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、上咽頭がんでは0期〜Ⅳ期に分けられ、進行するにつれて数字が大きくなります。

ステージは、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。
Tカテゴリー:原発腫瘍*の広がり
Nカテゴリー:頸部けいぶのリンパ節に転移したがんの大きさと個数
Mカテゴリー:がんができた場所から離れた臓器への転移の有無

*原発腫瘍とは、原発部位(がんがはじめに発生した部位)にあるがんのことで、原発巣ともいわれます。

TNM分類は表1を、ステージ(病期)は表2をご参照ください。

表1 上咽頭がんのTNM分類
表1 上咽頭がんのTNM分類
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成
表2 上咽頭がんの病期分類
表2 上咽頭がんの病期分類
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.より作成

2)治療の選択

治療は、がんの進行の程度や組織型に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。

上咽頭がんは低分化・未分化のがん細胞が大部分で、放射線治療で消滅したり、小さくなったりしやすい傾向があります。上咽頭は、手術が難しい部位のため、Ⅰ期からⅣA期を通して放射線治療を主体とした治療が標準治療として勧められています。また、放射線治療は薬物療法を併用するほうが、治療効果が高いことが分かっています。体の状態などをみながら、多くの場合、放射線治療と薬物療法を併用する化学放射線療法が行われます。

図2は、上咽頭がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図2 上咽頭がんの治療の選択
図2 上咽頭がんの治療の選択
日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版.2022年,金原出版.より作成

妊娠や出産について

がんの治療が、妊娠や出産に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合で、特に薬物療法を受ける可能性が高いときには、妊孕性にんようせいを温存すること(妊娠するための力を保つこと)が可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談しましょう。

2.手術(外科治療)

上咽頭がんは、手術が難しい部位です。そのため、原発巣の手術をすることはほとんどありません。頸部リンパ節に転移がある場合も、手術で頸部リンパ節を切除しても再発する可能性が高いため、放射線治療が優先して行われます。ただし、化学放射線療法後に頸部リンパ節にがんが残っている場合には、頸部リンパ節を取り除く手術が行われることがあります。

3.放射線治療

放射線治療は、放射線をあててがん細胞を破壊し、がんを消滅させたり小さくしたりする治療です。上咽頭がんでは、体の表面から放射線をあてる外部照射を30〜35回(1日1回、週5日の治療を6~7週間)受けます。

なお、上咽頭がんの放射線治療では、強度変調放射線治療(IMRT)が勧められています。強度変調放射線治療(IMRT)は、さまざまな方向からあてる放射線の量をコンピューターで調節し、複雑な形のがんでもそれぞれの部位に適切な量の放射線を照射することができます。このため、治療終了後にあらわれる副作用を軽減する効果が期待されます。

また、多くの場合、薬物療法と放射線治療を併用する化学放射線療法が行われます。薬物を併用することにより放射線治療の効果を高めることや、治療後の再発リスクを下げることが期待されます。

放射線治療の副作用について

放射線治療の副作用は、全身にあらわれるものと、治療する部位に起こる局所的なものがあります。また、治療中や治療後すぐにあらわれるものと、治療終了後数カ月から数年たってあらわれるものがあります。

副作用が原因で治療が続けられなくなるという事態を避けるため、皮膚科医、看護師、歯科医、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、心理士などの医療スタッフが連携して、副作用を最小限にするための治療やケアが行われます。

1)治療中や治療後すぐにあらわれる副作用

声がかれたり、唾液が出にくくなったり、皮膚炎や粘膜炎が起こることがあります。また、粘膜炎によって水や食事が飲み込みにくくなる嚥下えんげ困難などの症状があらわれることもあります。このような症状は、治療終了後1~2カ月くらいで改善することが多いです。ただし、声がかれたり、唾液が出にくくなるという症状の改善には時間がかかるため、口や咽頭の乾燥、味が分からないという症状はしばらく続く可能性があります。

皮膚炎が起こった場合は、外用薬(塗り薬)を用いて皮膚の組織を保湿・保護します。口内炎や粘膜炎の痛みには、うがい薬や鎮痛剤を使ったり、歯科で口腔ケアを受けたりします。

また、口腔や咽頭の粘膜炎などによって、食事を十分に食べられず体力が落ちたり、薬剤を内服できなかったりすることが原因で、治療が続けられなくなることがあります。これを防ぐため、放射線治療の前に胃ろう(おなかの皮膚から胃へくだを通す穴)(図3)をつくっておくこともあります。なお、胃ろうは、ほとんどの場合、内視鏡を使ってつくります。

治療中や治療後に、食事が十分に食べられなかったり、薬を内服できなかったりする場合には、胃ろうから直接栄養や薬剤を取ることができます。胃ろうから栄養を取ることによって、食事が食べられないことによる体力低下や、栄養状態を改善するための入院などの可能性を減らすことができます。治療が終わって、口から十分食事が取れるようになったら、胃ろうに入れていた管を抜きます。通常、管を抜いたあとの穴は自然にふさがります。

図3 胃ろう
図3 胃ろう

2)治療終了後半年から数年たってあらわれる副作用

中耳炎、聴力障害(耳が聞こえにくくなる)、白内障、嚥下・開口障害(口が開きにくくなること)が起こることがあります。また、唾液が出にくいことによる味覚の低下や虫歯の増加、歯が抜ける、下顎骨壊死かがくこつえし(下あごの骨の組織が局所的に壊死すること)や下顎骨骨髄炎(普段から口の中にいる細菌による感染が下あごの骨に及んだ状態)によるあごの痛みやれなどの症状があらわれることがあります。治療終了後も口の中をきれいに保つように気をつけることが大切です。

4.化学放射線療法

化学放射線療法は、手術を行わずに放射線治療と併用して薬物療法(化学療法)を行い、治癒を目指す方法です。薬物療法と放射線治療を併用することで治療効果を高めることができます。

化学放射線療法における薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や、分子標的薬を使います。細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的にして、がんを攻撃する薬です。

副作用として、放射線治療によって声がかれたり、皮膚炎や粘膜炎、粘膜炎による嚥下障害が起こったりすることや、薬物療法によって骨髄抑制などがあらわれることがあります。

薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者にご確認ください。

薬物療法で使われる薬の種類に関する情報は以下のページをご覧ください。

5.薬物療法

上咽頭がんの薬物療法には、治癒や機能の温存を目指した集学的治療として行われる薬物療法と、再発・転移した場合に行われる薬物療法があります。

治癒や機能の温存を目指した薬物療法では、放射線治療と同時に行われる化学放射線療法のほか、化学放射線療法の前に行われる導入化学療法、化学放射線療法の後に行われる補助化学療法があります。

導入化学療法は、化学放射線療法の前に行う薬物療法のことです。薬物療法によって腫瘍の量を減らし、治療効果を高めることが目的です。治療は、複数の細胞障害性抗がん薬を組み合わせます。分子標的薬を併用することもあります。

補助化学療法は、化学放射線療法の後に行う薬物療法のことです。治療効果を高めることを目的に行う場合があります。

再発や遠隔転移に対する薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われます。

薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者にご確認ください。

再発・転移した場合の薬物療法に関する情報は、以下をご覧ください。
化学放射線療法については、以下をご覧ください。
薬物療法で使われる薬の種類に関する情報は以下のページをご覧ください。

6.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。

決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まります。つらさを感じるときには、がんの治療とともに、いつでも受けることができます。本人にしか分からないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
体や心のつらさ、緩和ケア/支持療法に関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。

7.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われます。

上咽頭がんの治療は、放射線治療や化学放射線療法が行われるため、顔かたちが大きく変わることはありません。しかし、放射線治療の副作用により、飲食物がうまく飲み込めなくなるなど、日常生活を送る上で支障が出る場合があります。このような副作用によって食事の量が少なくなると、十分に栄養をとることができず、体力の低下につながることもあります。そのため、リハビリテーションを行い、飲み込みの機能をできる限り回復させていきます。

また、飲食物を食道へ、空気を気管へふり分ける働きが低下すると、誤嚥ごえんによる誤嚥性肺炎が生じる恐れがあります。これを防ぐために、言語聴覚士や看護師などと共に、安全に食事をとるリハビリテーションを行います。舌やのどの筋力強化の訓練や、実際に食事をするリハビリテーションがあります。

8.再発した場合の治療

再発とは、治療によって、見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣やその近くにがんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。

上咽頭がんでは、発見時に頸部リンパ節に転移していることも少なくありません。また、肺、肝臓、骨などのほかの臓器に転移することもあります。

再発した場合、多くは延命や症状緩和を目指し、主に薬物療法を行います。骨への転移による症状に対しては、痛みを和らげることを目的とした放射線治療が行われます。

再発・転移した場合の薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬から、その人の状況に応じて選んだ薬を使います。細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的にして、がんを攻撃する薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を保つ(がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを防ぐ)薬です。

いずれの薬物療法でも副作用への対応が重要となります。予想される副作用とその対応については担当医とよく相談をしましょう。特に免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療では、いつ、どんな副作用が起こるか予測がつかず、治療が終了してから数週間から数カ月後に起こる副作用もあるため注意が必要です。起こるかもしれない副作用の症状を事前に知り、自分の体調の変化に気を配って、治療中や治療後にいつもと違う症状を感じたら、医師や薬剤師、看護師などの医療スタッフにすぐに相談することも必要です。

なお、2023年3月現在、上咽頭がんの治療に効果があると証明されている免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。そのほかの免疫療法で、上咽頭がんに対して効果が証明されたものはありません。

更新・確認日:2023年05月16日 [ 履歴 ]
履歴
2023年05月16日 「3.放射線治療」に「図3 胃ろう」を追加しました。
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月10日 5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 5年相対生存率データを更新しました。
2013年03月25日 内容を更新しました。
2012年11月19日 『もしも、がんが再発したら』へのリンクを追加しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

上咽頭がん 療養

1.経過観察

治療によりがんが消失したと判断された後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

上咽頭がんは、再発する場合は治療後2年以内であることが多いとされ、その後は緩やかに減少していきます。受診の間隔はその人の状態によって異なりますが、治療後2年以内は継続的な受診が必要です。少なくとも5年間は経過観察のために通院する必要があります。

再発や転移、治療後の合併症、食道がんなどの別のがんの早期発見・早期治療を目的として、内視鏡検査、首の触診、画像検査などを受けます。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。

日頃から口腔ケアを心がけることも大切です。口の中には、普段もたくさんの細菌が存在しています。しかし、治療を受けると、これらの細菌が原因で感染症になることがあります。これを防ぐには、粘膜に刺激のないやさしいブラッシング、うがいやこまめに水分をとるなど、口の中を清潔でうるおった環境に保つことが効果的です。また、定期的に歯科医師の診察を受けましょう。

なお、上咽頭がんの発生には喫煙や過度の飲酒が関連するタイプも中にはあります。そのため、異なる時期に、同じく喫煙や飲酒が関連する口腔、食道などのほかの臓器にがんが見つかることがあります。このように、異なる臓器に発生するがんのことを重複がんといいます。重複がんのリスクを減らすために、治療中はもちろん治療後も禁煙し、飲酒を控えるようにしましょう。

性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。

しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

なお、薬物療法中やそのあとは、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年03月25日 内容を更新しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

上咽頭がん 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの人によりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

上咽頭がんの臨床試験を探す

国内で行われている上咽頭がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「上咽頭がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 上咽頭がん
国内で行われている上咽頭がんの臨床試験の一覧が出ます。

臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
がんの臨床試験への参加を考えるときに、知っておきたい情報について掲載しています。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 内容を確認し、表記を一部変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

上咽頭がん 患者数(がん統計)

1.患者数

2019年に日本全国で口腔・咽頭がんと診断されたのは、23,671例(人)です。

上咽頭がんは、口腔・咽頭がんの1つです。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

関連情報には、地域がん登録から算出された上咽頭がんを含む口腔・咽頭がんの5年相対生存率を掲載しています。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。したがって、診断や治療の進歩により、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての人に当てはまる値ではないことをご理解ください。

更新・確認日:2024年04月26日 [ 履歴 ]
履歴
2024年04月26日 2.生存率の関連情報を「全国がんセンター協議会 生存率調査 全施設生存率(KapWeb)」から「がん統計 がん種別統計情報」に変更しました。
2023年04月13日 「1.患者数」「2.生存率」を更新しました。
2021年07月01日 掲載しました。

上咽頭がん 予防・検診

1.発生要因

上咽頭がんの発生には、EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)と呼ばれるウイルスが関連するものと、喫煙や過度の飲酒が関連するものがあります。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

しかし、上咽頭がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。

なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。

更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」を確認し、更新しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。

上咽頭がん 関連リンク・参考資料

1.上咽頭がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

以下の「相談先・病院を探す」では、上咽頭がんを含む「口腔がん・咽頭がん・唾液腺がん・鼻のがん」の診療を行うがん診療連携拠点病院などの病院やがん相談支援センターを探すことができます。また、診断や治療の実施状況や病院の種類などで絞り込んで検索することや、院内がん登録の件数などを確認することもできます。

2.参考資料

  1. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌診療ガイドライン2022年版.2022年,金原出版.
  2. 日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年,金原出版.

作成協力

更新・確認日:2023年04月13日 [ 履歴 ]
履歴
2023年04月13日 「2.参考資料」を更新しました。
2021年07月01日 「1.上咽頭がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2019年04月23日 「4.統計」の項目名を「4.患者数(がん統計)」に変更し、内容を更新しました。
2018年11月29日 「頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版」「頭頸部癌取扱い規約 第6版(2018年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2012年11月15日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1997年05月12日 掲載しました。
前のページ
上咽頭がん
よりよい情報提供を行うために、
アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートはこちらから
ページの先頭に戻る
相談先・
病院を探す
閉じる

病名から探す

閲覧履歴