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精巣(睾丸)腫瘍(せいそう(こうがん)しゅよう)

更新・確認日:2012年10月26日 [ 履歴 ]
履歴
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年08月28日 掲載しました。

1.触診

最初に陰のう内のしこりについて確認します。腫瘍が小さく、精巣の一部を占めるだけのときには、腫瘍はやわらかい精巣の中に硬いしこりとして感じられます。腫瘍が精巣内をほとんど占めるように広がると、精巣全体が硬いしこりとして感じられます。この時期では、左右の精巣の大きさ、硬さの違いなどから自分で異常を発見することも可能です。また、水がたまった状態をしこりとして感じることもあり、これを水腫(すいしゅ)といいます。しこりが腫瘍か水腫かを判断するために、超音波(エコー)検査を行うこともあります。

2.腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞がつくり出す物質で、腫瘍の種類や性質を知るための目安となるものです。精巣腫瘍の診断では、腫瘍マーカーが重要な役割を果たします。代表的な精巣腫瘍の腫瘍マーカーには、AFP(αフェトプロテイン)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)およびhCG-β、LDH(乳酸脱水素酵素)などがあります。これらの腫瘍マーカーは、治療効果の判定や治療後の経過観察にも用いられます。ただし、すべての種類の腫瘍が腫瘍マーカーをつくり出すわけではなく、他の病気によってこれらの腫瘍マーカーの数値が上昇することもあります。
【精巣腫瘍に関係する腫瘍マーカーについてさらに詳しく】

1)AFP

血中AFP高値は、非セミノーマの方の40〜60%に認められます。セミノーマはAFPを産生しないので、分類上も大切な腫瘍マーカーです。ただし、肝疾患など精巣腫瘍以外でも上昇することがあるので、注意が必要です。

2)HCG

血中HCGの上昇は、セミノーマの一部(I期で10〜20%)と非セミノーマの40〜60%に認められます。精巣摘除後の精巣腫瘍の患者さんの中で、血中のAFPあるいはHCGが明らかに上昇している場合は、X線検査などで転移が見つからなくても、治療の適応となる場合があります。

3)LDH

セミノーマでも非セミノーマでも上昇する可能性があります。しかし、LDHは精巣腫瘍とは無関係のさまざまな状況でも高くなる可能性があるため、LDHの上昇の意義はAFPやHCG と比べて重要ではありません。
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3.画像診断(超音波[エコー]、CT、MRI検査など)

画像診断は、腫瘍の性状や広がり、転移の有無を調べるために行われます。

超音波検査では、陰のうの表面に超音波を当てて臓器から返ってくる反射の様子を画像にすることで精巣の内部を観察します。多くの場合、超音波検査によって腫瘍を確認することが可能です。そして、血液の流れがわかるカラードップラー超音波検査では、腫瘍の血流についても調べることができます。また、腹部超音波検査を行い、肝臓やリンパ節への転移の有無を調べることもあります。

CT検査は、X線を用いて体の内部を描き出す検査です。腫瘍の状態や周辺の臓器への広がり、肺やリンパ節などへの転移の有無を調べることができます。精巣腫瘍は早期に転移することが多いため、非常に重要な検査となります。より詳しい情報を得るために、通常は造影剤を注入しながら検査を行います。CT検査で造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがありますので、喘息(ぜんそく)などのアレルギーのある方や以前に造影剤のアレルギーを起こした経験のある人は、医師に申し出てください。

必要に応じて、MRIや骨への腫瘍の広がりを調べる骨シンチグラフィーなどの検査も行われます。MRIは磁気、骨シンチグラフィーは放射性同位元素を使った検査です。なお、FDG(放射性ブドウ糖類似物質)を注射し、細胞の糖代謝の状態を撮影することでがん細胞を検出するPET検査は、セミノーマに対しては有効である場合がありますが、非セミノーマに対する有効性は確認されていません。

4.病期(ステージ)

病期とは、がんがどの程度進行しているかを示す言葉で、英語をそのまま用いてSstage(ステージ)ともいいます。病期は、腫瘍の大きさや周辺の組織のどこまで広がっているか、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかによって決まります。精巣腫瘍では、病理分類によって治療方法が異なりますので、別の臓器に転移がある場合でも病理診断が重要となります。腫瘍のある精巣を手術によって取り出して調べるとともに、転移の状況を詳しく調べるための追加検査を行います。

ローマ数字が使われ、I期、II期、III期などと分類され、数が大きくなるほど、腫瘍が広がっていることを示します。また治療方針の決定に有用であることが多いことから、画像診断などでわかる腫瘍の広がりに加えて、腫瘍マーカーの値も含めるIGCC分類も用いられています。
表1 精巣腫瘍の病期分類(日本泌尿器科学会 日本病理学会/編)
I期 転移がない
II期 横隔膜以下のリンパ節にのみ転移がある
      IIA 後腹膜転移巣が5cm未満
IIB 後腹膜転移巣が5cm以上
III期 遠隔転移
  III0 腫瘍マーカーが陽性であるが、転移巣不明
IIIA 横隔膜以上のリンパ節に転移がある
IIIB 肺に転移がある
B1 片側の肺の転移が4個以下かつ2cm未満
B2 片側の肺の転移が5個以上または2cm以上
IIIC 肺以外の臓器にも転移がある
※陰のう内にとどまる腫瘍は、腫瘍の大きさによる差を見出し難いため、手術の困難さ、転移により分類している。
日本泌尿器科学会、日本病理学会編「泌尿器・病理 精巣腫瘍取扱い規約 2005年3月【第3版】」(金原出版)より作成
表2 IGCC(International Germ Cell Consensus)分類
予後良好
非セミノーマ セミノーマ
肺以外の臓器転移がない。
かつAFP<1,000ng/ml
かつhCG<5,000IU/L
かつLDH<1.5×正常上限値
肺以外の臓器転移がない。
かつAFPは正常範囲内
hCG、LDHは問わない。
予後中程度
非セミノーマ セミノーマ
肺以外の臓器転移がない。
かつ1,000ng/ml≦AFP≦10,000ng/ml
または5,000IU/L≦hCG≦50,000IU/L
または1.5×正常上限値≦LDH≦10×正常上限値
肺以外の臓器転移がある。
かつAFPは正常範囲内
hCG、LDHは問わない。
予後不良
非セミノーマ セミノーマ
肺以外の臓器転移がある。
またはAFP>10,000ng/ml
またはhCG>50,000IU/L
またはLDH>10×正常上限値
該当なし
1977年に提唱されたマーカー値を重視した分類法である。
hCG(Intact hCG)を用いる。日本のFree-β hCGは利用できない。
日本泌尿器科学会、日本病理学会編「泌尿器・病理 精巣腫瘍取扱い規約 2005年3月【第3版】」(金原出版)より作成
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